獣人専用高校で人間だけど恋愛します
その夜から、匠は毎晩裏庭に来た。
匠は何も言わずに地面に腰をおろして、一人で色々話始める。
速すぎず、遅すぎず、ぽつりぽつりと話が進む。
匠の声は心地よかった。
最初は匠の行動が理解できなかった。...いや、今もできていないが。
何にせよ、毎晩匠がいる裏庭で練習をするのが当たり前になった。
二年になって、後輩ができた。
その後輩4人組に呼び出された。
リーダーらしき男が、不機嫌を隠そうともせず言った。
「おい、お前のボール寄越せよ」
こいつに敬語を使われたことは一度もない。
無駄だと思いつつも、反論してみる。
「こんなにボロいのにか?」
「うるせえ。さっさと渡せよ」
「...無理だ。これは渡せない」
「は?」
まさか断られるとは思っていなかったのか、リーダーは間抜けな声を出した。
取り巻きたちが焦って、口々に言った。
「おい、お前、この方が誰か分かってんのか!?」
「ボールくらい譲れよ!この貧乏性!」
「何だその生意気な目は!謝れ!」
このボールは、父から貰った大切なものだ。
手入れも欠かさなかった。
俺が無言でいると、もう我慢できないとばかりに、リーダーの男に腹を蹴られた。
ドッ
痛い。暴力には慣れている...が、久しぶりだ。
暴力が止むまで、ひたすらに耐えた。
変なところで慎重なのか、服で隠れないところは殴られなかった。
アイツらが飽きるまで、暴力は続いた。
一日一回、呼び出されて殴られる。
どれくらいそれが続いただろう。
でも、もう駄目だ。俺が、壊れてしまう。
サッカー部をやめる。
一応、匠にも伝えた。
驚いた顔をされたが、引き留めてくれることはなかった。
心のどこかで、匠は止めてくれると思っていた。
止められても、俺の気持ちが変わることはないが.........
もうよくわからない。
俺は、何のためにいるんだろう。
数日後、廊下を歩いていたら、いきなり腕を掴まれた。
匠だった。
匠はこう聞いてきた。
「何で部活を...サッカーをやめた」
ごめん。言えないんだ。
他の人に...匠に、迷惑はかけられない。
「言わない」
ぎゅうっと、俺の腕を掴んでいる匠の手に力が入った。
それでも全然痛くない。
優しいな、匠は。
「馬鹿!!何でだよ!!」
急に大きな声を出されて、体がびくっと跳ねる。
匠は下を向いていた。
もしかして...泣いている?
「もう、夜、10時じゃないと寝れなくなった」
「え...」
「お前のせいだよ」
遠回しなことを言って、匠は去っていった。
俺は、引き留められなかった。
匠は何も言わずに地面に腰をおろして、一人で色々話始める。
速すぎず、遅すぎず、ぽつりぽつりと話が進む。
匠の声は心地よかった。
最初は匠の行動が理解できなかった。...いや、今もできていないが。
何にせよ、毎晩匠がいる裏庭で練習をするのが当たり前になった。
二年になって、後輩ができた。
その後輩4人組に呼び出された。
リーダーらしき男が、不機嫌を隠そうともせず言った。
「おい、お前のボール寄越せよ」
こいつに敬語を使われたことは一度もない。
無駄だと思いつつも、反論してみる。
「こんなにボロいのにか?」
「うるせえ。さっさと渡せよ」
「...無理だ。これは渡せない」
「は?」
まさか断られるとは思っていなかったのか、リーダーは間抜けな声を出した。
取り巻きたちが焦って、口々に言った。
「おい、お前、この方が誰か分かってんのか!?」
「ボールくらい譲れよ!この貧乏性!」
「何だその生意気な目は!謝れ!」
このボールは、父から貰った大切なものだ。
手入れも欠かさなかった。
俺が無言でいると、もう我慢できないとばかりに、リーダーの男に腹を蹴られた。
ドッ
痛い。暴力には慣れている...が、久しぶりだ。
暴力が止むまで、ひたすらに耐えた。
変なところで慎重なのか、服で隠れないところは殴られなかった。
アイツらが飽きるまで、暴力は続いた。
一日一回、呼び出されて殴られる。
どれくらいそれが続いただろう。
でも、もう駄目だ。俺が、壊れてしまう。
サッカー部をやめる。
一応、匠にも伝えた。
驚いた顔をされたが、引き留めてくれることはなかった。
心のどこかで、匠は止めてくれると思っていた。
止められても、俺の気持ちが変わることはないが.........
もうよくわからない。
俺は、何のためにいるんだろう。
数日後、廊下を歩いていたら、いきなり腕を掴まれた。
匠だった。
匠はこう聞いてきた。
「何で部活を...サッカーをやめた」
ごめん。言えないんだ。
他の人に...匠に、迷惑はかけられない。
「言わない」
ぎゅうっと、俺の腕を掴んでいる匠の手に力が入った。
それでも全然痛くない。
優しいな、匠は。
「馬鹿!!何でだよ!!」
急に大きな声を出されて、体がびくっと跳ねる。
匠は下を向いていた。
もしかして...泣いている?
「もう、夜、10時じゃないと寝れなくなった」
「え...」
「お前のせいだよ」
遠回しなことを言って、匠は去っていった。
俺は、引き留められなかった。