圧倒的人手不足殺し屋 KAN
「さっさと終わりにしましょうか。」
鰲海が笹丸を思いっきり蹴飛ばす。
刀で受け止めるも
「!?」
刀が折れそうになる
そして、校内にあった電柱まで吹き飛ばされる
が。
「ッ!!威力強すぎだろ。」
電柱に刀を刺し。
その上に立ち受け身を取る。
余裕そうな表情をしているが
体が悲鳴をあげる。
笹丸は反動によるダメージ。
それに加えて、
今日の能力許容範囲を超えていた。
彼はもう、
いつ死んでもおかしくなかった。
一体何が彼をそこまで突き動かすのだろう。
「火星」
後ろから声が聞こえたと同時に。
「‼︎」
笹丸はまたしても校庭へと
押し出された。
「なんか!白鉄みてぇだな!!コレ!」
刀で火星を支えるも。
限界が来る。
「チッ!!」
煙が舞う。
「神威!!」
火星を受け止めていた刀を横に振り
真っ二つに斬る。
間一髪で笹丸は圧迫死を逃れることができた。
煙がさらに舞う。
(全員相手すんの、流石にきついか?)
そう考えてる一瞬のうちに。
「!?」
背後から無数の殺気を感じた。
煙が待っているせいでよく見えないが。
確かに誰かがいた。
そして、
さっきのする方向に
斬撃を放つ。
が。
「あっはははっ!私はダミーだよ?」
そこにいたのは人形の藍。
生首の状態で笑う。
つまりダミーだ。
ダミーを殺した瞬間。
自分の腹に
ナイフが貫通した。
「馬鹿だね。」
「はっ。何その服。趣味悪。」
痛みも全部堪えて笹丸は煽る。
チッと舌打ちをして。
「こんなことはさ。したかねぇけどよ!」
腹に貫通しているナイフを握り締める。
思いっきり握り絞めた。
藍の身動きが取れないくらい。
「は?何して。」
笹丸は刀を抜き。
「ッ!!!!!!!」
藍に刺された箇所の少し上あたりを
自分で貫いた。
「あばよ。」
そして、
藍の頭に刀が貫通した。
自分を犠牲にした予測不可能の攻撃。
確実に殺す一撃。
「いってぇ。で?次は?」
自分の腹からゆっくり刀とナイフを抜き。
一応。藍の頭をもう一度ナイフで刺しておく。
全身も切り傷だらけなのに。
虚弱体質でもう、体力も残ってないのに。
更に自分を傷つける行為に
その場にいた全員は驚愕した。
ーー「居合!白羽場流!!!」
「上か」
今度は上から睦月が笹丸目掛けて襲いかかる。
睦月の思い一太刀を抑える。
「ッ‼︎」
腹の傷が広がる感覚がした。
そして、予期せぬことが起こった。
「左目が真っ暗なっちまったなぁ!!」
睦月に集中しすぎたせいで
周りのことを考えていなかった。
夜の静けさを破るように。
笹丸の頭目掛けて横から銃弾が飛んできた。
間一髪で避けた。
だが。
「なんであれ避けられるの〜?」
左を銃弾が掠り。
左目が見えなくなった。
痛みに耐える。
眩暈がする。
血が口から飛び出る。
内臓が飛び出そうだった。
笹丸にとってはかなり不利な状況。
(いける!殺せる!)
そう睦月は思い、死角となっている左目の
左下方向から
低い体制で、睦月の一太刀が笹丸の首を狙う。
吸い込まれるように、
その一太刀は美しかった。
が。
「睦月、避けて」
ヴァイラの忠告など意味をなさなかった。
「ッ!?!?!?」
首を思いっきり
左手で掴まれた。
そのまま空中へと浮いていく。
そして。
ーーー「「阿修羅」」
そんな笹丸の声だけが聞こえる。
彼は刀を捨てていたはず。
風が吹く。
煙が晴れる。
「睦月」
ヴァイラが睦月の名を叫ぶが、
返事は返ってこなかった。
煙が晴れ笹丸の方を見ると。
目の前には。
肉?
