「【爆ぜろ】」
彰人がそう唱えた瞬間。
「！？！？」
花火が室内で爆発したような。
轟音が鳴り。
レストランは爆発した。
「ふぅ〜。結構派手に爆発したなぁ。」
あたりを見渡しながら彰人が言う。
彰人は器用に自分らの居た部分だけ爆発の被害が及ばないようにしていた。
「先にアレ殺した奴が今日のレストラン代奢りな」
冷がスマホゲームをしながら言う。
「そうなのかい？なら戦闘は控えよう。」
ノアがにっこりしながら言う。
「さぁて、おいクソ野郎生きてっか？」
爆発の衝撃でできた瓦礫に埋もれた死刑囚に向かって
彰人は威圧的に言う。
「【Overeating】」
　　（暴食。）
その瞬間。
どこからか牙が現れ
瓦礫を全て喰らい尽くした。
「ねぇ、ノア。彰人。あの能力便利じゃない？フードロス削減できるじゃん笑」
冷は笑いながら言う。
きっと、死刑囚の事を微塵も警戒していないんだろう。
「削減できそうだけど。食費はかかりそうだね。」
ノアは微笑を浮かべる。
「おい、油断しすぎだろ。」
彰人は呆れている。
そんな会話をしているうちに【暴食】は全ての瓦礫を
食べ切った。
「If you lick too much, I'll kill you」
（あんまり舐めてると殺すぞ）
死刑囚の怒りは頂点へと達した。
そして、一気に3人が座っているところに
殴りかかった。
殴った部分に噛みついた痕がつく。
きっと【暴食】の牙は死刑囚の動きと連携しているんだろう。
すると後ろから
「【暴食】」
死刑囚が振り返った時には
もう自分の右腕は噛み砕かれていた。
「What!?︎」
「敵にそんな能力を見せてはいけないよ。わたしのような能力者だっているんだからね。」
ノア。能力、略奪。
相手の相手の個人情報を握っていればいるだけ相手の能力を奪える。最大全て奪える。名前と顔と能力を完全把握ぐらいでは五分の一ほどしか奪えない。無駄に顔が広く上っ面はよく聞き手に回りがちだったので、色々奪っている。
ノアと死刑囚が交戦していると
今度は爆発で吹っ飛んだ天井の穴から
誰かが覗き込んでいるのが見えた。
そして。
「【爆ぜろ】」
死刑囚の体が一気に爆発した。
だが外側からの爆発のため大したダメージにはならなかったがもし相手が死刑囚でなければ即死技だっただろう。
「チッ。筋肉質すぎるだろ。」
冷。能力。コピー。
　一度コピーした能力はいつでも使える。複数の能力を同時に使用することも可。過去に500以上の能力をコピーしている。また、能力以外のものも基本全てコピー可能。
死刑囚はよろけてしまったがすぐに立ち上がった。
「へぇ。冷君。君もわたしと似たような能力なんだね」
にっこりしていたがその笑顔の裏には腹黒い何かが隠されていた。
「まぁ。俺はお前の能力知ってたけどな。」
「それは心外。」
似た能力者同士もう完全にライバル関係になってしまった。
その二人の一瞬の隙も見逃さずに。
彰人が鬼のような速さで二人の間を抜けていき
死刑囚の口に手を突っ込み。
「【爆散】‼︎‼︎」
「⁉︎」
内部から爆発させた。
そしてその爆発によって死刑囚の肉の破片や
血が花火のように散る。
多分この世界で一番汚い花火だろう。
「ふぅ。きったね。おい、ノア、冷。見たろ？俺の勝ちだ。」
そうだ。彼は誰が一番最初に殺すかで勝負をしていたんだ。
「お前ら今日俺に奢れよ。」
笑顔で彰人は言う。
しかし、
「ふふっ。何を言っているんだい？」
ノアが口を手で押さえながら言う。
「本当。彰人ってバカだよな」
「は？なんで？先に殺した奴が奢られるんじゃないのか？」
「違うよ。冷もう一回言ってあげて。」
「えーっとな。先に殺した奴が今日のレストラン代奢りって言ったんだ。」
そうだ。彼らは先に殺した方が奢りと言うルールで戦っていたのだ。
「え？嘘だろ。聞いてない。」
「聞いていなくたとしても、君はこのレストランを爆発させたんだ。どのみち修理費は払うようだよ。」
ノアが腰に手を当てる。
「お前ら！！約束とちげぇじゃねぇか！！！」
「しらないってば。彰人が聞いてないだけでしょ？」
冷の言う通りだ。本当に彰人は人の話を聞かない癖がある。
「じゃあ、彰人先帰ってるから。」
「それでは。また」
「はぁぁあ？まてやゴラァぁぁ‼︎‼︎」

数日後。彰人はきっちり修理費も払い奢りもした。





inローズ。

「私の名はサファイア。こんな名前だが侍の一族だよろしく頼む。」
サファイアは目の前にいる新人に自己紹介をした。