獣人専用高校で人間だけど恋愛します
いきなり話しかけられて驚いた。
しかも後輩の、女に。
怖くないのだろうか。この仏頂面が。
それに何の用だ?
「先輩、部活は何部なんですか?」
は?本気で意味が分からない。
何故そんなことを聞く?
女は何度も話題を変えて話しかけてくる。
俺はこの後家に帰ってからのタイムテーブルを頭の中で描きながら、女の話を聞き流した。
その日以降、女は何度か話しかけてきた。
拒否するのも面倒だし、勝手に着いてきて話しかけるその姿を横目に、俺は歩いた。
「勉強教えてくれたりしません?」
「.........」
くそ、面倒くさいことになった。
そんなキラキラした目で見つめてくるな。
はあ...やっぱりさっさと追い払っておけばよかった。
.........断る口実も見つからないし、仕方ない。
「......いつですか?」
「いつでも!」
しぶしぶ了承すると、満面の笑みで返してくる。
やけに嬉しそうだ。何だよ、そんなにテストが危ういのか?
......確かにお世辞にも賢いとは言えなかったが、吸収は早かった。
素直なところはコイツのいいところだ。
裏表がなくて、今も、俺の前で答案用紙を広げて笑っている。
そんな姿が、............
...何だか今日はおかしなことばかり考えてしまう。
疲れているのだろうか。
無理やり出かける約束をさせられた。
勉強を教えたお礼だそうだ。
俺はきっかり10分前に約束場所に着いた。
...やはりアイツの姿はない。
それからあまり経たずに、アイツが走ってきた。
別にまだ約束の時間の3分前だし、走るとせっかくの髪が崩れるだろうに...って、関係ないだろ、そんなことは。
「ごめんなさい、遅れました」
「さっき来たところです」
「先輩でもそんなこと言えるんですね」
「.........」
コイツは俺を何だと思っているんだろうか。
俺とてそれくらいは言える。
いや、それだけでなく他の台詞だって言える。
なんせあんなに遊び人な兄を近くで見てきたのだ。
嫌でも脳に刻まれるだろう。
そのことを感謝したことなど一度もないが。
......女と、人と一緒にいて、何が楽しいんだよ。馬鹿馬鹿しい。
一人の方がよっぽどいいに決まっている。
俺は前につんのめる感覚で、意識を現実に戻した。
アイツがぐいぐいと先に進んでいく。
ああもう、袖を引っ張るなよ。
「クレープ?」
何だそれは。
会話の流れから察するに、おそらく甘いものなのだろうが。
アイツはきょとんとした。
「もしかして、知りません?」
何だこれは。屈辱だ。
俺は短く5文字で返した。
「......知りません」
「えっ!じゃあ私が教えてあげますよ、行きましょう!」
これは調子に乗っているな。
...仕方ない奴。
まあ付き合ってやるか。
思ったより柔らかくて重たいそれを落とさないように、両手で支える。
すると隣から笑い声が聞こえた。
「ふふっ」
何だよ。そんなに俺が面白いか。
「ごめんなさい、ほら、写真撮りましょう?」
アイツがスマホを構えたから、俺もピースをした。
別にしようと思ってしたわけじゃないのに、体が動いたのだ。
......恥ずかしい。最悪だ。
シャッターが切られる様子を見て、ぼんやりと考える。
そういえば、最後に写真を撮ったのはいつだったか。
中学に入学したとき?...いや、もっと前だった気もする。
.........。
アイツとラインを交換した。
家に帰ると、今日の写真が送られていた。
しばらくそれを見つめていると、いつの間にか日が落ちていた。
しかも後輩の、女に。
怖くないのだろうか。この仏頂面が。
それに何の用だ?
「先輩、部活は何部なんですか?」
は?本気で意味が分からない。
何故そんなことを聞く?
女は何度も話題を変えて話しかけてくる。
俺はこの後家に帰ってからのタイムテーブルを頭の中で描きながら、女の話を聞き流した。
その日以降、女は何度か話しかけてきた。
拒否するのも面倒だし、勝手に着いてきて話しかけるその姿を横目に、俺は歩いた。
「勉強教えてくれたりしません?」
「.........」
くそ、面倒くさいことになった。
そんなキラキラした目で見つめてくるな。
はあ...やっぱりさっさと追い払っておけばよかった。
.........断る口実も見つからないし、仕方ない。
「......いつですか?」
「いつでも!」
しぶしぶ了承すると、満面の笑みで返してくる。
やけに嬉しそうだ。何だよ、そんなにテストが危ういのか?
......確かにお世辞にも賢いとは言えなかったが、吸収は早かった。
素直なところはコイツのいいところだ。
裏表がなくて、今も、俺の前で答案用紙を広げて笑っている。
そんな姿が、............
...何だか今日はおかしなことばかり考えてしまう。
疲れているのだろうか。
無理やり出かける約束をさせられた。
勉強を教えたお礼だそうだ。
俺はきっかり10分前に約束場所に着いた。
...やはりアイツの姿はない。
それからあまり経たずに、アイツが走ってきた。
別にまだ約束の時間の3分前だし、走るとせっかくの髪が崩れるだろうに...って、関係ないだろ、そんなことは。
「ごめんなさい、遅れました」
「さっき来たところです」
「先輩でもそんなこと言えるんですね」
「.........」
コイツは俺を何だと思っているんだろうか。
俺とてそれくらいは言える。
いや、それだけでなく他の台詞だって言える。
なんせあんなに遊び人な兄を近くで見てきたのだ。
嫌でも脳に刻まれるだろう。
そのことを感謝したことなど一度もないが。
......女と、人と一緒にいて、何が楽しいんだよ。馬鹿馬鹿しい。
一人の方がよっぽどいいに決まっている。
俺は前につんのめる感覚で、意識を現実に戻した。
アイツがぐいぐいと先に進んでいく。
ああもう、袖を引っ張るなよ。
「クレープ?」
何だそれは。
会話の流れから察するに、おそらく甘いものなのだろうが。
アイツはきょとんとした。
「もしかして、知りません?」
何だこれは。屈辱だ。
俺は短く5文字で返した。
「......知りません」
「えっ!じゃあ私が教えてあげますよ、行きましょう!」
これは調子に乗っているな。
...仕方ない奴。
まあ付き合ってやるか。
思ったより柔らかくて重たいそれを落とさないように、両手で支える。
すると隣から笑い声が聞こえた。
「ふふっ」
何だよ。そんなに俺が面白いか。
「ごめんなさい、ほら、写真撮りましょう?」
アイツがスマホを構えたから、俺もピースをした。
別にしようと思ってしたわけじゃないのに、体が動いたのだ。
......恥ずかしい。最悪だ。
シャッターが切られる様子を見て、ぼんやりと考える。
そういえば、最後に写真を撮ったのはいつだったか。
中学に入学したとき?...いや、もっと前だった気もする。
.........。
アイツとラインを交換した。
家に帰ると、今日の写真が送られていた。
しばらくそれを見つめていると、いつの間にか日が落ちていた。