微塵切りにされたような肉。
いや、
睦月だ。
跡形も残らないくらいの斬撃を一瞬のうちに浴びせられた結果。
人の形を成していなかった。
ミキサーに肉を入れたような。
トマトをジュースにしたような。
まさに地獄絵図。
笹丸がこちらを向く。
ウォーミングアップは終わりというかのように。
「次」
全身が血だらけで
それなのに、
笹丸は笑っていた。
まさに最強の殺し屋に相応しかった。
「睦月可哀想」
ヴァイラは瓦礫を形状変形させ。
自分の分身を作った後、魂を付与し完全な自分の分身を作り上げだ。
「行ってらっしゃい。私の分身。」
「チッ!「火炎星群!」」
星群の上に乗りサーフィンをするかのように移動すると共に
ミサイルのように星群が
天から降り注ぐ。
その瞬間。
「は?」
一定の距離に入った瞬間。
星群が全て斬られた。
「バカかテメェは。もっと俺について調べてから喧嘩売れ。ボケカスが。」
そして、
笹丸は星群を微塵を気にすることなく。
ヴァイラに集中した。
笹丸に向かって手を伸ばし笹丸の顔に触れようとした時。
ニヤッと笹丸が笑う。
「!?!?」
手に血がつく。
暖かくなる。
自分の体温ではない。
「は?なにして……」
その手を笹丸は自ら握ってきた。
戸惑い一瞬固まる。
その、一瞬の隙を見逃さずに
「「斬撃」」
手から斬撃を放ち
ヴァイラの分身は全身を
斬り尽くされた。
「ッ!!!!!!」
「さっきお前の仲間これで殺したんだけどなぁ。学習しろよ。」
威力は先程よりも落ちていたものの。
腹部大動脈。
心臓。
肺。
全て斬られていた。
能力の効果は切れ、分身はその場で倒れた。
「おい、本体。早くこいよ。」
そう、言い終わると同時に。
上からものすごい音がした。
「うわ、すげぇなぁ。」
天が裂け。
亀裂から
巨大な隕石が火炎を纏っていた。
「威力最大。「炎星」」
オルロフが手を振り落とす。
このまま潰す気だ。
炎を纏った隕石は
近づいてくる。
どんどんと地面が赤くなる。
気温が高くなる。
木が燃え始める。
しかし。
スゥーッと息を吸い。
愛刀を構え。
お得意の居合体制。
そして。
ーーーー「「無斬」」
今までの【斬撃】が、広範囲で
何本もの斬撃を飛ばしていたに対して。
無斬は黒い。
一本の斬撃だった。
その斬撃は
星を容易に斬り。
真っ二つにさせた後。
「威力最大。「神威」」
広範囲かつ、微塵切りのような斬撃を一瞬にして繰り出す。
炎星は
何当分にもなり。
校庭に落ちる。
刀を鞘に納め
「こんなもんかよ。威力最大のくせに」
一瞬で星は砕け散る。
炎が下から彼を照らす。
「で?次は?」
本当にその様子は
地獄の番人のような。
「きもっ。おい、鰲海。あれ本当に人間なのか。」
「しらねぇっすよ。そんなの。ただ。」
「んだよ。」
「アイツ。死ぬ気っすね。だからあんなに捨て身で命を賭けて戦ってるんすよ。多分。」
3人は笹丸から離れた体育館裏に避難した。
おそらく、笹丸の視界からは外れている。
「藍の人形も、睦月も死んだ。どーする。」
若干焦りながらオルロフが言う。
藍の本体こそはまだ生きているが、操る人形のストックがもう全滅してしまった。
「帰るよ。2人とも。」
「は?」
「マジっすか?」
「多分。アイツもう、ほっといても死ぬ。それに見て。上。」
ヴァイラに指示されて上を見る。
「んー?えっ?白鉄!?なんでっすか?…」
上空を見るとそこには
鰲海たちからおよそ200メートル以上離れている場所に、
白鉄がヘリを操縦していた。
あらかじめヴァイラが読んでいたのだろう。
安堵したのも束の間。
目線を少しずらすと。
一気に体が戦場へと帰ってきた。
