時空の狭間の狂宴/共演
ゆらりと立ち上がった単は、相も変わらず眠そうな目で「面倒くさい……」と溜息をついている。それでも、纏う雰囲気だけはいつものそれより多少鋭くなった。
先程ポケットから出した竹の筒の先端を孔に向けて真っ直ぐに銃口のように構え、何やら呪文を唱える。
一瞬の後、鋭い声と共に白い何かが滑り出した。
「管狐。閉じろ。」
「了解でありまーす♪」
え、ふわっふわなんだが。
かわいいって、本当かわいすぎるって。ちょっとひょろっとしてるけどなんかすげぇかわいいんですが。なんなんですか本当に。
…ごめんなさいちょっと地の文の仕事放棄しかけましたね。
ツンと尖った耳、雪みたいに真っ白な毛並みに漆黒の目、赤い隈取も最高にキュート。しかも口調が限りなくかわいい。
…ああ駄目だ、圧倒的に言葉が足りませんよコレは。
でも仕方なくないですか???抱き枕にしたい、てかかわいすぎません???
……やっべ、なんか気づいたら時空の孔塞がってる。単が何やったのか本格的に分からない。
「駄目じゃね?」
そして名無しが酷い。冷静なツッコミが逆に痛い。
すまない単、せっかくの活躍シーンを派手に潰してしまった。
「うざい。如何でも良い。」
「只今戻ったっす!!ってアレ?みなさん疲れてるっすけど…何があったんすか?」
界人が菓子持ってようやく戻ってきた。一歩遅かったが。
とはいえありゃ多分応急処置的なモンだし、界人に完全に塞いでもらった方がいいな。
「はぁ…うっわコレ、まじでやべぇっすね。深淵的な何かに繋がっててもおかしくなかったっすよ!」
「と言うと…クトゥルー的なアレ、なんすか…?」
「そっすね、クトゥルー的なアレっす!!」
わぁ、やっば。
「怖いよぉ、死にたくないよぉ、誰か助けてぇ……」
「オーイ大丈夫かー?もう閉じてんぜー?」
机の下でガタガタと震えるアリシアは、月姫の言葉でようやく外に出てきた。
とりあえず、これで何とかなりましたかね。
「いやなってないわよ。あたしの煎餅、貰ったばっかなのに今の衝撃で思いっきり割れてるんですけど。」
そう若干の不満顔で言うのは留歌の姉。だが、「まぁまぁお姉さん、私のお茶請けで良ければ差し上げるわ。」とエルマに言われ、「あらそうなの?悪いわね。」とスコーンを一つ手に取った。
「あら、コレ美味しいじゃない。高級品っぽい味するけど、たまに贅沢するにはもってこいよ。」
「は?俺のボスが選んだ菓子だぜ?当然だろうが。」
「あ、そういうの良いから。めんどくさいわ。で、どこで買ったの?」
「屋敷の近くのお店よ。良かったら今度、一緒に行きましょうか。」
多分、世界間の移動になるからほぼ確実に無理なんだけどな……
でもこの人ならなんとかしそうで怖いな………
「んじゃ気を取り直して、そろそろ次の方の紹介行くっすよ!まずはエルマさんが率いるマフィア組織“Famiglia Di Stellato”の幹部、ルミナ・アルベリーニさんっす!」
界人がそう言うと同時に現れたのは、長い金髪をピッグテールにまとめた女性。
翡翠色の目がよく映える白いコートを纏っており、一歩歩くたびにカシャカシャと金属音がする。
「はいよ。たった今ご紹介に預かった、ルミナ・アルベリーニさね。まぁ、仲良くやっていこうじゃないか。」
「あらルミナ、今日はナイフの数が多いのね。」
目を見張って言うエルマだが、「そうさねぇ、ざっと三十本以上だから。」と返されてさらに驚いた様子を見せる。
あとエルマさん、「せいぜい二十前後だと思っていったわ…」とは言うが、それだって大概な量だからな?
