やっとアイツら...
隼人と歩美がくっついた。
ここまで長かった。
それにしても隼人が幸せそうだ。
羨ましいな。
そんな感情が浮かんできた。


俺は恋心というものが分からない。
恋をしたことがない。
少し前までは隼人もそうだったのにな。
別にいいけど。少し寂しいだけだ。
隼人がずっと言っていた言葉。
何だったっけ、そう、運命だ。
俺にもいるのかな。



ある夜、用事があって風呂に入るのが遅くなった。
何だか音が聞こえる気がして、導かれるように裏庭に向かった。
そこには美しい美女が月明かりの下で舞っている.........
ということはなく、一人の男がリフティングをしていた。
とらえそこねたボールがこちらに転がってきた。
それを取って渡してやる。

「ありがとう」
「いや。それより少し休んだらどうなんだ？汗だくじゃないか」
「...そうだね。そうする」

男はしゃがみこんだ。
俺も隣に座る。
しまった、風呂あがりなのに。
まあしょうがない。

「...いつもここでやってるのか？」
「うん。集中できるから」

男は大和と言うらしい。同じクラスだった。
小さい頃からサッカーをしていて、もうすぐ試合だということも聞いた。

「...サッカーが好きなんだな」

何気なくそう言うと、大和は泣きそうな顔で微笑んだ。

「うん」

何だか胸が高鳴った気がした。
あれ？