「メアリー・ワンダーです。よろしくおねがいします。」
…何かふわふわした感じの子だな。とヴァールは思う。
「クッションがすきなので、うさぎもすきです。しゅげいとくいです。」
天然っぽいな。思わずそうつぶやきそうになった。
「ホークス・ポークスです！暖かいものが好きです！湯たんぽとか！」
湯たんぽとか。
教室中に笑いが響く。
そんなに面白い物か。チャラ男は嫌いだ。と内心毒づきながらも、心臓はバクバクしていた。
次は自分のばんだからだ。
あ゙あ゙…なんでよりによって《面白い》やつの後なんだ。
「ヴァール・クリアレンジで
す。花が…植物が好きです。」

「はぁ？植物が好きとかw」
「それな。花が好きとかマジ気取っててウザい」「“クリアレンジ”の癖に」

キモくね？などと言った声が広がる。だから、自己紹介したくなかったんだよ。
「おい、誰だよ悪口言った奴」
シーンと、教室が静まり返る。
「てめぇらは人に気も使えないし、それ以前に馬鹿にするような奴らだ。植物にも優しくできないから、好きになれないからの妬みかぁ？」
「え」と喉まで出かかった。
俺相手にそこまで…言って、庇ってくれたのか？それとも、
「ちょ、ちょっとからかっただけじゃん。本気にしないでね。ねぇ、なんだっけ、クリアレンジ？」「てか、ハイドくん優しい！」「優しすぎ…」
などと機嫌取りの奴らまで現れた。
「本当に屑だな。謝れよ」
「おい、てめぇらぁ」
　　　　　「！」
いきなり教室に響く怒号。
「先生がいねぇからって好き勝手ぺちゃくちゃいいやがって。」
「あとで職員室行くやつ呼ぶなら黙ってろ」
あの先生は入学式にもいた強そうな女の先生だ。
ざまぁ。などと心の中で毒づいた後に気づいた。あ、俺も呼ばれる＿＿＿＿