「帰ってもらっちゃ困るなぁ。おい、白鉄、これ終わったら次はテメェだ。」
「その体で殺生なんてできるんですか?」
体育館の屋根の上から。
地獄の番人が言った。
全身が傷だらけで。
もう、動ける気力はどこにもなかったはず。
「何でここまで….」
そう、ヴァイラが言ったときにはもう遅かった。
屋根にいたはずの笹丸はもういなかった。
横を見る。
血飛沫が飛ぶ。
ヴァイラと鰲海の間にいた人間が死んだ。
そして、入れ替わるように
笹丸がいた。
「…..3人目。」
ゆっくり刀を頭から抜き。刀を降り血を払う。
笹丸はいつのまにか下に降りてて。
刀でオルロフの頭を串刺しにした。
なんとも酷い死に方だろう。
「で。次どっち?」
「ヴァイラ。先帰って。」
珍しく鰲海が敬語を使わずヴァイラに言う。
その表情は真剣だった。
「え?いいの。」
「笹丸のターゲットは俺っすから。」
「俺もだよ。クソ野郎。」
そう言い争っている内にヴァイラは
「じゃあ。そういうことで。」
颯爽とヘリに乗り込んだ。
そして、2人は再び校庭へと戻っていく。
決着をつける気だ。
「いや〜。やっと本気出せるっすね。」
「……その前に確認いいか?」
「何すか?」
「お前。ゲームやってるだろ?ヴァロ◯ント。っつーアレ。」
「あぁ。めちゃくちゃやってるっすね。それが?」
「しらねぇーの?俺「ポテチ」っつー名前でやってんのそのゲーム。お前さ。「ごーりき」だろ。」
ごーりき。それは最近よく笹丸がマッチングするプレイヤーの名前だった。
「……あぁ!!「ポテチ」って笹丸だったんすね。で。わかったからなんすか?」
沈黙が流れる。
「いや。ただ聞きたかっただけ。」
沈黙が流れる。
まぁ、無理もない。
「ふーん。じゃあ」
そう言ってコインを鰲海が空高く投げる。
「あれ!落ちたら殺し合いましょう。」
「わかった。」
そして、コインは落下していく。
ドンドン落ちていく。
そして、
コインが落ちる直前に。
金属と金属がぶつかり合う。
「落ちてからって言ったっすよね。」
「うるせぇ。テメェもだろ。」
鰲海が腕に力を込める。
しかし、血が溢れ出る。
全身の切り傷が踊るように開いていく。
痛みに耐えれば耐えるほど
笑う。
そして、笹丸は吹き飛ばされるが
ナイフを地面に刺し
ブレーキをかける。
そして。
ーーー「居合。神速。」
恐ろしいくらいの殺気が伝わってくる。
鰲海は警戒する。
そして、抜刀。
したかと思ったが、
「は?」
笹丸は鰲海の至近距離にいた。
「零距離!阿修羅!!!!!!」
「ッ!!!!!」
斬撃がお互いの体を傷つける。
鰲海はバツ印をつけられるかのように斬られ。
笹丸は体全身に斬撃の反動が来る。
もう、お互い血を流しすぎている。
「!!っぱ!つぇっすね!!笹丸さん!!!」
「デケェ声出すなよ!!傷に響く!」
それでも笑っていた。
(あー頭いてぇ。全身がいてぇ。呼吸、こんな難しかったっけ。あーもう、ごちゃごちゃ考えんのめんどくせぇ)
「殺しなんてただのゲームだろ!!!」
吹っ切れた。
「そうっすね!!!!!!」
お互いもう、限界が近づいている。
しかし、限界が近づくたびに。
笑う。
狂った笑みを見せる。
鰲海が笹丸を蹴り飛ばす。
受け身を取る。
また、お互い傷が開く。
「ッ!!!。」
(あー。これ、もう限界だな。)
自分の口、体から流れる血をぼーっと見つめながら思う。
笹丸はもう視点も定まっておらず。
(なんかさみぃな。)
血液が抜けたせいで体温が著しく低下し。
直立できできなかった。
フラフラした状態で
笹丸は一歩一歩詰め寄るが。
「………。その程度だったんすね。」
倒れかける、
(やべー。倒れる。まだ、終わってねぇのに)
そう、思っていても体は言うことを聞かない。
