「布団が吹っ飛んだ…違うわね」
「一体何をしているんだ？クラクサナリデビ」
放浪者は腕を組みながら、独り言を呟くナヒーダに質問をする。
「あら？笠っち、いらっしゃい。今はダジャレを考えている最中よ」
「ダジャレ…？あの大マハマトラに影響されたのか？」
「ええ。彼の作るダジャレは奥深く、どれも素晴らしいものだわ。称賛に値するほどよ。…でも[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]、そういう経験があまり無くて、彼と比べたら天と地の差ね」
「称賛に値する…？まず、面白いのか？」
セノはよくダジャレを披露するが、意味が理解できないものが多い。その点、ナヒーダは知恵の神。きっと彼のダジャレを笑う者は彼女とアルベドくらいだろう。
「…そういえば、彼がダジャレを言う期会があったのだけれど、私以外誰も笑っていなかったわ。＿＿＿＿彼ほどでも無いけれど、私が考えたダジャレを聞いてほしいわ」
「…まさか、この僕が？」
「？貴方以外に誰がいるのかしら」



「コホン、スイートフラワー漬け焼きを食べるパイモン。＿＿＿＿ 分かりにくかったかしら？スイートフラワーの『イート』と食べるの『eat』をかけたのよ」
「……」
「どうかしら？」
「帰っていいかい？」
「もう帰るの？残念ね…近い内に、俗世の七執政で集まってダジャレを披露しようと思ったのに…」
ナヒーダは放浪者に聞こえないように小さな声で言う。だが、その言葉は放浪者の耳に届いていた。ドアに向かっていた身体をナヒーダの方へ向ける。
「詳しく聞こうか」




「…つまり七神の内、炎神、氷神以外で集まって、そこでダジャレを披露する」
「ええ。炎神は手が離せないそうよ。氷神も…兎にも角にも明日のためにダジャレを2、3個程考えておきたいわ」
放浪者は思う。
（よりによって、ダジャレを選ぶか？普通…）
「笠っち…一緒に考えてほしいわ」
「…仕方がないね」
それからナヒーダと放浪者は一緒にダジャレを考えた。聞いた話によるとスラサタンナ聖堂近くを通りかかった者は寒さで凍え死にそうになったとか。