「まぁまぁ、姐御はコレでもケッコー抑えたんですよ?ボスちゃんのコト心配してましたし、無理もねぇんじゃねぇですかー?」
「オイ視信!余計なコト言うんじゃないよ!」
そこにいたのは、なかなかにイケメンな銀髪の青年。アメジスト色の瞳を細めて、チェシャ猫みたいにニヤニヤと笑っている。
いや、本当にいつ出てきたんだこいつ。
へらりと笑いながらも軽口を叩く青年に、この場の誰もが驚いている。
「おいおい、僕のコト紹介してくれるんでしょ?せっかくなんで、カッコよく頼みますぜ?」
呆気に取られてぽかんとしていた界人だが、青年にそう促されて口を開く。
「りょ、了解っす!!こちらはエルマさんと同じ話に出てくるフリーランスの情報屋、[漢字]楼[/漢字][ふりがな]たかどの[/ふりがな] [漢字]視信[/漢字][ふりがな]しのぶ[/ふりがな]さんっす!」
「おやおやぁ、さすが慣れてるんですねぇ。カンペキっすわぁ。ただちょっと僕が忍者の末裔ってコト、忘れちまってるみたいですが。」
ナチュラルに皮肉じゃねぇか。
しかも、「いや、それ冗談の類なんじゃ…」と思わず界人が言い掛けても満面の笑顔でゴリ押してるし。
ったく、本当にこいつは……
「いや、アンタについてはまず女癖が最悪ってコトを言った方が良いと思うがねぇ…」
「ちょいちょいルミナの姐御、ソレは言わねぇお約束ってヤツっすわぁ。てか、最近はこー見えてキチンと素行を改めてますですよー?」
うん、絶対に嘘だ。頬に張り手の跡残ってんだよなぁ。
「は、ウソくせぇ。そう言っててめぇも俺のボス狙ってやがんだろ!!」
「そりゃ、こーんなカワイイ子いるんだからトーゼンっしょ?むしろ声掛けない方が失礼っすわぁ。」
幽霊は「あはは、この人最悪だね〜!面白〜い!」なんて呑気に言ってるけど、本当にこいつその内刺されるぞ。
「このモテ野郎がお前みたいなのがいるから人口が減少するんだクソ野郎呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやるリア充はまだ許せるがお前は駄目だ死ななきゃ治んねえてかちょっとルミナさんナイフ貸していただけますかもう呪うとかめんどくさいしシンプル死ねこの野郎!!!!!!」
「うっわ、名無しのヤツが壊れやがったぜー…」
早速刺されそうだよおい。
月姫も止めてやれよおい。
てか似たようなセリフをどっかの漫画で聞いた気がするよおい。
脳(まで)筋(肉でできてるとしてもさすがにおかしい)主人公が、魔法学校で無双する話に出てくる爆破魔法の赤髪のあいつ。
「はぁ、はぁ……」
しかも一息で喋ってたのかあれ。
そりゃ息も切れるわ。
「オイ、名無しー。大丈夫かー?」
「うるせえこのリア充……俺は知ってるんだぞ月姫、お前こないだ別サイトの短編集でそこの硯さんとちょっと良い雰囲気だったよな!?!?忘れたとは言わせないぞ思いっきり祝ってやるクソ野郎!!!!」
どうしようか、名無しが凄まじくうるさい。
「いやそんなんじゃねーし、ソレ言ったら確実にアイツ嫌がるだろ……」
「だー!!!!そーゆーとこだよそーゆーとこ、なんで分かんないかなあ!!!!言っとくけどな、俺みたいな万年非モテからしたら十分良い雰囲気だからな!?!?」
……どうやら名無しは気づいていないようですが、たった今硯さんがヘッドホンを外しました。そして単が目を覚ましました。どうやらヘッドホンと夢とを両方貫通する音量で叫んでいたようです。
