獣人専用高校で人間だけど恋愛します
「ん?」
俺はあたりを見渡した。
見える範囲内に人影らしきものはない。
おかしいな。名前を呼ばれたと思ったんだが。
息をひそめて耳に意識を向ける。
「...助けて隼人...!」
気のせいではない。
体中の毛が逆立つ。
歩美の声だ。歩美が助けを求めている。
反射的に体が動き出した。
少し走ったところに、歩美がいた。
男に押さえつけられているようだ。
アイツ...許さない。
目の前が真っ赤になって、気づいたら男たちは俺の前に倒れていた。
慌てて歩美の姿を探す。
よかった、無事だ。
だが歩美は地面にへたりこんでしまっている。
可哀想に、ごめん。遅くなった。
泣いている歩美の頭をそっと撫でてやる。
...小さいな。
俺は歩美を抱きしめた。
歩美は驚いたのか、びくっと体を震わせたが、嫌がるそぶりは見せない。
されるがままになっている。
俺に体を預けてくれるのは信頼されているようで嬉しかったが、男として意識されていないのかと思うと複雑な気分だ。
ふと、歩美の体が小刻みに揺れていることに気づく。
俺の心までぎゅっと締め付けられる。
何とかしてやりたくて、抱き締めている腕に力を込める。もちろん少しだけ。
歩美は静かに目を閉じて、眠りについた。
保健室のベッドに歩美を寝かせる。
急に温もりを失った俺の体は少しひんやりとしている。
ドアが開く音がして、息をきらした香里が入ってくる。
大丈夫だという気持ちを込めて頷くと、香里はほっとしたような顔をした。
俺はベッドの側の椅子を譲って、隣の部屋に行く。
どれくらいそうしていただろう。
窓の外は薄暗くなってきたのに、俺を呼びにくるどころか話し声さえも聞こえない。
だんだん心配になってきた。もしかしてアイツらに何かされた?
そこにタイミングよく香里が入ってきた。
入れ替わりで部屋に入る。
まっすぐに垂れ下がる黒髪のせいで、歩美が今どんな顔をしているのかは分からない。
「隼人、ありがとう。あのとき、何で来てくれたの?」
「何でって...呼んだだろ」
そこまで言って気づく。
そうだ。歩美は俺を呼んだんだ。
他の誰でもない、俺を。
そう思うと急にむずむずした気持ちになる。
「そうだけど...聞こえたの?」
少し、少しだけ、期待してもいいのだろうか。
「聞こえた」
歩美の髪に触れる。
綺麗だ。俺の手からサラサラと流れていく。
再び歩美は眠ってしまう。
少しあどけなさが残る寝顔。
ふと赤い唇が目についた。
何だ...これはやばい。
俺は理性を総動員して何とか踏みとどまる。
後を香里に任せて保健室を飛び出した。
手を出さなかった俺を褒め称えてほしい。
げっそりして匠にそう言うと、肩をすくめられた。
「ふうん、そんなもん?運命ってすげえな」
こいつは俺の気持ちを全然分かってない。
運命の存在も信じてくれない。
少しむくれてソファにうつぶせになったときだった。
背もたれの向こう側から、小さな声が聞こえた。
「俺にも、現れるのかな」
びっくりして顔を上げる。
何もなかったかのように、匠は笑った。
「さ、今日はカレーだ」
「またか?」
「うるさいな。美味いし、いいだろ」
「誰も悪いとか言ってない」
「お前な...」
俺はあたりを見渡した。
見える範囲内に人影らしきものはない。
おかしいな。名前を呼ばれたと思ったんだが。
息をひそめて耳に意識を向ける。
「...助けて隼人...!」
気のせいではない。
体中の毛が逆立つ。
歩美の声だ。歩美が助けを求めている。
反射的に体が動き出した。
少し走ったところに、歩美がいた。
男に押さえつけられているようだ。
アイツ...許さない。
目の前が真っ赤になって、気づいたら男たちは俺の前に倒れていた。
慌てて歩美の姿を探す。
よかった、無事だ。
だが歩美は地面にへたりこんでしまっている。
可哀想に、ごめん。遅くなった。
泣いている歩美の頭をそっと撫でてやる。
...小さいな。
俺は歩美を抱きしめた。
歩美は驚いたのか、びくっと体を震わせたが、嫌がるそぶりは見せない。
されるがままになっている。
俺に体を預けてくれるのは信頼されているようで嬉しかったが、男として意識されていないのかと思うと複雑な気分だ。
ふと、歩美の体が小刻みに揺れていることに気づく。
俺の心までぎゅっと締め付けられる。
何とかしてやりたくて、抱き締めている腕に力を込める。もちろん少しだけ。
歩美は静かに目を閉じて、眠りについた。
保健室のベッドに歩美を寝かせる。
急に温もりを失った俺の体は少しひんやりとしている。
ドアが開く音がして、息をきらした香里が入ってくる。
大丈夫だという気持ちを込めて頷くと、香里はほっとしたような顔をした。
俺はベッドの側の椅子を譲って、隣の部屋に行く。
どれくらいそうしていただろう。
窓の外は薄暗くなってきたのに、俺を呼びにくるどころか話し声さえも聞こえない。
だんだん心配になってきた。もしかしてアイツらに何かされた?
そこにタイミングよく香里が入ってきた。
入れ替わりで部屋に入る。
まっすぐに垂れ下がる黒髪のせいで、歩美が今どんな顔をしているのかは分からない。
「隼人、ありがとう。あのとき、何で来てくれたの?」
「何でって...呼んだだろ」
そこまで言って気づく。
そうだ。歩美は俺を呼んだんだ。
他の誰でもない、俺を。
そう思うと急にむずむずした気持ちになる。
「そうだけど...聞こえたの?」
少し、少しだけ、期待してもいいのだろうか。
「聞こえた」
歩美の髪に触れる。
綺麗だ。俺の手からサラサラと流れていく。
再び歩美は眠ってしまう。
少しあどけなさが残る寝顔。
ふと赤い唇が目についた。
何だ...これはやばい。
俺は理性を総動員して何とか踏みとどまる。
後を香里に任せて保健室を飛び出した。
手を出さなかった俺を褒め称えてほしい。
げっそりして匠にそう言うと、肩をすくめられた。
「ふうん、そんなもん?運命ってすげえな」
こいつは俺の気持ちを全然分かってない。
運命の存在も信じてくれない。
少しむくれてソファにうつぶせになったときだった。
背もたれの向こう側から、小さな声が聞こえた。
「俺にも、現れるのかな」
びっくりして顔を上げる。
何もなかったかのように、匠は笑った。
「さ、今日はカレーだ」
「またか?」
「うるさいな。美味いし、いいだろ」
「誰も悪いとか言ってない」
「お前な...」