鍵盤の王女様
大学を卒業してから、僕はゲーム会社で働きつつ、副業で作曲をしている。
「小林君、お帰り」
会社から帰ると毎日、妻が出迎えてくれる。
「結婚しても、呼び方は変わらないんだね」
朱音は結婚しても、いまだに僕のことを「中村さん」と呼ぶ。
「それより、小林君。お風呂にする?ご飯にする?それとも、」
「ご飯で」
仕事終わりは腹が減っている、まずは何か食べたい。
「......今日の夕ご飯はシチューだよ」
朱音は料理が上手い。ピアノをやっていて手先が器用だからだろうか。
「小林君はなんて呼んでほしいの?」
「ああ、その話か......じゃあ、裕太君で」
下の名前で呼んでもらったほうが、何か嬉しい。
「じゃあ、裕太君。来月ピアノのコンサートがあるの」
朱音は、主婦をしながらピアノをしている。今では日本でトップクラスに有名なピアニストだ。
でも、演奏会やコンサートで弾くのは、いずれも僕の曲のみだ。自分の曲を完璧なピアノで演奏してくれるのは、とても嬉しいことである。
「じゃあ、行っていいの?」
皆の前で堂々とピアノを弾く朱音は、何度見ても新鮮なものだ。
「招待券あげるので、ぜひ来てください」
「承知いたしました」
謎の敬語だ。
「それと、今からでも良いから曲って作れる?」
「もちろん、明後日くらいに楽譜ができるけど、良い?」
「そのくらい早いと、すごく助かる」
曲を作るのに三時間、それを機械に通して楽譜にしてから、ところどころ修正して完成だ。
「あと、もう一つ伝えたいことがあって...」
朱音は笑顔なのに、なにか緊張している様だ。
「何?」
「あのね...」
少し間が開いた。
「裕太君の子供が出来ました」
愛する妻と、妻との子供。幸せな家庭にするためには、もっと仕事と作曲を頑張ろうと思った。
「小林君、お帰り」
会社から帰ると毎日、妻が出迎えてくれる。
「結婚しても、呼び方は変わらないんだね」
朱音は結婚しても、いまだに僕のことを「中村さん」と呼ぶ。
「それより、小林君。お風呂にする?ご飯にする?それとも、」
「ご飯で」
仕事終わりは腹が減っている、まずは何か食べたい。
「......今日の夕ご飯はシチューだよ」
朱音は料理が上手い。ピアノをやっていて手先が器用だからだろうか。
「小林君はなんて呼んでほしいの?」
「ああ、その話か......じゃあ、裕太君で」
下の名前で呼んでもらったほうが、何か嬉しい。
「じゃあ、裕太君。来月ピアノのコンサートがあるの」
朱音は、主婦をしながらピアノをしている。今では日本でトップクラスに有名なピアニストだ。
でも、演奏会やコンサートで弾くのは、いずれも僕の曲のみだ。自分の曲を完璧なピアノで演奏してくれるのは、とても嬉しいことである。
「じゃあ、行っていいの?」
皆の前で堂々とピアノを弾く朱音は、何度見ても新鮮なものだ。
「招待券あげるので、ぜひ来てください」
「承知いたしました」
謎の敬語だ。
「それと、今からでも良いから曲って作れる?」
「もちろん、明後日くらいに楽譜ができるけど、良い?」
「そのくらい早いと、すごく助かる」
曲を作るのに三時間、それを機械に通して楽譜にしてから、ところどころ修正して完成だ。
「あと、もう一つ伝えたいことがあって...」
朱音は笑顔なのに、なにか緊張している様だ。
「何?」
「あのね...」
少し間が開いた。
「裕太君の子供が出来ました」
愛する妻と、妻との子供。幸せな家庭にするためには、もっと仕事と作曲を頑張ろうと思った。