二次創作
呪、再び
「…作戦Cを実行する」
猿山の宣言に、ゾムの顔が歪む。そんな彼の頭に、猿山はポンと手を置いた。
「何だゾム、オレが死ぬわけ無いだろ?それとも…先生が信じられないのか??」
ゾムの目が見開かれる。そして…大きくかぶりを振った。
「オレ、先生のこと信じる。…信じるから、一緒に帰ろうな」
「なぁ〜に当たり前のこと言ってるんだゾムぅ〜〜…絶対に帰るぞ、みんな」
全員の目に、決意と覚悟が宿る。
「それじゃあ、作戦を説明するぞ〜…」
「ごめん、みんな…オレはこうするしか呂戊太を守れないんだ…」
絵斗の脳裏に、数時間前の出来事が蘇る――…
―数時間前―
「もうこんな時間か…遅くなっちゃたな。早く帰らないと」
そう思いながら勤めている警察署を出る。数分ほど歩き続けた、その時。
[大文字]カチャッ[/大文字]
「?!」
後頭部に細長い何かが突きつけられる。それが"銃"だと理解するまでに、そう時間はかからなかった。銃を突きつけたその人物は、後ろから絵斗に話しかける。…いや、脅したと言ったほうが正しいだろう。
「あの"偶像"を持って来い」
「な、なんでオレがそんなことを…」
「もし断れば、[漢字]お前の弟の命は保証しない[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・・・[/ふりがな]」
「ッ…!!」
こうして、今に至る。
(みんなには悪いと思ってる、けど…[漢字]こうする[/漢字][ふりがな]従う[/ふりがな]しか、ないんだ)
絵斗は、偶像を抱きかかえる手に力を込めた。彼の瞳に決意と覚悟が宿る。
「大丈夫、オレがお前を守るよ…呂戊太」
―午前二時半―
「ようやく準備が終わったな…ったく、この学校鍵が多すぎるんだよ!」
そんな不満を言いながらも、ふと猿山は真面目な顔になる。
「この作戦を成功させるには、お前らの協力が必要不可欠だ。…頼んだぞ」
「任せてくださいよ先生!オレの人気者オーラでなんとかなりますって!」
「あ、それなら安心してください。シャオさんの出番オレが持っていくんで」
「何やとショッピ〜!💢」
「ゾムさん、頑張りましょうね!」
「そうやなチーノ、絶対に生きて帰るんや!!」
「らぁ君、無茶はしないでね」
「せっかくなんで記念に一枚撮っときます?」
「何故そうなる…」
戌亥が呆れたように呟くも、口元はわずかに笑っていた。最後かもしれない、幸せを噛みしめるように…
(…最後にならないだろうな、猿山?オレはお前を…信じてるからな)
最後の戦場へ、彼らは向かっていく――…
「お前ら、来たのか」
絵斗が感情を殺した声で言葉を発する。大切そうに、偶像を抱えながら…
「いやぁ、暗い顔してますねぇ。どうです、ボクとお茶でも飲みませんか?」
「…?何だお前」
チーノの[打消し]胡散臭い[/打消し]トークに顔をしかめる絵斗。
「まぁまぁそんな顔せずに!ささ、座ってください」
どこから取り出したのか、チーノが座布団を敷く。絵斗の気がそちらに反れた、その瞬間。
[大文字]パッ!![/大文字]
まばゆい光が一斉に点灯する。たまらず絵斗は目を細めた。
「[大文字][大文字]隙あり!![/大文字][/大文字]」
そこへ、ゾムが絵斗から偶像を奪い取る。
「なっ?!しまった…!」
「おっと、動いちゃダメですよ」
クロノアが後ろから絵斗を抑え込む。光を点けたショッピ、シャオロン、桃瀬もそれに加わった。
「猿ゥ、偶像や!!」
ゾムが猿山に向かって偶像をぶん投げる。
「よっと、ナイスキャッチ!」
猿山が偶像を受け取り、"何か"を取り出す。そして…それを腹部に当てた。
「?!さ、猿山…何をしようとしてるんだ…?」
絵斗が怯えたような声を出す。全員の顔に緊張が浮かんだ。
「何って…呪いを"浄化"するんだよ。これが、猿山家の"能力"だ!!」
[大文字]ザシュッ[/大文字]
