「先輩っ」
「......ああ、こんにちは」

先輩になるべく明るく話しかける。
心臓はバクバクしているけれど、平常心、平常心。

「先輩の、名前って...聞いてもいいですか？」

ああっ！！言っちゃった！！
ドキドキしながら先輩の横顔を見つめる。
でも、返ってきたのは思いもよらない言葉だった。

「知って何になるのです？」

先輩の視線はひどく冷たく感じられる。
私の喉は乾ききっていた。
その言葉、前にも聞いた。
あの時より心を許してくれていると思っていたけど、そうじゃなかった？
先輩の背中が遠ざかっていく。

「それじゃあ」

何も言えなかった。
ただ呆然と、立ち尽くしていた。

どうして？
嫌われた？ウザかった？
急にどん底に突き落とされて、脳が追い付いていない。
涙がこぼれ落ちた。
ひたすら泣いた。
泣いて、泣いて、泣いた。


こんなに好きなのに。