(でももう、アイツも戦う気力ねぇはず。それに俺は、もう。生き延びたとしても、後がない。)
笹丸は心のどこかでそう思う。
そして倒れる直前。
最後まで倒れない奴が、最強だと思うんだよね
「っぶねぇ。そうだったよなぁ!ソフィア!!」
昔の同期。ソフィアの言葉を思い出し。
足に力をかけ。
体制を保つ。
「これで最後な。」
構える。
居合体制。
「最大威力。」
その場の空気を笹丸が制す。
目にも止まらぬ速さで刀を抜く。
だが、【斬撃】は発動しない。
ーーーー「不動明王」
次の瞬間。
建物が崩壊し始めた。
細かく斬られていく。
虫も、木も、土も、建物も
もう、
バランスもクソもない。
まるで大災害だ。
血と雨が降り注ぐ。
まるでミキサーの中にいるような。
まさに、地獄絵図だった。
一撃、一撃深い斬撃がその場にいた全員に襲いかかる。
それもそうだ。
【斬撃】「不動明王。」
【斬撃】の中で最も威力が高く殺傷能力がある。「不動明王」は「阿修羅」と同じ原理でできている。
能力ごと斬ってしまうため、防御不可避のチート技だ。
加え、使っている人間が笹丸であったため、更に攻撃力が増し。深い一撃が与えられる。
攻撃範囲は能力者の指定した一定の範囲内に入っている、万物。人間を斬っていく。
この技はとても厄介な物だ。
いや。問題は効果時間にあった。
攻撃時間は範囲に入った人間が死ぬまで。
つまり。
なお、この技は笹丸の愛刀
鬼丸を使用しなければ使えない技。
斬撃が襲う。
敵味方関係なしに
「ッ!!!!!!やっぱ!!!すげぇっすわ。笹丸さん!!」
土地が崩れゆく中。
斬撃に耐えながら鰲海が声を上げる。
鰲海の体はドンドンと深い一撃が入っていく。
「「神威!!!」」
こんな状況下でも笹丸は能力を発動し続けた。
「さっさとくたばれよ!!!」
笹丸は持久戦に持ち込んだ。
どちらかが死ぬまで斬撃は続く。
この一手でどちらかが死ぬ。
「くたばるのはそっちっすよ!!!」
お互い狂気の笑みだった。
こんな状況下でも心から戦いを楽しんでいる。
化け物だ。
「地獄行きはごめんっすわ!!!!」
「俺もだよ!!!!」
ここより15秒後。
勝敗がつく。
斬撃の中、笹丸は一気に距離を詰める。
鰲海は避けようと足に力を込めるが。
「!?」
先程の神威が足に当たっていた。
そのせいで足に力が入らなかった。
そして、
先程ヴァイラに直してもらった片腕が。
「「斬!!!!」」
笹丸によって斬られる。
首に向かって綺麗な一太刀が入る。
刃が首に触れる。
「不動明王」によってできた深い首の傷を狙いう。
「ッ!!!!!!」
「………。」
一呼吸置き。
笹丸は口を開いた。
「ーーーーーー。」
その瞬間。
斬撃が止んだ。
勝敗がついた。
鰲海が笹丸を思いっきり蹴飛ばす。
刀で受け止めるも
「!?」
刀が折れそうになる
そして、校内にあった電柱まで吹き飛ばされる
が。
「ッ!!威力強すぎだろ。」
電柱に刀を刺し。
その上に立ち受け身を取る。
余裕そうな表情をしているが
体が悲鳴をあげる。
笹丸は反動によるダメージ。
それに加えて、
今日の能力許容範囲を超えていた。
彼はもう、
いつ死んでもおかしくなかった。
一体何が彼をそこまで突き動かすのだろう。
「火星」
後ろから声が聞こえたと同時に。
「‼︎」
笹丸はまたしても校庭へと
押し出された。
「なんか!白鉄みてぇだな!!コレ!」
刀で火星を支えるも。
限界が来る。
「チッ!!」
煙が舞う。
「神威!!」
火星を受け止めていた刀を横に振り
真っ二つに斬る。
間一髪で笹丸は圧迫死を逃れることができた。
煙がさらに舞う。
(全員相手すんの、流石にきついか?)