そして二人とも、名無しに一直線に向かってきています。
「オーイ、名無しー?そろそろ辞めた方が良いと思うぜー?」
「そうっすよ悪い事言わねぇっすからマジで一旦黙った方が良いっす!!まじで!!!」
「そうっすね…こう、ずももって感じの負のオーラ見えてるっすから……」
「へ?」
月姫、界人、留歌に言われてついに振り向く名無し。
「うるさい。気持ち悪い。死なないと治んないのはお前の方。ホント、良い加減にしてよ。」
「五月蝿い…俺の安眠の妨害なんてして、楽しいのか?排除しなきゃならないみたいだな…」
ブチギレたお二人が見参です。
えー、具体的に言うと。
まず、硯さんはいつも以上に目が死んでいます。そして杖を構え出しました。しかも、本気バージョンの長い方の杖です。使い魔のケットシーも召喚し、完全に戦闘体制です。
そしてたった今、更に何かが追加されました。桃太郎と…赤ずきんの狼ですね。殺す気ですか。
「はっ!!あれは……」
「えっと…界人さん、知ってるんすか?」
「硯先輩の固有魔法っす!物語の登場人物を召喚するのはその中でも最高ランクの威力、ありゃもう完全にヤる気っすね…」
「おやおやぁ、美人さんにもトゲはあるモンなんですねぇ。」
単は一周回って笑顔です。これが暗黒微笑ってヤツでしょうか。とはいえ基本的に表情筋が死んでいる彼の笑顔なので、とっても不気味です。口の端が引き攣っています。
いつもの台車を魔法で浮かし、名無しの頭上数十メートル上にセットしました。殺す気ですね。
「単くんが自分から魔法を使うなんて…本気だねー……」
「え、ソレでホンキなんです?レベル、ちょっと低くないですか?」
「オイ主!急に出てくるな!!お前の出番はもっと後だ!!!帰るぞ!!!!」
「今の、誰ぇ……」
えー、今一瞬どこかで見たような銀髪赤眼の享楽主義者と黒髪金眼のスケープゴートが見えたかもしれませんが、あまり気にしないで下さい。
あいつら、なんか変な魔道具で乗り込んで来ましたよ。どうなってんだよ本当にさあ。
「お黙りなさい!呼ばれたので来てみれば、コレは一体全体なんの騒ぎですか!!」
思わず全員が朗々と響く声の方向を見ると、金髪の青年がこのカオスな場に喝を入れていた。目も醒めるような赤の目をモノクルで覆い、全身を執事服で包んでいる。
「大体、何なのですか貴方がたは! 人を呼びつけておいて挨拶も無し、挙句の果てには年齢も気にせずはしゃいで回るとは…全く、実に嘆かわしい限りです!」
「あのー…ごめん、誰ですかー……?」
[中央寄せ][大文字]つづく?[/大文字][/中央寄せ]
先程ポケットから出した竹の筒の先端を孔に向けて真っ直ぐに銃口のように構え、何やら呪文を唱える。
一瞬の後、鋭い声と共に白い何かが滑り出した。
「管狐。閉じろ。」
「了解でありまーす♪」
え、ふわっふわなんだが。
かわいいって、本当かわいすぎるって。ちょっとひょろっとしてるけどなんかすげぇかわいいんですが。なんなんですか本当に。
…ごめんなさいちょっと地の文の仕事放棄しかけましたね。
ツンと尖った耳、雪みたいに真っ白な毛並みに漆黒の目、赤い隈取も最高にキュート。しかも口調が限りなくかわいい。
…ああ駄目だ、圧倒的に言葉が足りませんよコレは。
でも仕方なくないですか???抱き枕にしたい、てかかわいすぎません???
