鍵盤の王女様
僕の通う中学校は、全ての教室にオルガンが置いてある。休み時間に女子が弾いたり、文化祭の合唱の練習なんかにも使った。
ピアノが上手い女子、というのは、大体が美人である。そしてその中でもひときわ綺麗なのが、同じクラスの三上さんだ。
彼女は三歳くらいからピアノを習っていたと聞いている。作曲家の父親の影響で、ピアノを習いはじめたらしい。
三上さんは美人だ。いわゆる、高嶺の花というやつである。男子からの人気は非常に高く、友達も多い。
三上さんと少し話すだけで、男子皆からの注目の的になる。それくらい、男子は皆三上さんに好意を抱いていた。
僕はというと、あまり三上さんには惹かれなかった。というより、女子に好意を抱くことがない。なぜなら時間と金の無駄だからだ。そのため、自分から積極的に女子に近づこうとしたことは、人生で一度もなかった。
だが二学期が始まると、その考えは少し変わったように思う。席替えで、三上さんの隣の席になったのである。今まで三上さんの隣が男子になったことは無かったため、きっと周りの男子に何か言われるのだろうと思った。
席替えしてからすぐ、三上さんに声を掛けられた。
「小林君、だっけ?」
はいそうです、小林です。なんて言い返せない。女子と話すのは久しぶりで、慣れていないため、どう返すのが正解か分からないのである。
「...何ですか?」
「小林君ってさ、作曲ってできる?」
何だこの質問は。僕に作曲ができたとて、三上さんには何かあるのだろうか。
「............できないですね」
「田中君が言ってたよ、小林君作曲できるでしょ」
田中は僕の保育園時代からの友達である。あいつどうして三上さんに言いふらしたんだ?
「小林君、明日ピアノの楽譜持ってきてくれない?君の曲弾いてみたいんだ」
僕の曲が弾きたいだけなら、もっと別の人の曲を弾けばいいと思うのだが。
「......わかりました、明日持ってきます」
女子には逆らえないのが男子だ。そして僕も、男子だ。
ピアノが上手い女子、というのは、大体が美人である。そしてその中でもひときわ綺麗なのが、同じクラスの三上さんだ。
彼女は三歳くらいからピアノを習っていたと聞いている。作曲家の父親の影響で、ピアノを習いはじめたらしい。
三上さんは美人だ。いわゆる、高嶺の花というやつである。男子からの人気は非常に高く、友達も多い。
三上さんと少し話すだけで、男子皆からの注目の的になる。それくらい、男子は皆三上さんに好意を抱いていた。
僕はというと、あまり三上さんには惹かれなかった。というより、女子に好意を抱くことがない。なぜなら時間と金の無駄だからだ。そのため、自分から積極的に女子に近づこうとしたことは、人生で一度もなかった。
だが二学期が始まると、その考えは少し変わったように思う。席替えで、三上さんの隣の席になったのである。今まで三上さんの隣が男子になったことは無かったため、きっと周りの男子に何か言われるのだろうと思った。
席替えしてからすぐ、三上さんに声を掛けられた。
「小林君、だっけ?」
はいそうです、小林です。なんて言い返せない。女子と話すのは久しぶりで、慣れていないため、どう返すのが正解か分からないのである。
「...何ですか?」
「小林君ってさ、作曲ってできる?」
何だこの質問は。僕に作曲ができたとて、三上さんには何かあるのだろうか。
「............できないですね」
「田中君が言ってたよ、小林君作曲できるでしょ」
田中は僕の保育園時代からの友達である。あいつどうして三上さんに言いふらしたんだ?
「小林君、明日ピアノの楽譜持ってきてくれない?君の曲弾いてみたいんだ」
僕の曲が弾きたいだけなら、もっと別の人の曲を弾けばいいと思うのだが。
「......わかりました、明日持ってきます」
女子には逆らえないのが男子だ。そして僕も、男子だ。