鍵盤の王女様
次の日、楽譜を三上さんに渡した。
「[秋は夕暮れ]...うん、楽譜だね」
楽譜以外のものが来ると思っていたのだろうか。
「今、弾けるんですか?」
僕は楽譜が読めないし、ピアノも弾けない。本当にこの場で引けるのだろうか。
「もちろん、三上様に任せなさい」
三上さんは悪戯な笑顔で返した。
彼女はオルガンの電源を入れると、楽譜を見ながらすぐに弾き始める。
我ながら、心地の良い音楽だと思った。もしかすれば三上さんの弾き方が良かったのかもしれない。
三上さんが弾き始めると、教室が静まり返った。みんな三上さんの演奏に聞き入っている。こんな静かな中で自分の作った曲が三上さんの演奏で流れていることが、少し恥ずかしく思った。
演奏が終わると、みんな三上さんの演奏を褒めていた。
「朱音ちゃん、今のなんて曲なの?」
三上朱音さん、男子は朱音さんなんて言わないため、三上さんと言っている。
「秋は夕暮れ、って曲。小林君が作った曲だよ」
すると、三上さんの友達は僕の方に駆け寄ってきた。
「小林君、私にもその楽譜くれない?」
「小林君って曲作れるんだ、すごい」
女子に囲まれるというのは、苦痛でしかない。なぜなら男子からあーだこーだ言われるから。
やっと解放されたのは、昼休みだった。
「三上さん、本当にピアノ上手いですね」
率直に言うと、僕は曲やピアノの弾き方に心が動かされることはあまりない。だが三上さんの演奏は、なにか心地いものがあった。
「小林君の曲が良かったんだよ、ありがとね」
三上さんは楽しそうだ。
「次の楽譜も待ってるよ」
そんなこと言われたら、もう作るしかない。
「小林君、昼休みに二人で音楽室に行こうよ」
今朝、三上さんに言われた。多分、音楽室のでかいピアノで僕の曲を弾くのだろう。
確かにオルガンとピアノの迫力はかなり違う。
三上さんと音楽室に行くと、三上さんは僕の曲を弾き始めた。もう覚えているらしく、楽譜は出していない。
「小林君、話があるんだけど」
彼女はピアノを弾きながら話している。普通にすごい。
「何?」
新しい曲の注文だろうか。
「ねぇ、小林君」
「?」
三上さんは演奏する手を止めた。
「小林君、大好きだよ。」
「............?」
「だーかーらー」
「...曲の話だよね?」
「違う、小林君の事」
「[秋は夕暮れ]...うん、楽譜だね」
楽譜以外のものが来ると思っていたのだろうか。
「今、弾けるんですか?」
僕は楽譜が読めないし、ピアノも弾けない。本当にこの場で引けるのだろうか。
「もちろん、三上様に任せなさい」
三上さんは悪戯な笑顔で返した。
彼女はオルガンの電源を入れると、楽譜を見ながらすぐに弾き始める。
我ながら、心地の良い音楽だと思った。もしかすれば三上さんの弾き方が良かったのかもしれない。
三上さんが弾き始めると、教室が静まり返った。みんな三上さんの演奏に聞き入っている。こんな静かな中で自分の作った曲が三上さんの演奏で流れていることが、少し恥ずかしく思った。
演奏が終わると、みんな三上さんの演奏を褒めていた。
「朱音ちゃん、今のなんて曲なの?」
三上朱音さん、男子は朱音さんなんて言わないため、三上さんと言っている。
「秋は夕暮れ、って曲。小林君が作った曲だよ」
すると、三上さんの友達は僕の方に駆け寄ってきた。
「小林君、私にもその楽譜くれない?」
「小林君って曲作れるんだ、すごい」
女子に囲まれるというのは、苦痛でしかない。なぜなら男子からあーだこーだ言われるから。
やっと解放されたのは、昼休みだった。
「三上さん、本当にピアノ上手いですね」
率直に言うと、僕は曲やピアノの弾き方に心が動かされることはあまりない。だが三上さんの演奏は、なにか心地いものがあった。
「小林君の曲が良かったんだよ、ありがとね」
三上さんは楽しそうだ。
「次の楽譜も待ってるよ」
そんなこと言われたら、もう作るしかない。
「小林君、昼休みに二人で音楽室に行こうよ」
今朝、三上さんに言われた。多分、音楽室のでかいピアノで僕の曲を弾くのだろう。
確かにオルガンとピアノの迫力はかなり違う。
三上さんと音楽室に行くと、三上さんは僕の曲を弾き始めた。もう覚えているらしく、楽譜は出していない。
「小林君、話があるんだけど」
彼女はピアノを弾きながら話している。普通にすごい。
「何?」
新しい曲の注文だろうか。
「ねぇ、小林君」
「?」
三上さんは演奏する手を止めた。
「小林君、大好きだよ。」
「............?」
「だーかーらー」
「...曲の話だよね?」
「違う、小林君の事」