他者の人生は劇に似ている。
そのスポットライトは主役にだけ当たり続ける。
人生の大きな出来事を軸に物語は展開されていく。
小さな出来事も脇役もスポットライトが当たる事はない。
だからこそ…観客は矛盾していようとも気づかない。

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いつか、誰かがそう言った。他者の人生を見る事はは劇と似ている、と。誰かもわからない、名も残っていない、そんな誰かの言葉がこの世界には大量に残っている。なぜ名前を残さなかったのか、なんて分からなかったが、私が思うにその誰かは正体を知られたくなかったけれど存在を忘れられたくなかったのだと思う。

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…今のは？脳内に得体も知らない文字が現れたような…？錯覚だろうか？…まぁいい。
この言葉を出した意味だがこの言葉では小さな出来事も脇役もスポットライトが当たらない、つまり見られない。そう言っているのだ。矛盾にすらも気付かない、と。ならば…彼らの目に映るのも真実ではなく目の前にある答えなのだろう。だからこそ、彼らは気付かない。だって興味がないのだから。

桜ノ王国も真道国も比較的近い位置にある国で住む人の見た目や特徴も似ている。それこそ…どちらかがどちらかの見た目に変装すれば見分けがつかないほどに。言語で見分けがつくと思われるだろうがこの世界では言語についてはほとんどの人が自動翻訳魔法を使っている。だからこそ気づかない。まぁ、それは他国が私たちにそこまで興味がないのも理由の１つなのだが。

そこで私が考えた策は簡単かつ大きな賭けだった。
帯課　秦に侵入者となってもらい、見た目は真道国によせ、武器、服装は真道国に直接向かい、平民に買わせて貰った。それだけで真道国の革命家に見えるだろう。行動の裏にある意思も平民ならば理解できる。上の皺寄せをくらうのは平民で苦労し、貧しくなっていくのも平民だからそれに耐えきれなかったのだろうと。だが、他国はそれを分かった上で重要視するのは真道国に攻撃されかけたという事実である事も容易く予想がついた。私がしなければならないのは交渉ではない。足止めだ。彼女らをこんなにも信用するとは思わなかったが、信じざる負えないのだ。交渉でこちら側へ傾ける事ができるほど王というものは甘くない。なによりそんな交渉術は持ち合わせていない。ならば彼女らが残る3代大国の内の2国を攻略してみせると信じるしかない。大国の全てが革命派になれば他中小国も革命に賛同するしかない。それを待つしかない。

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成功しないかもしれない…なんて杞憂で要らぬ心配だ。何故なら…私の周りは…帯課　秦は優秀だからだ。帯課　秦が武器を構え、大国に牙を剥こうとした瞬間、

【神皇桜司】『王ノ君臨』

私の能力…【神皇桜司】の『王ノ君臨』によるオーラで跪かせる。帯課　秦の対抗しようとする演技も含め最高の出来だった。もちろん真道国は抵抗しようとしたが大国が黙らせた。目の前で起きた事が事実なのだと。本当に種を撒いた瞬間から燃え盛るその様は滑稽で愚かだった。だが人間なんて案外馬鹿で…そんなものだ。
帯課　秦は捕まったが見張りの隙をついて気絶させ、姿を上手く眩ませた。

相変わらず便利な能力だと思う。指定した範囲内で起こった物事を全て完璧に把握できる。また、範囲内の事象…例えば真道国を指定すれば真道国に地震を起こす事…などもできる。

今回は完璧なパーフェクトゲームとなった。次は頭脳戦も何も無い戦闘となる。ただ叩き潰すだけだ。さてと…



ーーー次はどうしたものかな…？