少女に明日を
こんな世界だから、新たな発明をする際には国が管理する最新の常時動いているAIにそれを宣言する事になっており、AIがその提案を有意義なものだと判断した場合、政府に寝泊まりして働いている人に送信される。そこから、それを可能にできるだけの頭脳があるかをAIと人の2つの手で確認し、それが認められれば政府からお金が降りる事になっている。
まぁお金といっても勿論デジタルマネーだが…今の世の中、物を手に入れようと思えば、全部通販だ。それも、注文されたものをAIが選び取り、AIが運んでくる。人の手が使われる事は最早ない。
まぁそりゃそうだ。外に少し居ただけで命の危険がある。そんな世の中で働けるわけがないのだった。
________________________________________________
静かに手元のパソコンを覗き込む。そこには通常では考えられない程のお金が振り込まれていた。そして、それと同時に一言だけ…恐らく政府でまだ働いている人の手で…言葉が添えられていた。
〈期待しています。〉
その言葉を見て、静かに昔の事を思い出していた。懐かしい気分になる言葉だと思っていた。人と関わる事が減り、誰とも話さない中で与えられたその言葉は昔に戻ったみたいに思い出が思い起こされた。
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『流石零ちゃん!!』
『空音さんは凄いわね。この調子で頑張りましょう。』
『…なんであの子だけ…ッ!!』
全部、全部飽きるほど聞いた言葉だった。賞賛、期待、嫉妬。その当時は鬱陶しい言葉だった。
そりゃそうだ。
それは、空っぽで人の努力も知らずにかけていい言葉じゃない。
それは、幼い子供に背負わせて、望んでいい願いじゃない。
それは、中途半端な才能と努力しかない奴が得ようとしていい結果じゃない。
ずっとそんな言葉ばかり聞いてきた。私は冷め切った捻くれた子供だった。当たり前だ。周りがそうさせた。
どうだっていい。自分以外の才能なんてない。自分が1番でその他はその他でしかない。役立たずの集まり。烏合の衆。
『れ〜い、また難しい顔してるよ。』
『はい、お茶。最近休んでないでしょ、零。』
そんなどうしようもない私を根本から変えたのは2人の人物だった。私の親友2人。無邪気に笑う2人が好き。賞賛でも期待でも、嫉妬でもない。そんな感情が一切見えない。本気で私を心配してくれたのは後にも先にも2人だけだった。
世界は悪い方向へと突き進んでいった。それでも、2人がいるなら別にいいとすら思えた。私は、2人に出会ってやっと普通の少女になれた気分だった。
『明日華、これはこういう事だよ!』
『えぇ〜??ん〜???』
『明日華…はもう諦めましょうか。零、ここはこういう事?』
『うん、そうそう。』
『ちょっと2人とも待って〜!!』
パソコンの前で向かい合って、コードを見て、意味不明なんて言いながら笑う2人に解説して…、内容は大人顔負けのコードだったけど、話についてきてくれたり、楽しそうに見守ったりしてくれる2人がいれば、私の世界はまだ青で彩られている世界になった。
ただそれが純粋に嬉しかった。
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…でも、気付いていた。
楽しい時間はもう過ぎ去ってしまったのだと。
端末に表示された数字の3分の1程度を一気に使い込む。そして、残った数字の1部でいくつかの材料を発注する。
馬鹿みたいに笑い合った純粋だったあの日はもう戻らないのだから。
静かにパソコンを開く。昔、3人で笑いながら作った馬鹿みたいに細かくて面倒で重いデータ。
表示された日付は既に5年前のものとなっていた。
昨日の事のように思い出せる私の宝物はもう過ぎ去ってしまっていた。
一緒に研究して、パソコンを覗き込んで、分かんないって頭を悩ませて、変な挙動に息が苦しくなるくらい大笑いして……………………
…なくなってしまった。まだ少し暑い夏に描いた涼しい世界での思い出。