パッと赤い液体が飛び散る。猿山がとりだしたもの――…家庭科室の"包丁"から、血が滴り落ちた。
「がはッ…」
猿山が苦痛に顔を歪ませながらも、偶像を足元に出来た血溜まりに浸らせる。
[大文字]ジュワッ!![/大文字]
その途端、偶像が黒く変色し[漢字]溶け出した[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]。ニッと猿山は笑う。
「オレ達の…勝ちだな、絵斗…」 ドサッ
猿山が大の字になり寝転がる。桃瀬が慌てて包帯で彼の腹部を巻く。
「はぁ〜痛ぇ〜〜…」
「もう、無茶しないでって言ったのに!」
「先生大丈夫なんか?!」
シャオロンが駆け寄る。ショッピとチーノも続いた。
「大丈夫に決まっとるやろ」
ゾムが代わりに答えた。猿山と一瞬目が合う。
「だって、猿ゥやぞ?」
「ゾムぅ〜?"山"つけような??」
「さ[漢字]や[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]る[漢字]ま[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]!」
「誰だよそれ?!」
どっと笑いが巻き起こる。しばらくして、ゾムがそういえば、と呟いた。
「猿ゥ、"能力"って結局何なんや、」
「あぁ…オレ達"桃鬼伝説"に登場する"桃太郎"、"猿"、"戌"、"鳥"にあたる四家は、それぞれ"能力"があるんだ。で、オレ達猿山家の能力が[太字]己の血で呪いを浄化する[/太字]能力だ」
「そうなんや…じゃあ、他の三家は…」
ゾムが尋ねようとした、その時。"彼"がやってきた。
「ったく、呑気だなお前ら」
「お、"戌亥"。…やっぱりそうか」
ドサリと"何か"を戌亥が投げ落とす。猿山は起き上がり、じっと見下ろした。
「父さん、母さん…」
「…らだ男、なぜ我々の邪魔をする?」
「そうよ、あなただって猿山家の一員でしょう?」
「はぁ…オレの生徒の言葉を借りて言わせてもらうけどよ…」
猿山はスゥゥ…と息を吸う。
「[大文字][大文字]家族だろうが所詮他人なんだよバァァァカ!![/大文字][/大文字]」
この時、金髪の少年がくしゃみをしたそうな。
「[小文字][小文字]絶対クソ先輩やん…[/小文字][/小文字]」
猿山の両親は豆鉄砲を喰らった鳩のような顔をしている。
「わかったら、オレとオレの仲間に関わるな。じゃないと…戌亥が黙っていないぜ?」
(俺かよ…)
「話はそれだけだ。失せな」
猿山の両親がいなくなった後、絵斗が口を開く。
「ご、ごめんみんな…オレ、みんなを騙して…猿山なんか、能力を使わせて…」
全員は顔を見合わせる。ゾムは、ゆっくりと絵斗に近づいた。
「刑事」
「…ゾム君」
絵斗はずっとうつむいている。ゾムは、じっと彼を見つめた。やがて口を開く。
「"ごめん"じゃないやろ。"ありがとう"や」
「!!」
絵斗が顔を上げる。猿山がヘラリと笑った。
「別にオレのことは気にしなくて良いって。友達を助けることくらい、当たり前だろ?」
「猿山…」
絵斗の目に、雫が溜まっていく。
「みんな…みんな、[大文字]本当にあ゙り゙がどお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!![/大文字]」
ゆっくりと、穏やかな時間が流れていった――…
―午前四時―
「ただいま、呂戊太」
無事、全員が帰宅する。絵斗はそっとロボロの部屋を覗いた。すやすやと、規則正しい寝息をたてて眠っている。
(…こんな日々が、続きますように)
彼はベッドに潜り込む。次の日、弟とどんな話をしようかと考えながら――…
やがて、穏やかな寝息が一つ、たち始めた。
〈作戦C:猿山家の能力を使う〉 成功。全員生還。
※猿山家の能力:己の血で呪いを浄化する。急所から流れた血であるほど効果は大きい。
※桃瀬家の能力:黄泉の国と現世を繋ぐ・隔離する。
