それから二週間後。
「ナイトメア」
アジト。
笹丸の部屋は暗いままだった。
二週間みんな元気がなかった。
いや、
そんなこともなかった。
「ねぇ。ラヴ〜。リモコンとって。ニュースみたい。」
「……….自分で取れ。」
こたつでは、ラヴがスフェにみかんを食べさせていた。
キッチンでは
「あぁ？虎牙。テメェ。馬鹿だろ。なんで、そんなんなるんだぁ？」
「馬鹿じゃないです！真面目です！」
「そう言ってるルーカスもあんま美味しそうには見えへんけどな。」
哭軌が横からルーカスにツッコミを入れる。
確かにルーカスの切ったじゃがいもは。
いや。
握りつぶしたじゃがいもは木っ端微塵になっていた。
しかし、虎牙に関してはもう、原型すらなかった。
その頃、冷の部屋では。
「ねぇ〜。櫂凛〜。俺もポテチ食べたい。あっ冷も食べる？」
「いらない。てか、俺の部屋で食うな櫂凛。匂いが残る。」
「はぁ？いいじゃん冷。ていうか、もう食べてるし。なぁ櫂凜」
「ピッタリくっつくな。櫂凜」
櫂凛と櫂凜が冷の部屋で某レースゲームをやっていた。
櫂凛と櫂凜は本当に似ている。
見分けをつけると言ったら髪色くらいしかない。

inリビング。

「ふぁあ〜。昼間から酒とか最高〜。」
日本酒の瓶を上に掲げてぶん回している椿。
「椿様、、、。そんなに酔ってよろしいのでしょうか。それよりも虎牙様のお料理の方が心配でなりませんね。」
ちょっと引きながら虎牙の方向を見ているレイチェル。
「本当。面白いよ。酔っている人を見るのは。」
ノアが、若干見下して滑稽だなと言わんばかりの表情をしている。

ーーin駐車場。

「玲奈。この武器結構いい感じ。」
「ほっ、本当！？よかったぁ〜。うまくコピーできて。」
瑠奈が椿特製斧の刃を角度を変えて見ている。
その横で新しい武器をドンドンとコピーする玲奈がいた。
「それに比べて。あれは何。」
瑠奈の指さす方向には。
「あっ。これはっ！！ダメっ！！」
ふわふわであきらかに殺傷能力のない。
猫の着ぐるみのようなものがあった。
おそらく、間違ってアイドル時代使っていた衣装を武器として出してしまったのだろう。
「まぁ、いいんじゃない？」
玲奈は恥ずかしいそうに顔を手で覆った。

inスーパー。
「えっと。次はなんだ？」
「おい、早くしろ。私は麻雀がしたい。」
「はいはい、もう終わるからなー。」
メモを見ながら蓮はカートを押す。
隣で若干不貞腐れている鏡裏など気にせず。
そして頼まれていた具材を順調に購入していく。
「てかさ。鏡裏。」
「なんだ。」
「笹丸は無事だと思うか？」
死んだ魚が氷水に浮いている。
そして、蓮は一番大きい魚を選んで袋にいてらもらった。
「私はそんなこと知らない。実際。現場にいなかったしな。」
その通りだった。鏡裏、レイチェル、ノア、櫂凛、櫂凜。この5人は別の任務に出ていた。
「そうだよな。」
どこか遠くを見つめていた。
時は進み。正午。
まだ、お昼の時間まで少しあったので、各々好きなことをやりに行く。
ここ最近は何故だかわからないが
全く依頼が来ない。
まるで存在が消されたように。
その時。
インターホンがなった。
その場にいた全員はKANの関係者だとすぐわかった。
アジトは地下が主となっている。
そのため地上から階段を降りてリビングへと行かなければならない。
（ホテルとかの避難用階段のような感じ。）
しかし。情報漏洩のため
リビングへと繋がる部屋の前は
地上にある玄関とほとんど変わらない構造をしていた。
そんな家の構造を見抜けるのは
KANの関係者しかいなかった。
「はい。」
とラヴが扉を開ける。
そこには。
真っ白な髪色をして。
ショートカットの下にロングヘア。
ウルフカットのような、不思議な髪型をした少女と後ろには猫の着ぐるみを、被った人がいた。
「…..お前ら誰?」
「私はレーヴのリーダー。メイリス。君たちを助けにきたよ。」
「……….とりあえず。中で話。聞きますよ。」



ーーーー
「ふふっ。お酒って何でこんなにも美味しいのだろうか。」
「わかる〜。早くパイセンも飲めるようになればいいのになぁ〜。」
メイリスは訪問早々に椿に捕まり。酒飲みの仲間にされていた。
「….うぃ。おつまみどーぞ。」
ラヴがおつまみを持ってくる。
「なぁ、ゲームやろ？」
「ねぇ、ゲームしよ？」
櫂凜と櫂凛が同時に話しかけてくる。
「ふぇ〜？よっけるけろいいのぉ〜？」
「「姫。少しは弁えてください。」」
そして、櫂凜と櫂凛と冷とメイリスは某レースゲームを始めた。
ルーカス、虎牙、哭軌は自室に戻って行き。
「僕は賭け事無敗ですが。鏡裏様?よろしいのでしょうか。」
「あぁ。私も麻雀に関しては無敗なもんねでね。」
鏡裏とレイチェルは客人にもお構いなしに、麻雀でお金を賭けて勝負をしていた。
（お金をかけて麻雀をすることは違法です。みなさん真似しないように。）

「わたしの名前はノアだよ。君はなんだい？聞かせてくれるかい？」
「「突然の訪問、申し訳ない。私はレーヴの構成員の1人。レイジと申します。」」
相変わらずスマホ越しの会話に変わりはない。
「俺は冷。そんで？要件は？」
「「貴方達を保護しにまいりました。」」
単刀直入に言った。
冷とノアは何故保護されなければいけないか。
そんな疑問の答えを瞬時に導き出した。
「…….あの戦いの結果はどうなったんだ。」
冷がお茶を啜った。　
ノアはレイジが信用に値する人物かどうかを判断するためにずっとレイジの一言一動を見続けている。



「「……そうですね。話しましょうか。あの続きを。」