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獣人専用高校で人間だけど恋愛します

#43

匂い

しばらく走って、少し前に歩美がいるのを見つけた。
気づいていないようだったから、音をたててやる。
歩美はそろそろと振り返って、俺の姿を見ると、驚いたような、安心したような顔をした。

「銀髪さん...」
「銀髪?」

俺のことか?
俺はなるべく歩美のことを知らないふりをして聞いた。

「...迷子か?」
「ま、迷子です...」

もう少し話をしていたかったから、俺は嘘をついた。

「俺もだ」

俺は歩美を木の下に連れていった。
知らないうちに、歩美も疲れているだろうと思ったから。
歩美と話せるのが嬉しくて、つい俺のことを話しすぎた。
呆れられているだろうか。
女は話すことが好きで、人の話なんか聞かないから。

俺は心配になって、歩美を見た。
歩美は、困ったように視線をさ迷わせて、でも結局目を合わせてくれた。
可愛い。
こんなに近いと、嫌でもあの金髪の匂いがする。

「おい」
「! な、何?」
「...匂い...」
「え」

歩美は何だか慌てた顔をしている。
誤魔化すように笑った。
何だ、そんなに言いたくないことがあるのか。
歩美は観念したように言った。

「...香里につけてもらったんだよね。あっ香里っていうのは友達だよ」

そんなことわざわざ言わなくても分かる。
そうか、こいつ...人間か。
髪も黒い。
...そんなやつに頼まなくたって、俺がいくらでもつけてやるのに。
俺が考えていることなんて、歩美は1つも分かってないと思う。
しょうがないから言ってやる。

「そんなもの...」

歩美は不思議そうにしてこちらを見る。
黒い大きな瞳に、俺が映っている。俺だけが。
それがすごく嬉しい。

「そんなもの、俺に頼め」

...絶対分かってない。
こんなこと言ったのなんて初めてだ。
俺はもう一度言った。

「だから、俺が匂いをつけてやる」
「なっ...えっ?」

ああもう、焦れったいな。
俺は頭を歩美の首筋に押し付けた。
白くてすべすべだ。心地いい。
少し金髪の匂いが混じっているのが気にくわないが、歩美の香りがする。
しばらくして、俺は顔をあげる。
よかった。やっと...

「俺の匂い」

作者メッセージ

隼人は「話しすぎた」と言ってますけど、普段話さなすぎて隼人の「話しすぎた」=皆の「普通」になってる...みたいな。

2025/02/26 06:06

まっちゃん ID:≫ 7tcdpCk/fMi.Q
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