……やっべ、なんか気づいたら時空の孔塞がってる。単が何やったのか本格的に分からない。
「駄目じゃね?」
そして名無しが酷い。冷静なツッコミが逆に痛い。
すまない単、せっかくの活躍シーンを派手に潰してしまった。
「うざい。如何でも良い。」
「只今戻ったっす!!ってアレ?みなさん疲れてるっすけど…何があったんすか?」
界人が菓子持ってようやく戻ってきた。一歩遅かったが。
とはいえありゃ多分応急処置的なモンだし、界人に完全に塞いでもらった方がいいな。
「はぁ…うっわコレ、まじでやべぇっすね。深淵的な何かに繋がっててもおかしくなかったっすよ!」
「と言うと…クトゥルー的なアレ、なんすか…?」
「そっすね、クトゥルー的なアレっす!!」
わぁ、やっば。
「怖いよぉ、死にたくないよぉ、誰か助けてぇ……」
「オーイ大丈夫かー?もう閉じてんぜー?」
机の下でガタガタと震えるアリシアは、月姫の言葉でようやく外に出てきた。
とりあえず、これで何とかなりましたかね。
「いやなってないわよ。あたしの煎餅、貰ったばっかなのに今の衝撃で思いっきり割れてるんですけど。」
そう若干の不満顔で言うのは留歌の姉。だが、「まぁまぁお姉さん、私のお茶請けで良ければ差し上げるわ。」とエルマに言われ、「あらそうなの?悪いわね。」とスコーンを一つ手に取った。
「あら、コレ美味しいじゃない。高級品っぽい味するけど、たまに贅沢するにはもってこいよ。」
「は?俺のボスが選んだ菓子だぜ?当然だろうが。」
「あ、そういうの良いから。めんどくさいわ。で、どこで買ったの?」
「屋敷の近くのお店よ。良かったら今度、一緒に行きましょうか。」
多分、世界間の移動になるからほぼ確実に無理なんだけどな……
でもこの人ならなんとかしそうで怖いな………
「んじゃ気を取り直して、そろそろ次の方の紹介行くっすよ!まずはエルマさんが率いるマフィア組織“Famiglia Di Stellato”の幹部、ルミナ・アルベリーニさんっす!」
界人がそう言うと同時に現れたのは、長い金髪をピッグテールにまとめた女性。
翡翠色の目がよく映える白いコートを纏っており、一歩歩くたびにカシャカシャと金属音がする。
「はいよ。たった今ご紹介に預かった、ルミナ・アルベリーニさね。まぁ、仲良くやっていこうじゃないか。」
「あらルミナ、今日はナイフの数が多いのね。」
目を見張って言うエルマだが、「そうさねぇ、ざっと三十本以上だから。」と返されてさらに驚いた様子を見せる。
あとエルマさん、「せいぜい二十前後だと思っていったわ…」とは言うが、それだって大概な量だからな?
「まぁまぁ、姐御はコレでもケッコー抑えたんですよ?ボスちゃんのコト心配してましたし、無理もねぇんじゃねぇですかー?」
「オイ視信!余計なコト言うんじゃないよ!」
そこにいたのは、なかなかにイケメンな銀髪の青年。アメジスト色の瞳を細めて、チェシャ猫みたいにニヤニヤと笑っている。
いや、本当にいつ出てきたんだこいつ。
へらりと笑いながらも軽口を叩く青年に、この場の誰もが驚いている。
「おいおい、僕のコト紹介してくれるんでしょ?せっかくなんで、カッコよく頼みますぜ?」
呆気に取られてぽかんとしていた界人だが、青年にそう促されて口を開く。
「りょ、了解っす!!こちらはエルマさんと同じ話に出てくるフリーランスの情報屋、[漢字]楼[/漢字][ふりがな]たかどの[/ふりがな] [漢字]視信[/漢字][ふりがな]しのぶ[/ふりがな]さんっす!」
「おやおやぁ、さすが慣れてるんですねぇ。カンペキっすわぁ。ただちょっと僕が忍者の末裔ってコト、忘れちまってるみたいですが。」
ナチュラルに皮肉じゃねぇか。
しかも、「いや、それ冗談の類なんじゃ…」と思わず界人が言い掛けても満面の笑顔でゴリ押してるし。
ったく、本当にこいつは……
「いや、アンタについてはまず女癖が最悪ってコトを言った方が良いと思うがねぇ…」
「ちょいちょいルミナの姐御、ソレは言わねぇお約束ってヤツっすわぁ。てか、最近はこー見えてキチンと素行を改めてますですよー?」
うん、絶対に嘘だ。頬に張り手の跡残ってんだよなぁ。
「は、ウソくせぇ。そう言っててめぇも俺のボス狙ってやがんだろ!!」
「そりゃ、こーんなカワイイ子いるんだからトーゼンっしょ?むしろ声掛けない方が失礼っすわぁ。」
