「はぁはぁはぁはぁ…。」
ここまで逃げればもう大丈夫なはず…。
ガサッ
草むらから何かが近づいている。
「よお、あんた人間に化けれるんだってな。」
嫌だ。こんな所で死にたくない。
「おかげで城下町は大混乱だぜ？」
知らない。どうして同族の尻拭いを…
「逃げれると思ってるんじゃないわよ！」
自分はただ…。ただ…。
「ふん、くだらん。」
人間に憧れていただけなんだ！
急に氷魔法が出てくる。焦りが酷い。
氷魔法は勇者の右手を掠める。だが、勇者は動じていない。
勇者が剣を振り上げた。
[水平線]何があったかは分からない。自分が何者だったかも。目が覚めたらベッドの上に寝かせられていた。
「お、目が覚めたか。」
声のする方を見ると、そこには頼りない感じの男がいた。
「うっ…あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
猛烈に頭が痛い。何かと何かがぶつかり合う。まるでこの人に羨ましさと憎悪が混ざった感情が出てくるように。
「おいおい…大丈夫かよ…。取り敢えずまだ休めよ。」
そう言われても、力が入らない。まるで自分がデロデロに溶けているように…
いつの間にか夢の中で、自問自答していた。
あの男は？分からない。
自分は誰？分からない。
じゃあ他に自分は何が分かるんだ？分からないんだって！
じゃあ…[漢字]あの気持ち[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]は何だ？何を今更言っているのだろう。だって自分は、[漢字]人間[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]なんだから。