そう考えてる一瞬のうちに。
「!?」
背後から無数の殺気を感じた。
煙が待っているせいでよく見えないが。
確かに誰かがいた。
そして、
さっきのする方向に
斬撃を放つ。
が。
「あっはははっ!私はダミーだよ?」
そこにいたのは人形の藍。
生首の状態で笑う。
つまりダミーだ。
ダミーを殺した瞬間。
自分の腹に
ナイフが貫通した。
「馬鹿だね。」
「はっ。何その服。趣味悪。」
痛みも全部堪えて笹丸は煽る。
チッと舌打ちをして。
「こんなことはさ。したかねぇけどよ!」
腹に貫通しているナイフを握り締める。
思いっきり握り絞めた。
藍の身動きが取れないくらい。
「は?何して。」
笹丸は刀を抜き。
「ッ!!!!!!!」
藍に刺された箇所の少し上あたりを
自分で貫いた。
「あばよ。」
そして、
藍の頭に刀が貫通した。
自分を犠牲にした予測不可能の攻撃。
確実に殺す一撃。
「いってぇ。で?次は?」
自分の腹からゆっくり刀とナイフを抜き。
一応。藍の頭をもう一度ナイフで刺しておく。
全身も切り傷だらけなのに。
虚弱体質でもう、体力も残ってないのに。
更に自分を傷つける行為に
その場にいた全員は驚愕した。
ーー「居合!白羽場流!!!」
「上か」
今度は上から睦月が笹丸目掛けて襲いかかる。
睦月の思い一太刀を抑える。
「ッ‼︎」
腹の傷が広がる感覚がした。
そして、予期せぬことが起こった。
「左目が真っ暗なっちまったなぁ!!」
睦月に集中しすぎたせいで
周りのことを考えていなかった。
夜の静けさを破るように。
笹丸の頭目掛けて横から銃弾が飛んできた。
間一髪で避けた。
だが。
「なんであれ避けられるの〜?」
左を銃弾が掠り。
左目が見えなくなった。
痛みに耐える。
眩暈がする。
血が口から飛び出る。
内臓が飛び出そうだった。
笹丸にとってはかなり不利な状況。
(いける!殺せる!)
そう睦月は思い、死角となっている左目の
左下方向から
低い体制で、睦月の一太刀が笹丸の首を狙う。
吸い込まれるように、
その一太刀は美しかった。
が。
「睦月、避けて」
ヴァイラの忠告など意味をなさなかった。
「ッ!?!?!?」
首を思いっきり
左手で掴まれた。
そのまま空中へと浮いていく。
そして。
ーーー「「阿修羅」」
そんな笹丸の声だけが聞こえる。
彼は刀を捨てていたはず。
風が吹く。
煙が晴れる。
「睦月」
ヴァイラが睦月の名を叫ぶが、
返事は返ってこなかった。
煙が晴れ笹丸の方を見ると。
目の前には。
肉?