私の世界はあの時と同じ温度の室内で描かれているのに、外の酷く暑い世界も、目覚めない2人も……。
もう…変わってしまっていた。
もう、戻れなくなってしまった。
幸せな日々は私の中で溶けて消えてしまった。
まぁお金といっても勿論デジタルマネーだが…今の世の中、物を手に入れようと思えば、全部通販だ。それも、注文されたものをAIが選び取り、AIが運んでくる。人の手が使われる事は最早ない。
まぁそりゃそうだ。外に少し居ただけで命の危険がある。そんな世の中で働けるわけがないのだった。
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静かに手元のパソコンを覗き込む。そこには通常では考えられない程のお金が振り込まれていた。そして、それと同時に一言だけ…恐らく政府でまだ働いている人の手で…言葉が添えられていた。
〈期待しています。〉
その言葉を見て、静かに昔の事を思い出していた。懐かしい気分になる言葉だと思っていた。人と関わる事が減り、誰とも話さない中で与えられたその言葉は昔に戻ったみたいに思い出が思い起こされた。
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『流石零ちゃん!!』
『空音さんは凄いわね。この調子で頑張りましょう。』
『…なんであの子だけ…ッ!!』
全部、全部飽きるほど聞いた言葉だった。賞賛、期待、嫉妬。その当時は鬱陶しい言葉だった。
そりゃそうだ。
それは、空っぽで人の努力も知らずにかけていい言葉じゃない。
それは、幼い子供に背負わせて、望んでいい願いじゃない。
それは、中途半端な才能と努力しかない奴が得ようとしていい結果じゃない。
ずっとそんな言葉ばかり聞いてきた。私は冷め切った捻くれた子供だった。当たり前だ。周りがそうさせた。
どうだっていい。自分以外の才能なんてない。自分が1番でその他はその他でしかない。役立たずの集まり。烏合の衆。
『れ〜い、また難しい顔してるよ。』
『はい、お茶。最近休んでないでしょ、零。』
そんなどうしようもない私を根本から変えたのは2人の人物だった。私の親友2人。無邪気に笑う2人が好き。賞賛でも期待でも、嫉妬でもない。そんな感情が一切見えない。本気で私を心配してくれたのは後にも先にも2人だけだった。
世界は悪い方向へと突き進んでいった。それでも、2人がいるなら別にいいとすら思えた。私は、2人に出会ってやっと普通の少女になれた気分だった。
『明日華、これはこういう事だよ!』
『えぇ〜??ん〜???』
『明日華…はもう諦めましょうか。零、ここはこういう事?』
『うん、そうそう。』
『ちょっと2人とも待って〜!!』
パソコンの前で向かい合って、コードを見て、意味不明なんて言いながら笑う2人に解説して…、内容は大人顔負けのコードだったけど、話についてきてくれたり、楽しそうに見守ったりしてくれる2人がいれば、私の世界はまだ青で彩られている世界になった。
ただそれが純粋に嬉しかった。
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…でも、気付いていた。
楽しい時間はもう過ぎ去ってしまったのだと。
端末に表示された数字の3分の1程度を一気に使い込む。そして、残った数字の1部でいくつかの材料を発注する。
馬鹿みたいに笑い合った純粋だったあの日はもう戻らないのだから。
静かにパソコンを開く。昔、3人で笑いながら作った馬鹿みたいに細かくて面倒で重いデータ。
表示された日付は既に5年前のものとなっていた。
昨日の事のように思い出せる私の宝物はもう過ぎ去ってしまっていた。
一緒に研究して、パソコンを覗き込んで、分かんないって頭を悩ませて、変な挙動に息が苦しくなるくらい大笑いして……………………
…なくなってしまった。まだ少し暑い夏に描いた涼しい世界での思い出。
私の世界はあの時と同じ温度の室内で描かれているのに、外の酷く暑い世界も、目覚めない2人も……。
もう…変わってしまっていた。
もう、戻れなくなってしまった。
幸せな日々は私の中で溶けて消えてしまった。