「やったーっ！ライブ当たったぁ～っ」
教室で一人騒いでたら、みんなに笑われちゃった。
「本当、ユウちゃんってオタクだよねぇ」
「当たったの？すごいねぇ」
「それ倍率やばいやつじゃない!？」
みんな優しい。こんなオタクでどうしようもない私を否定しないし。
っと、自己紹介！
私は、[漢字]推屋[/漢字][ふりがな]おしや[/ふりがな]ユウ、高校2年生。
そして、そんな私の推し、『レイ』
超絶大人気アイドルで、身長も高くて、イケメンで、ファンサも最高！
まさに、理想のアイドルって感じの私の推し。
そんなレイのライブ、チケットが当たったの。
夢みたい！レイと同じ空間で、レイの歌声を聞けるなんて。レイと同じ空気を吸えるなんて！
[太字]「本当に最高っ！」[/太字]
その夜は、ご機嫌でベッドに入った。

[小文字][中央寄せ]「…え…？」[/中央寄せ][/小文字]
声が出なかった。
スマホのネットニュース、一番上にある急上昇。
レイの名前が載ってる。
ライブの速報？グッズのお知らせ？案件？コラボ？オリジナル曲？
ううん、違う。違った。
「嘘でしょ、嘘だよね…!？」
[太字][大人気アイドル、レイさんが急死　死因はーーー……][/太字]
レイが、急…死？
信じられない。昨日まで、元気にライブ配信で歌ってて……
死因、の続きは読めなかった。
頭がぐちゃぐちゃになる。ちゃんと、処理できてない。
(レイは、もういないの…？)
ライブは!？だって、活動始めた頃からずっと言ってた夢のドームライブだよ？やっと、やっと叶ったのに。やっと行けるのに！
「そんなぁ……」
誰か、これは私の夢だと言って欲しい。
でも、私の想いは届かず。私に優しい言葉をかけてくれるのは、クラスメイトだった。
「なんていうか…ユウ、大丈夫…？」
学校に行ったら、みんなが心配してくれた。
ヘアセットもできずに、髪はボサボサだし、制服もリボンを結んでない。
たくさん泣いて、目は真っ赤で腫れてるし。
レイがいないなんて、どうしよう。私の生きがいはレイだったのに。
レイがいなかったら、私はどうしたらいいの？
「……早退します……」
授業なんてちっとも頭に入らないし、くらくらするし、ちかちかするし。
通学路をとぼとぼ歩いて、家に向かう。
ライブのために、物販でペンライト買ったばっかりなのに。
(…レイ……)
「君、大丈夫…？」
聞いたことある声が、近くで聞こえた。
聞き間違えるはずがない。
オタク歴=年齢、推してきた時間は5年。デビュー当日から推して、まだ有名じゃない、ライブも50人くらいの時。
そこからずっと推してきた私が、聞き間違えるわけない。
[太字]「…レイ？」[/太字]