微塵切りにされたような肉。
いや、
睦月だ。
跡形も残らないくらいの斬撃を一瞬のうちに浴びせられた結果。
人の形を成していなかった。
ミキサーに肉を入れたような。
トマトをジュースにしたような。
まさに地獄絵図。
笹丸がこちらを向く。
ウォーミングアップは終わりというかのように。
「次」
全身が血だらけで
それなのに、
笹丸は笑っていた。
まさに最強の殺し屋に相応しかった。
「睦月可哀想」
ヴァイラは瓦礫を形状変形させ。
自分の分身を作った後、魂を付与し完全な自分の分身を作り上げだ。
「行ってらっしゃい。私の分身。」
「チッ!「火炎星群!」」
星群の上に乗りサーフィンをするかのように移動すると共に
ミサイルのように星群が
天から降り注ぐ。
その瞬間。
「は?」
一定の距離に入った瞬間。
星群が全て斬られた。
「バカかテメェは。もっと俺について調べてから喧嘩売れ。ボケカスが。」
そして、
笹丸は星群を微塵を気にすることなく。
ヴァイラに集中した。
笹丸に向かって手を伸ばし笹丸の顔に触れようとした時。
ニヤッと笹丸が笑う。
「!?!?」
手に血がつく。
暖かくなる。
自分の体温ではない。
「は?なにして……」
その手を笹丸は自ら握ってきた。
戸惑い一瞬固まる。
その、一瞬の隙を見逃さずに
「「斬撃」」
手から斬撃を放ち
ヴァイラの分身は全身を
斬り尽くされた。
「ッ!!!!!!」
「さっきお前の仲間これで殺したんだけどなぁ。学習しろよ。」
威力は先程よりも落ちていたものの。
腹部大動脈。
心臓。
肺。
全て斬られていた。
能力の効果は切れ、分身はその場で倒れた。
「おい、本体。早くこいよ。」
そう、言い終わると同時に。
上からものすごい音がした。
「うわ、すげぇなぁ。」
天が裂け。
亀裂から
巨大な隕石が火炎を纏っていた。
「威力最大。「炎星」」
オルロフが手を振り落とす。
このまま潰す気だ。
炎を纏った隕石は
近づいてくる。
どんどんと地面が赤くなる。
気温が高くなる。
木が燃え始める。
しかし。
スゥーッと息を吸い。
愛刀を構え。
お得意の居合体制。
そして。
ーーーー「「無斬」」
今までの【斬撃】が、広範囲で
何本もの斬撃を飛ばしていたに対して。
無斬は黒い。
一本の斬撃だった。
その斬撃は
星を容易に斬り。
真っ二つにさせた後。
「威力最大。「神威」」
広範囲かつ、微塵切りのような斬撃を一瞬にして繰り出す。
炎星は
何当分にもなり。
校庭に落ちる。
刀を鞘に納め
「こんなもんかよ。威力最大のくせに」
一瞬で星は砕け散る。
炎が下から彼を照らす。
「で?次は?」
本当にその様子は
地獄の番人のような。
「きもっ。おい、鰲海。あれ本当に人間なのか。」
「しらねぇっすよ。そんなの。ただ。」
「んだよ。」
「アイツ。死ぬ気っすね。だからあんなに捨て身で命を賭けて戦ってるんすよ。多分。」
3人は笹丸から離れた体育館裏に避難した。
おそらく、笹丸の視界からは外れている。
「藍の人形も、睦月も死んだ。どーする。」
若干焦りながらオルロフが言う。
藍の本体こそはまだ生きているが、操る人形のストックがもう全滅してしまった。
「帰るよ。2人とも。」
「は?」
「マジっすか?」
「多分。アイツもう、ほっといても死ぬ。それに見て。上。」
ヴァイラに指示されて上を見る。
「んー?えっ?白鉄!?なんでっすか?…」
