その日、俺はそわそわして仕方なかった。
寮の部屋が中学からの親友、匠と同じだったのも勿論嬉しかったが、それよりも俺の『運命』に出会えた事が何より嬉しかった。
そのせいで匠に少し拗ねられてしまった。

「おい、せっかく俺と一緒の部屋だっていうのに、たいして喜んでないじゃないか」
「す、すまん。でも聞いてくれ。俺の『運命』を見つけた。」

匠は意味が分からないという顔をした。

「お前...そんなの信じてるのか。何かあったのか？話は聞くぞ」
「本当だよ。目があった瞬間に分かった。こいつは俺の『運命』だって」
「...分かった。で、どんな奴だ？名前は？」
「名前なんか聞けるわけないだろ。黒目黒髪の...」
「ああ、いたなぁ。黒目黒髪。まさか珍しいから...ってわけじゃないよな」
「馬鹿」
「ごめんって」

なんだかんだ言って匠は納得したようだった。
あの子のことが頭から離れない。
その日は寝付くのに苦労した。