幽霊は「あはは、この人最悪だね〜!面白〜い!」なんて呑気に言ってるけど、本当にこいつその内刺されるぞ。
「このモテ野郎がお前みたいなのがいるから人口が減少するんだクソ野郎呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやるリア充はまだ許せるがお前は駄目だ死ななきゃ治んねえてかちょっとルミナさんナイフ貸していただけますかもう呪うとかめんどくさいしシンプル死ねこの野郎!!!!!!」
「うっわ、名無しのヤツが壊れやがったぜー…」
早速刺されそうだよおい。
月姫も止めてやれよおい。
てか似たようなセリフをどっかの漫画で聞いた気がするよおい。
脳(まで)筋(肉でできてるとしてもさすがにおかしい)主人公が、魔法学校で無双する話に出てくる爆破魔法の赤髪のあいつ。
「はぁ、はぁ……」
しかも一息で喋ってたのかあれ。
そりゃ息も切れるわ。
「オイ、名無しー。大丈夫かー?」
「うるせえこのリア充……俺は知ってるんだぞ月姫、お前こないだ別サイトの短編集でそこの硯さんとちょっと良い雰囲気だったよな!?!?忘れたとは言わせないぞ思いっきり祝ってやるクソ野郎!!!!」
どうしようか、名無しが凄まじくうるさい。
「いやそんなんじゃねーし、ソレ言ったら確実にアイツ嫌がるだろ……」
「だー!!!!そーゆーとこだよそーゆーとこ、なんで分かんないかなあ!!!!言っとくけどな、俺みたいな万年非モテからしたら十分良い雰囲気だからな!?!?」
……どうやら名無しは気づいていないようですが、たった今硯さんがヘッドホンを外しました。そして単が目を覚ましました。どうやらヘッドホンと夢とを両方貫通する音量で叫んでいたようです。
そして二人とも、名無しに一直線に向かってきています。
「オーイ、名無しー?そろそろ辞めた方が良いと思うぜー?」
「そうっすよ悪い事言わねぇっすからマジで一旦黙った方が良いっす!!まじで!!!」
「そうっすね…こう、ずももって感じの負のオーラ見えてるっすから……」
「へ?」
月姫、界人、留歌に言われてついに振り向く名無し。
「うるさい。気持ち悪い。死なないと治んないのはお前の方。ホント、良い加減にしてよ。」
「五月蝿い…俺の安眠の妨害なんてして、楽しいのか?排除しなきゃならないみたいだな…」
ブチギレたお二人が見参です。
えー、具体的に言うと。
まず、硯さんはいつも以上に目が死んでいます。そして杖を構え出しました。しかも、本気バージョンの長い方の杖です。使い魔のケットシーも召喚し、完全に戦闘体制です。
そしてたった今、更に何かが追加されました。桃太郎と…赤ずきんの狼ですね。殺す気ですか。
「はっ!!あれは……」
「えっと…界人さん、知ってるんすか?」
「硯先輩の固有魔法っす!物語の登場人物を召喚するのはその中でも最高ランクの威力、ありゃもう完全にヤる気っすね…」
「おやおやぁ、美人さんにもトゲはあるモンなんですねぇ。」
単は一周回って笑顔です。これが暗黒微笑ってヤツでしょうか。とはいえ基本的に表情筋が死んでいる彼の笑顔なので、とっても不気味です。口の端が引き攣っています。
いつもの台車を魔法で浮かし、名無しの頭上数十メートル上にセットしました。殺す気ですね。
「単くんが自分から魔法を使うなんて…本気だねー……」
「え、ソレでホンキなんです?レベル、ちょっと低くないですか?」
「オイ主!急に出てくるな!!お前の出番はもっと後だ!!!帰るぞ!!!!」
「今の、誰ぇ……」
えー、今一瞬どこかで見たような銀髪赤眼の享楽主義者と黒髪金眼のスケープゴートが見えたかもしれませんが、あまり気にしないで下さい。
あいつら、なんか変な魔道具で乗り込んで来ましたよ。どうなってんだよ本当にさあ。
「お黙りなさい!呼ばれたので来てみれば、コレは一体全体なんの騒ぎですか!!」
思わず全員が朗々と響く声の方向を見ると、金髪の青年がこのカオスな場に喝を入れていた。目も醒めるような赤の目をモノクルで覆い、全身を執事服で包んでいる。
「大体、何なのですか貴方がたは! 人を呼びつけておいて挨拶も無し、挙句の果てには年齢も気にせずはしゃいで回るとは…全く、実に嘆かわしい限りです!」
「あのー…ごめん、誰ですかー……?」
[中央寄せ][大文字]つづく?[/大文字][/中央寄せ]