上空を見るとそこには
鰲海たちからおよそ200メートル以上離れている場所に、
白鉄がヘリを操縦していた。
あらかじめヴァイラが読んでいたのだろう。
安堵したのも束の間。
目線を少しずらすと。
一気に体が戦場へと帰ってきた。
「帰ってもらっちゃ困るなぁ。おい、白鉄、これ終わったら次はテメェだ。」
「その体で殺生なんてできるんですか?」
体育館の屋根の上から。
地獄の番人が言った。
全身が傷だらけで。
もう、動ける気力はどこにもなかったはず。
「何でここまで….」
そう、ヴァイラが言ったときにはもう遅かった。
屋根にいたはずの笹丸はもういなかった。
横を見る。
血飛沫が飛ぶ。
ヴァイラと鰲海の間にいた人間が死んだ。
そして、入れ替わるように
笹丸がいた。
「…..3人目。」
ゆっくり刀を頭から抜き。刀を降り血を払う。
笹丸はいつのまにか下に降りてて。
刀でオルロフの頭を串刺しにした。
なんとも酷い死に方だろう。
「で。次どっち?」
「ヴァイラ。先帰って。」
珍しく鰲海が敬語を使わずヴァイラに言う。
その表情は真剣だった。
「え?いいの。」
「笹丸のターゲットは俺っすから。」
「俺もだよ。クソ野郎。」
そう言い争っている内にヴァイラは
「じゃあ。そういうことで。」
颯爽とヘリに乗り込んだ。
そして、2人は再び校庭へと戻っていく。
決着をつける気だ。
「いや〜。やっと本気出せるっすね。」
「……その前に確認いいか?」
「何すか?」
「お前。ゲームやってるだろ?ヴァロ◯ント。っつーアレ。」
「あぁ。めちゃくちゃやってるっすね。それが?」
「しらねぇーの?俺「ポテチ」っつー名前でやってんのそのゲーム。お前さ。「ごーりき」だろ。」
ごーりき。それは最近よく笹丸がマッチングするプレイヤーの名前だった。
「……あぁ!!「ポテチ」って笹丸だったんすね。で。わかったからなんすか?」
沈黙が流れる。
「いや。ただ聞きたかっただけ。」
沈黙が流れる。
まぁ、無理もない。
「ふーん。じゃあ」
そう言ってコインを鰲海が空高く投げる。
「あれ!落ちたら殺し合いましょう。」
「わかった。」
そして、コインは落下していく。
ドンドン落ちていく。
そして、
コインが落ちる直前に。
金属と金属がぶつかり合う。
「落ちてからって言ったっすよね。」
「うるせぇ。テメェもだろ。」
鰲海が腕に力を込める。
しかし、血が溢れ出る。
全身の切り傷が踊るように開いていく。
痛みに耐えれば耐えるほど
笑う。
そして、笹丸は吹き飛ばされるが
ナイフを地面に刺し
ブレーキをかける。
そして。
ーーー「居合。神速。」
恐ろしいくらいの殺気が伝わってくる。
鰲海は警戒する。
そして、抜刀。
したかと思ったが、
「は?」
笹丸は鰲海の至近距離にいた。
「零距離!阿修羅!!!!!!」
「ッ!!!!!」
斬撃がお互いの体を傷つける。
鰲海はバツ印をつけられるかのように斬られ。
笹丸は体全身に斬撃の反動が来る。
もう、お互い血を流しすぎている。
「!!っぱ!つぇっすね!!笹丸さん!!!」
「デケェ声出すなよ!!傷に響く!」
それでも笑っていた。
(あー頭いてぇ。全身がいてぇ。呼吸、こんな難しかったっけ。あーもう、ごちゃごちゃ考えんのめんどくせぇ)
「殺しなんてただのゲームだろ!!!」
吹っ切れた。
「そうっすね!!!!!!」
お互いもう、限界が近づいている。
