鴉は、ただ朱里に普通の人生を歩んでほしかった。

彼女が笑い、泣き、夢を見て――誰かを愛し、誰かに傷つけられる。

そんな日常を。

ありふれた普通の日常を。

しかし、俺の手で彼女の感情を静かに奪い取った。

復讐に燃え、殺し屋の道へと迷い込むことを、どうしても阻止したかったからだ。

殺し屋はロクなもんじゃない。

殺し屋の多くは、復讐に心を蝕まれている。
その業火に焼かれた者たちは、やがて自分自身も失ってしまうのだ。

鴉は朱里にそんな最期を迎えてほしくなかった。

だが、それだけではなかった。
彼自身もまた、殺し屋の一人だった。
いつか、もし朱里が自分の過去を知ってしまえば、彼女の命は確実に奪われるだろう。
だから、彼は朱里の記憶までも、そっと消し去った。

当時9歳である、

スフェの「記憶のユートピア」の能力を使用して

けど、それが
彼女、朱里が消える原因だった。

感情も記憶も奪われた朱里は、
もはや彼が知る“普通の彼女”ではなかった。
空っぽの中に残されたのは、
ただ冷たい刃。
生温い返り血。

彼女は知らぬ間に、殺し屋となっていた。


しかし彼女は今でも生きている。




だから全てを壊す。

殺し屋こそ救うべき人間だと信じて。


殺し屋の世界に入る人間の99%の人間は
誰かに背中を押されて地獄に来る。

それは両親を殺された復讐心であったり
何か奪われたモノを取り返すためであったり。


しかし残りの１%は違う。

その地獄に希望がある、全部殺したその先に希望があると信じて自ら足を踏み入れる狂人だ。
　　　　　


そして全殺し屋に注ぐ。


「俺がこの世界を終わらせてやる。………か。」
ふぅと本を閉じ、後ろの仲間と目を合わせる。
今はシンと静まり返った鴉のアジト。
鴉の部屋にあった黒い小説のような活字を二人は読んでいた。
「なぁ、陽。」
「なんですか？」
「鴉のやろうとしてる事。本当に止めてええんかな」
「………..。」
「……………なぁ鴉。ホンマお前のゆーとーりやわ。こんな世界ロクなもんちゃう。」
木刀を眺めながら昔の事を思い出す。
「それはちゃうやろ、夏祭。」
「るる？」
るるが部屋に入ってくる。

「確かにウチらは殺し屋で普通の人間ちゃう。けどな、」

そして一呼吸おいて言う。

「ウチ、あんたらと出会えてよかったわ、殺し屋ちゃうかったらこんなオモロイ奴らと、出会えへんかったしな。」
「………….！」
「るるちゃーん！！！私もだよーっ！！」
「だよなぁ！ひなたぁ！！」
「あーはいはい、馬鹿ップルはとっととくたばれや」
そして鴉の残った人間は


「っしゃ、ほな行くかぁ、あのバカラス止めに。」
18:00

旧鴉　アメリカ　アサシン第二アジトに到着。




一方






ナイトメア

レーヴ地下一階。
「テメェはどっちの味方なんだァ！？」
「うるさいなぁ、ルーカス君。」
拳銃をメイリスの眉間に押し付け今にも発砲しそうなルーカス。
「落ち着けよッ！ルーカス！」
ラヴは必死にそれを止めている。
「でもさぁ、ラヴ〜。黄金楽座の報告は聞いたけでしょ。」
「………でもよ、」
「じゃあ、メイリス関わっちゃダメな人間ってわかるよね」
「ッ！！！」
そしてルーカスを抑えてる手の力が弱くなる。
「でも言って欲しいよねぇ。こっちはパイセン死んで動揺しまくってまだ不安なんだから」
珍しく酒を呑まず椿は言った。
「..メイリスさんって悪者だったんですか！？えっ！？」
「それを今から確かめるんだよ」
鏡裏が麻雀をしながら言った。
「それってつまり」

「メイリス、テメーは一体なにがしてぇんだ」

そしてメイリスの口が緩む。
「君たち、、この世界から人が消えちゃえばいいって思ったことはない？」
「ア？」
「………何言ってんの」
ルーカスとラヴは困惑している。
いや、その場にいたナイトメアなら全員が困惑した。
「そりゃ、あるっしょ。」
そんな中スフェは呑気に答えた。
確かにこの世界から人間が消えてしまえばいい。それは誰しも一度は思うことだろう。

だが

「君たちはこの世界から全人類を消すことはできないでしょ？」
「ァ？舐めてんのか？テメェ！」
さらに強く銃口を押し付ける。

「私はねそれができる人間なんだよ。わかる？この意味」
メイリスは不気味に笑う
「わっかんねェよ全然！」
そしてまた、メイリスが口を開く
「私はね8sやKAN」

「どっちの味方でもないんだよ。ただこの世界を消すために動き続ける人間だよ」
「…….わっ、わかりません、そんなこと言われたって。」
玲那が怯えながらナイフを、ぎゅっと握る。
「……………….じゃあなんで貴方は私たちを助けたんですか？」
顔を下にやっていたメイリスが
「それはね、実際にやってみた方がわかるかも！！」
と満面の笑みで顔を上げる
[太字]「喜内」[/太字]

するとどこからか声が聞こえた

「【空間抹殺感】ポータル式。展開」

すると

その場にいた全員が。

ナイトメア全員が

どこかに送られた。

「眩しッ！！！」
眩しい光に包まれてどこかに送られた。
否
どこかじゃない。


ゆっくりと目を開ける。
そしてあの匂いを思い出す。
血の匂い、瓦礫の匂い
「ここって」
虎牙は既視感を覚えた。
いや、
既視感なんてもんじゃない


「………..虎牙？」

そして誰かに声をかけられた。




inアサシン
「ん？お嬢どうし…….」
烏丸が、ジュリの方を見る。
そして
「ジュ…. リ？」
お嬢呼びを忘れるほど驚いた。
「どうしたんだ魅弥。」
「お嬢……..」



「泣いてますよ？」


「えっ？」