[右寄せ]―HAPPY END―[/右寄せ]
猿山の宣言に、ゾムの顔が歪む。そんな彼の頭に、猿山はポンと手を置いた。
「何だゾム、オレが死ぬわけ無いだろ?それとも…先生が信じられないのか??」
ゾムの目が見開かれる。そして…大きくかぶりを振った。
「オレ、先生のこと信じる。…信じるから、一緒に帰ろうな」
「なぁ〜に当たり前のこと言ってるんだゾムぅ〜〜…絶対に帰るぞ、みんな」
全員の目に、決意と覚悟が宿る。
「それじゃあ、作戦を説明するぞ〜…」
「ごめん、みんな…オレはこうするしか呂戊太を守れないんだ…」
絵斗の脳裏に、数時間前の出来事が蘇る――…
―数時間前―
「もうこんな時間か…遅くなっちゃたな。早く帰らないと」
そう思いながら勤めている警察署を出る。数分ほど歩き続けた、その時。
[大文字]カチャッ[/大文字]
「?!」
後頭部に細長い何かが突きつけられる。それが"銃"だと理解するまでに、そう時間はかからなかった。銃を突きつけたその人物は、後ろから絵斗に話しかける。…いや、脅したと言ったほうが正しいだろう。
「あの"偶像"を持って来い」
「な、なんでオレがそんなことを…」
「もし断れば、[漢字]お前の弟の命は保証しない[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・・・[/ふりがな]」
「ッ…!!」
こうして、今に至る。
(みんなには悪いと思ってる、けど…[漢字]こうする[/漢字][ふりがな]従う[/ふりがな]しか、ないんだ)
絵斗は、偶像を抱きかかえる手に力を込めた。彼の瞳に決意と覚悟が宿る。
「大丈夫、オレがお前を守るよ…呂戊太」
―午前二時半―
「ようやく準備が終わったな…ったく、この学校鍵が多すぎるんだよ!」
そんな不満を言いながらも、ふと猿山は真面目な顔になる。
「この作戦を成功させるには、お前らの協力が必要不可欠だ。…頼んだぞ」
「任せてくださいよ先生!オレの人気者オーラでなんとかなりますって!」
「あ、それなら安心してください。シャオさんの出番オレが持っていくんで」
「何やとショッピ〜!💢」
「ゾムさん、頑張りましょうね!」
「そうやなチーノ、絶対に生きて帰るんや!!」
「らぁ君、無茶はしないでね」
「せっかくなんで記念に一枚撮っときます?」
「何故そうなる…」
戌亥が呆れたように呟くも、口元はわずかに笑っていた。最後かもしれない、幸せを噛みしめるように…
(…最後にならないだろうな、猿山?オレはお前を…信じてるからな)
最後の戦場へ、彼らは向かっていく――…
「お前ら、来たのか」
絵斗が感情を殺した声で言葉を発する。大切そうに、偶像を抱えながら…
「いやぁ、暗い顔してますねぇ。どうです、ボクとお茶でも飲みませんか?」
「…?何だお前」
チーノの[打消し]胡散臭い[/打消し]トークに顔をしかめる絵斗。
「まぁまぁそんな顔せずに!ささ、座ってください」
どこから取り出したのか、チーノが座布団を敷く。絵斗の気がそちらに反れた、その瞬間。
[大文字]パッ!![/大文字]
まばゆい光が一斉に点灯する。たまらず絵斗は目を細めた。
「[大文字][大文字]隙あり!![/大文字][/大文字]」
そこへ、ゾムが絵斗から偶像を奪い取る。
「なっ?!しまった…!」
「おっと、動いちゃダメですよ」
クロノアが後ろから絵斗を抑え込む。光を点けたショッピ、シャオロン、桃瀬もそれに加わった。
「猿ゥ、偶像や!!」
ゾムが猿山に向かって偶像をぶん投げる。
「よっと、ナイスキャッチ!」
猿山が偶像を受け取り、"何か"を取り出す。そして…それを腹部に当てた。
「?!さ、猿山…何をしようとしてるんだ…?」
絵斗が怯えたような声を出す。全員の顔に緊張が浮かんだ。
「何って…呪いを"浄化"するんだよ。これが、猿山家の"能力"だ!!」
[大文字]ザシュッ[/大文字]
パッと赤い液体が飛び散る。猿山がとりだしたもの――…家庭科室の"包丁"から、血が滴り落ちた。