しかし、限界が近づくたびに。
笑う。
狂った笑みを見せる。
鰲海が笹丸を蹴り飛ばす。
受け身を取る。
また、お互い傷が開く。
「ッ!!!。」
(あー。これ、もう限界だな。)
自分の口、体から流れる血をぼーっと見つめながら思う。
笹丸はもう視点も定まっておらず。
(なんかさみぃな。)
血液が抜けたせいで体温が著しく低下し。
直立できできなかった。
フラフラした状態で
笹丸は一歩一歩詰め寄るが。
「………。その程度だったんすね。」
倒れかける、
(やべー。倒れる。まだ、終わってねぇのに)
そう、思っていても体は言うことを聞かない。
(でももう、アイツも戦う気力ねぇはず。それに俺は、もう。生き延びたとしても、後がない。)
笹丸は心のどこかでそう思う。
そして倒れる直前。
最後まで倒れない奴が、最強だと思うんだよね
「っぶねぇ。そうだったよなぁ!ソフィア!!」
昔の同期。ソフィアの言葉を思い出し。
足に力をかけ。
体制を保つ。
「これで最後な。」
構える。
居合体制。
「最大威力。」
その場の空気を笹丸が制す。
目にも止まらぬ速さで刀を抜く。
だが、【斬撃】は発動しない。
ーーーー「不動明王」
次の瞬間。
建物が崩壊し始めた。
細かく斬られていく。
虫も、木も、土も、建物も
もう、
バランスもクソもない。
まるで大災害だ。
血と雨が降り注ぐ。
まるでミキサーの中にいるような。
まさに、地獄絵図だった。
一撃、一撃深い斬撃がその場にいた全員に襲いかかる。
それもそうだ。
【斬撃】「不動明王。」
【斬撃】の中で最も威力が高く殺傷能力がある。「不動明王」は「阿修羅」と同じ原理でできている。
能力ごと斬ってしまうため、防御不可避のチート技だ。
加え、使っている人間が笹丸であったため、更に攻撃力が増し。深い一撃が与えられる。
攻撃範囲は能力者の指定した一定の範囲内に入っている、万物。人間を斬っていく。
この技はとても厄介な物だ。
いや。問題は効果時間にあった。
攻撃時間は範囲に入った人間が死ぬまで。
つまり。
なお、この技は笹丸の愛刀
鬼丸を使用しなければ使えない技。
斬撃が襲う。
敵味方関係なしに
「ッ!!!!!!やっぱ!!!すげぇっすわ。笹丸さん!!」
土地が崩れゆく中。
斬撃に耐えながら鰲海が声を上げる。
鰲海の体はドンドンと深い一撃が入っていく。
「「神威!!!」」
こんな状況下でも笹丸は能力を発動し続けた。
「さっさとくたばれよ!!!」
笹丸は持久戦に持ち込んだ。
どちらかが死ぬまで斬撃は続く。
この一手でどちらかが死ぬ。
「くたばるのはそっちっすよ!!!」
お互い狂気の笑みだった。
こんな状況下でも心から戦いを楽しんでいる。
化け物だ。
「地獄行きはごめんっすわ!!!!」
「俺もだよ!!!!」
ここより15秒後。
勝敗がつく。
斬撃の中、笹丸は一気に距離を詰める。
鰲海は避けようと足に力を込めるが。
「!?」
先程の神威が足に当たっていた。
そのせいで足に力が入らなかった。
そして、
先程ヴァイラに直してもらった片腕が。
「「斬!!!!」」
笹丸によって斬られる。
首に向かって綺麗な一太刀が入る。
刃が首に触れる。
「不動明王」によってできた深い首の傷を狙いう。
「ッ!!!!!!」
「………。」
一呼吸置き。
笹丸は口を開いた。
「ーーーーーー。」
その瞬間。
斬撃が止んだ。
勝敗がついた。