二次創作
神様のとある一日
「うぅ……」
「また酔い潰れているな」
ここはエンジェルズシェア。モンド城の中にある酒場。アカツキワイナリーのオーナーであるディルックはある詩人に話しかける。
「エンジェルズシェアは本日で閉店だ」
「……」
詩人は答えない。いつものことかと肩をすくめる。
「…チャールズ。すまないが彼を二階まで運ぶのを手伝ってくれないか?」
いつも通りならこの詩人は狸寝入りをする。モラがないためにこのような小賢しいことをするのだろう。
「待って!せめてもう一杯、[漢字]蒲公英[/漢字][ふりがな]ダンディライオン[/ふりがな]酒を飲んでからぁ。ボクにとってお酒は命の次に大事だから」
簡単に命を差し出すなと思ったが、ここにはツッコミ役がいない。
「…それを飲み終えたら出ていけ、僕はまだやることがあるから」
言葉はきついが優しいなと思うウェンティ。心地よい空間。しかし、今自分の手元にあるお酒は残りあとわずか。幸せのひとときが過ぎてしまう。
「ねぇディルック。このお酒、持ち帰りはできるかい?」
返答がない。一体何をしているんだと思いウェンティは顔を見上げる。しかし、そこにいた人物はディルックではなくチャールズであった。
「チャールズ、ディルックは?」
「ディルック様?ディルック様でしたら先ほど出て行かれたが…」
「ふーん。まあ良いや。チャールズ、持ち帰りできる?」
「できますよ。ですが、モラを払っていただかないと…」
モラ…か。いってしまえば、吟遊詩人は稼ぎが悪い。財布の中身を見てもたったの2千モラしかないだろう。仕方ない。あの手を使おう。
「往生堂に請求しておいてくれない? 結構前に、鐘離先生がやっていたじゃないか」
「ですが…」
「あの頑固頭のじいさんは良くてボクはダメなんてひどいよぉ」
「分かりました!」
ごめん胡桃。ウェンティは心の中で謝罪をする。ついでにモラクスにも。
「ぷはぁ…」
チャールズからお酒を2〜3本貰っておいて正解だったとウェンティは思う。ディルックがあの場にいたならできなかっただろう。
「ウェンティ殿…?」
「?ジンじゃないか」
ジンは西風騎士団の代理団長である。なぜ彼女がここに…?
「もしかして見回り中だった?」
「いえ、そうではなく単純に眠れなく……」
「ふーん。眠れないって理由でわざわざ星落ちの崖に来たんだ」
星落ちの崖はモンドから距離がある。かつて天空のライヤーでトワリンを呼んだ場所だ。眠れないというのは嘘だろう。
「騎士団に入っていないボクが問い詰めたって仕方ないね。そうだ、君も飲んでみる?それともリンゴのほうがいい?」
「結構です、明日も任務があるので」
「ここに来るとあの日の出来事を思い出します」
「?」
「旅人、ディルック先輩そしてウェンティ殿と風魔龍を呼んだ日のことを…」
星落ちの崖でトワリンを呼んだ日か。トワリンは呼び出せた代わりに天空のライヤーは壊れてしまったが。
「旅人は無事に[漢字]璃月[/漢字][ふりがな]リーユェ[/ふりがな]についただろうか」
「あはは、ジン。それは流石にないよ。風の音は炎神と出会ったと答えているよ」
「炎神…」
「旅人なら大丈夫だよ。何せあのチビがついているからね」
「パイモンが気の毒だな」
数分ジンと言葉を交わし、『そろそろモンド城に戻らないと皆に心配をかけてしまう』と言い去った。
月の光が驚くほど静かな地上にポツンと座っている詩人。ヒルチャールでさえ眠っているというのに。
「ボクってば考える程、旅人に何もしてやれなかったな」
「君もそう思うかい?」
旧友の返事は返ってこない。とうの昔に理解しているというのに。