「がはッ…」
猿山が苦痛に顔を歪ませながらも、偶像を足元に出来た血溜まりに浸らせる。
[大文字]ジュワッ!![/大文字]
その途端、偶像が黒く変色し[漢字]溶け出した[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]。ニッと猿山は笑う。
「オレ達の…勝ちだな、絵斗…」 ドサッ
猿山が大の字になり寝転がる。桃瀬が慌てて包帯で彼の腹部を巻く。
「はぁ〜痛ぇ〜〜…」
「もう、無茶しないでって言ったのに!」
「先生大丈夫なんか?!」
シャオロンが駆け寄る。ショッピとチーノも続いた。
「大丈夫に決まっとるやろ」
ゾムが代わりに答えた。猿山と一瞬目が合う。
「だって、猿ゥやぞ?」
「ゾムぅ〜?"山"つけような??」
「さ[漢字]や[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]る[漢字]ま[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]!」
「誰だよそれ?!」
どっと笑いが巻き起こる。しばらくして、ゾムがそういえば、と呟いた。
「猿ゥ、"能力"って結局何なんや、」
「あぁ…オレ達"桃鬼伝説"に登場する"桃太郎"、"猿"、"戌"、"鳥"にあたる四家は、それぞれ"能力"があるんだ。で、オレ達猿山家の能力が[太字]己の血で呪いを浄化する[/太字]能力だ」
「そうなんや…じゃあ、他の三家は…」
ゾムが尋ねようとした、その時。"彼"がやってきた。
「ったく、呑気だなお前ら」
「お、"戌亥"。…やっぱりそうか」
ドサリと"何か"を戌亥が投げ落とす。猿山は起き上がり、じっと見下ろした。
「父さん、母さん…」
「…らだ男、なぜ我々の邪魔をする?」
「そうよ、あなただって猿山家の一員でしょう?」
「はぁ…オレの生徒の言葉を借りて言わせてもらうけどよ…」
猿山はスゥゥ…と息を吸う。
「[大文字][大文字]家族だろうが所詮他人なんだよバァァァカ!![/大文字][/大文字]」
この時、金髪の少年がくしゃみをしたそうな。
「[小文字][小文字]絶対クソ先輩やん…[/小文字][/小文字]」
猿山の両親は豆鉄砲を喰らった鳩のような顔をしている。
「わかったら、オレとオレの仲間に関わるな。じゃないと…戌亥が黙っていないぜ?」
(俺かよ…)
「話はそれだけだ。失せな」
猿山の両親がいなくなった後、絵斗が口を開く。
「ご、ごめんみんな…オレ、みんなを騙して…猿山なんか、能力を使わせて…」
全員は顔を見合わせる。ゾムは、ゆっくりと絵斗に近づいた。
「刑事」
「…ゾム君」
絵斗はずっとうつむいている。ゾムは、じっと彼を見つめた。やがて口を開く。
「"ごめん"じゃないやろ。"ありがとう"や」
「!!」
絵斗が顔を上げる。猿山がヘラリと笑った。
「別にオレのことは気にしなくて良いって。友達を助けることくらい、当たり前だろ?」
「猿山…」
絵斗の目に、雫が溜まっていく。
「みんな…みんな、[大文字]本当にあ゙り゙がどお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!![/大文字]」
ゆっくりと、穏やかな時間が流れていった――…
―午前四時―
「ただいま、呂戊太」
無事、全員が帰宅する。絵斗はそっとロボロの部屋を覗いた。すやすやと、規則正しい寝息をたてて眠っている。
(…こんな日々が、続きますように)
彼はベッドに潜り込む。次の日、弟とどんな話をしようかと考えながら――…
やがて、穏やかな寝息が一つ、たち始めた。
〈作戦C:猿山家の能力を使う〉 成功。全員生還。
※猿山家の能力:己の血で呪いを浄化する。急所から流れた血であるほど効果は大きい。
※桃瀬家の能力:黄泉の国と現世を繋ぐ・隔離する。
[右寄せ]―HAPPY END―[/右寄せ]