家に着いた。
いや、
私たちの家があったところについた。

「………………」

頭が遠のくような、血が引いて行く感覚。
鼓動がうるさい。
自分の荒い呼吸音と鼓動の音以外何も聞こえない。
コレは夢だ夢だ。
そう思いたかった。でも夢なんかじゃない。

「おや、君は………。」

白髪で飄々とした男が私の方を見た。頭が真っ白になる、体が震える。もう嫌だ。こんな怖いことを体験するなら、今すぐ死にたい。
心も体もそう叫ぶ。
だけど、私の魂は、ごうの安全を確認するまでそこを離れようとしない。

「ご、ごう。私の弟、どこ……っ」

震える手を押さえながら、私はその飄々とした男に聞いた。

「ごう、………。あぁ。この短髪のガキの事か」

横隔膜が痙攣した。
胃から何かが出てきそうな気持ち悪さ
吐き気がする。
臭い。
そして、ようやく現実を受け入れた。

男の右手には
ごうの片腕があった。
その奥を見ると
家族の誰かの目玉がこちらを見る。

家族はあの日飄々とした男
白鉄によって殺された。

「………っ」
「おっと、危ない。」
息をするのも忘れてた、多分脳がオーバーヒートして
私はその場で気絶した。
その後の会話は朧げだった。
「白鉄………。コレで本当にいいと思ってんの？」
「あなたの能力なら、死んだ者も生き返らせる事、可能だろうリファ」
「………あぁ。」

その後私は自分を捨てた。
白亜なんて可愛い名前じゃなくて

　ヴァイラ　とかいう弟の好きなゲームからとった名前。

もうどうでもよかった。復讐とかも全部どうでもよかった。
だって目が覚めたら、
弟が生きていたから。
片目は眼帯をしていて、片腕は隻腕だったけど。

弟が生きていた、もうそれだけで私は十分だった。
そのあとは2人で殺し屋を続けた。
意味もない殺しを何年も続けた。

けど不思議と殺すことに抵抗を感じなかった。
もうぶっ壊れてる人間だから。

私はヴァイラ


弟は鰲海



一緒にいられるならこれ以上何も望まない。


「そう、だったんだ。」
「あぁ、まだ本題に入っていなかったね」

彼女が椿に行った「助けて」その内容はまだ明かされてない。
一体彼女の身に何が起きたのか。

「簡潔に言うね。椿ちゃん」
「うん。」


「白鉄が8s幹部を殺そうとしてるの。」
「え？なんで？」

不思議そうに尋ねる。それもそうだ。
なぜ、8sのボスが幹部全員を殺そうとしているのか。

「理由はわからない。でも、私たちじゃ止められない。だから………。」

椿がこの提案を受け入れてくれる確証なんてない。
そう、ヴァイラは賭けに出た。

「…………。」
「……………………………。」

長い沈黙の末に椿は答えを出した。

「じゃ、今すぐ白鉄ってやつ。殺しに行こうか」
「え？いいの？」

「うん。私たちも丁度、白鉄殺したかったし。いいよ。とりあえず先にみんなと合流しよ。」

「……うん。」