「風の祝福があらんことを、旅人」
「また酔い潰れているな」
ここはエンジェルズシェア。モンド城の中にある酒場。アカツキワイナリーのオーナーであるディルックはある詩人に話しかける。
「エンジェルズシェアは本日で閉店だ」
「……」
詩人は答えない。いつものことかと肩をすくめる。
「…チャールズ。すまないが彼を二階まで運ぶのを手伝ってくれないか?」
いつも通りならこの詩人は狸寝入りをする。モラがないためにこのような小賢しいことをするのだろう。
「待って!せめてもう一杯、[漢字]蒲公英[/漢字][ふりがな]ダンディライオン[/ふりがな]酒を飲んでからぁ。ボクにとってお酒は命の次に大事だから」
簡単に命を差し出すなと思ったが、ここにはツッコミ役がいない。
「…それを飲み終えたら出ていけ、僕はまだやることがあるから」
言葉はきついが優しいなと思うウェンティ。心地よい空間。しかし、今自分の手元にあるお酒は残りあとわずか。幸せのひとときが過ぎてしまう。
「ねぇディルック。このお酒、持ち帰りはできるかい?」
返答がない。一体何をしているんだと思いウェンティは顔を見上げる。しかし、そこにいた人物はディルックではなくチャールズであった。
「チャールズ、ディルックは?」
「ディルック様?ディルック様でしたら先ほど出て行かれたが…」
「ふーん。まあ良いや。チャールズ、持ち帰りできる?」
「できますよ。ですが、モラを払っていただかないと…」
モラ…か。いってしまえば、吟遊詩人は稼ぎが悪い。財布の中身を見てもたったの2千モラしかないだろう。仕方ない。あの手を使おう。
「往生堂に請求しておいてくれない? 結構前に、鐘離先生がやっていたじゃないか」
「ですが…」
「あの頑固頭のじいさんは良くてボクはダメなんてひどいよぉ」
「分かりました!」
ごめん胡桃。ウェンティは心の中で謝罪をする。ついでにモラクスにも。
「ぷはぁ…」
チャールズからお酒を2〜3本貰っておいて正解だったとウェンティは思う。ディルックがあの場にいたならできなかっただろう。
「ウェンティ殿…?」
「?ジンじゃないか」
ジンは西風騎士団の代理団長である。なぜ彼女がここに…?
「もしかして見回り中だった?」
「いえ、そうではなく単純に眠れなく……」
「ふーん。眠れないって理由でわざわざ星落ちの崖に来たんだ」
星落ちの崖はモンドから距離がある。かつて天空のライヤーでトワリンを呼んだ場所だ。眠れないというのは嘘だろう。
「騎士団に入っていないボクが問い詰めたって仕方ないね。そうだ、君も飲んでみる?それともリンゴのほうがいい?」
「結構です、明日も任務があるので」
「ここに来るとあの日の出来事を思い出します」
「?」
「旅人、ディルック先輩そしてウェンティ殿と風魔龍を呼んだ日のことを…」
星落ちの崖でトワリンを呼んだ日か。トワリンは呼び出せた代わりに天空のライヤーは壊れてしまったが。
「旅人は無事に[漢字]璃月[/漢字][ふりがな]リーユェ[/ふりがな]についただろうか」
「あはは、ジン。それは流石にないよ。風の音は炎神と出会ったと答えているよ」
「炎神…」
「旅人なら大丈夫だよ。何せあのチビがついているからね」
「パイモンが気の毒だな」
数分ジンと言葉を交わし、『そろそろモンド城に戻らないと皆に心配をかけてしまう』と言い去った。
月の光が驚くほど静かな地上にポツンと座っている詩人。ヒルチャールでさえ眠っているというのに。
「ボクってば考える程、旅人に何もしてやれなかったな」
「君もそう思うかい?」
旧友の返事は返ってこない。とうの昔に理解しているというのに。
「風の祝福があらんことを、旅人」