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獣人専用高校で人間だけど恋愛します

#63

思い

あんまり詳しいことは覚えていない。

いつも通り、空き教室でひっそりとボールを眺めていたら、ドアが開いた。
抵抗したが、4人相手には勝てない。
手を縛られ、必死でボールを守る。
これだけが俺の生き甲斐だ。

殴られ、蹴られ、罵倒された。
俺がボールを渡さないのを楽しんでいるようだった。

もう意識を手放してしまおうか。

「大和!!」

俺を呼ぶ声がして、ガタガタと扉が動いた。
数秒経って窓が割れる。

近づいてきた匠は、獣化していた。
匠が男に椅子で殴られる。
いくらなんでもやりすぎだ。しかも無関係な匠に。
俺のせいで。

ボールは渡す、だから離してくれ。
そう言うと逆上された。
生意気、か。懐かしいな。
父の言うことは本当だった。
俺はやっぱり人を不幸にさせるんだ。

カッターナイフが匠の首をかする。
狙ったのか、それともまぐれか。
怖くて怖くて仕方がなかった。
自分がされたときはそんなことなかったのに。

男たちは去っていった。

匠はゆっくり俺の話を聞いてくれた。
それから一番欲しかった言葉をくれた。

「よく頑張ったな」

泣いて、泣いて、泣いた。
頭がガンガンするけど、なんだかスッキリした。
匠は絆創膏を貼ってくれた。シワが寄っている。へたくそだ。

「...大和、無理はしないでくれ」
「うん」
「分かってないだろ!俺が助けてやるから、だから...」

分かってるよ。匠は優しいから、心配してくれる。
でもいつか離れ離れになったとき、そのとき、俺はどうやって生きていけばいい?
一度手に入れたものを手放したくない。手放せない。
それなら最初から手にしなければいいんだ。

「匠、気持ちは嬉しいけど...もう、俺、匠と一緒にはいられない」
「な...」
「ごめん」

そっちこそ、分かってない。
なんでかなんて、聞くなよ。

なぜか匠に押し倒された。
ドキドキする。

「好きになっちまえよ」
「えっ」
「俺はお前のことが好きだ」

唇に何かが触れた。
それがキスだ、と気づくまでにだいぶ時間がかかった。
聞いた話と違う。
お互い唇は乾燥しているし、触れていたのは一瞬だった。
だけど、だけど。

ものすごく嬉しい。









好きだよ、匠。

作者メッセージ

ヤンデレっぽくなってしまった...汗
あながち間違いではないけれど。

2025/04/20 01:12

まっちゃん ID:≫ 7tcdpCk/fMi.Q
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