二次創作
本ホテルのご利用、有難う御座いました。
#1
いってらっしゃいませ。
「貴方の人生は、誰にも邪魔されない、貴方だけのものです」
「本ホテルのご利用、誠に、有難う御座いました」
「いってらっしゃいませ!」
あの、長いようで短かった1週間が、遂に幕を閉じた。
ホテルは直ぐに廃業、廃ホテルとなったが、今まで犯して来た罪は、全て、オーナーであるフィルトレの責任となったようだ。
ベルマン_Nakamuは、罪を問われたが、『フィルトレに命令された』と言うことで、そんなに重くは無かったらしい。
シェフ_シャークんは、従業員として働いていなかったと言うことにされたので、当然罪に問われなかった。新たに、レストランのシェフとしての人生を歩んでいるのだとか。結構な人気も出たとか。
画家_きんときは、呪いの絵だとか言う迷信のせいで、画家としての人生を辞めようとしていたが、僕達5人のフォローで、また画家を生業としたと言う。
薬剤師_スマイルは、遂に、自作薬の開発に成功したと、テレビや新聞、ラジオなんかでも、大きな話題となった。多忙の身となっただろう。まあ、みんなを救ったFISHポーションを、即興で作ってしまった腕だ。それもそうだろう。
神父_きりやんは、あのホテルに蔓延っていた大量の悪霊を祓ったことで自信を持ち、祓魔師兼神父として、信者達の壮大な人気を取ったらしい。信者の数も増えたとか。
記者_僕、Broooockは、あのホテル、HOTEL PETRICHORのことを纏めた記事を出すと、一躍有名なライターとなった。編集長からも一目置かれ、少し優越に浸ったりもした。
そして今日は、例のレストランに、5人で集まる日。連絡先を交換して別れたから、あの後もちょくちょく、連絡は取り合っていたのだ。序でにレストランの取材もする。
「こんにちわ~~~」
カラン、カランとドアの開く音を立て、そう挨拶をすれば、奥からシェフが出てくる。
「お、一番乗りはぶるーくか!やっほ~てか早くね?」
何か作業をしてたのだろうか、タオルで手を拭きながら、そう返してくる。すると、奥からもう1人出てきた。
「あ!Broooockさん!お久し振りです!」
水色のエプロンが似合う彼。パンダのような、丸くて黒い耳がついたハンチングを被っている。
もしかして、
「な、Nakamu!?」
「あ、言ってなかったっけ?なかむに店員として働いて貰ってんだよ」
「え!大丈夫だったの?」
「はい!まあ、色々ありましたけど、直接手は下してなかったから、普通に生活していいって!」
目をキラキラさせてそう報告してくる。元気そうで何より。
「へぇぇぇ、良かったじゃん!!てか、敬語止めよ?堅苦しいの嫌いなんだよ~」
「え、えーっと……」
そう言えば、少し困ったように眉を下げ、
「……ぶ、ぶるーく、で……いいかな」
そう、少し照れたように笑った。
「そう!宜しくねなかむ~!」
仲良くなれたみたいで、嬉しくて、にこにこしていれば、何人かの話し声と、ドアの開く音がした。振り向けば、3人、其処に立っていた。
「シャークんおっひさ~、って、ぶるーく早くない!?」
「すげぇ、まだ約束の時間の10分前だが……」
「てかNakamuさん居るじゃん!?」
「お!みんな集合したか!」
早過ぎた僕を見て吃驚してるきりやんと、感心しているスマイル。そして、僕よりも、なかむが居ることに吃驚するきんとき。
それを起点に、シャークんとなかむが奥に引っ込んだ。出てきた時には、2人とも、両手に大きな盆を乗せていた。
「取り敢えず、飯してからにしようぜ?」
「シェフが、腕によりを掛けて作った料理ですからね~!」
「まじか!」
「え!僕お腹ぺこぺこ!!食べよ~!!」
料理が置かれた席に着き、1人1人、好きなのを取って食べる。やっぱ、シャークんの料理って美味しいんだよな~!
「シェフ、お酒は無いのかい?」
お酒好きなきりやんがそう切り出す。昼から呑む人なんだね。すれば、なかむが奥に引っ込んで、瓶を持ってきた。
「どうぞ!日本酒ですが、宜しければ!」
「やったぁ!なかむありがと~~」
「え、昼から呑むの?」
ちゃんと馴染めてるみたいだね、なかむ。だが其処にスマイルがツッコむ。それで、酔っ払い(きりやん)の的になってしまった。
「おらお前にも呑ませんぞ~~~???」
「止めてごめんってきりやん!!離せぇ!!」
「何してんだよ彼奴w」
「オレの店で暴れんなよ~?」
暴れる2人と、それを見守る2人。それを更に眺めながら、微笑むなかむに質問をする。
「ねえ、なかむ、楽しい?」
「何が?」
「人生」
そう返せば、少し黙った後、呟いた。
「……お陰様で、すごく、楽しいです」
「……そっか、ならよかった!」
「何故そのようなことを?」
「んー?何となく!あと、敬語要らないからね?」
「あ……ごめんね」
くす、と笑うと、スマイルが近寄ってきて、僕を盾にした。
「駄目だこの酔っ払い、助けてぶるーく」
「んんwなぁにしてんのスマイル~!僕を盾にしないで~!!」
耐えきれず吹き出せば、周りも釣られて笑い出す。
「ぶるーく二次被害受けてるw」
「もー、料理冷めるって!オレが作った奴~!」
「仲良いね、みんな!」
「「仲良い訳じゃないから!!」」
息が合ったきりやんとスマイルに、また笑ってしまう。
あーあ、幸せって、こういうこと言うのかな。みんなでわいわい話して、笑い合って、時間なんて忘れてしまう。
まあ、忘れちゃいけない取材はしっかりしたけどね。スマイルの取材もしました!
2人とも、思っていることをぶち撒けたのか、取材が終わった頃には、すっきりした顔になっていた。
気が付いたら、もう夜間近。帰らなければ。だが、帰りたくない気持ちがみんなあったらしく、話を広げて、みんなが時間を延ばそうとしている。其処で、僕は提案した。
「はい!僕は提案します!」
「おっ、どうぞ!」
「お泊まり会しない?ホテルとかじゃなくて、誰かの家とかさ!」
そう挙手して言えば、即座になかむが言った。
「いいねそれ!うちなら直ぐ来れるよ?信用出来ないかもだけど……」
濁して言うなかむ。まあ、ベルマンだったからかな。でも、僕等の意見は一致していた。
「なかむ家行こうぜ!」
「丁度、なかむのこと知りたかったしさ!」
「まあ、オレはなかむのこと信用しきってるけどな」
「え、シャークんのアドバンテージやば」
わちゃわちゃと、みんなが賛成して行く中、なかむは驚いたように目を丸くする。それに、僕が耳打ちする。
「ほらね、大丈夫だよ、僕等は」
此方を見て、他の4人を見る。そして、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、私の家までご案内します!お荷物、お片付け等、忘れないよう、お願いします!」
6月のとある夜、6つの笑顔が、白い紫陽花に眩しく反射した。
「本ホテルのご利用、誠に、有難う御座いました」
「いってらっしゃいませ!」
あの、長いようで短かった1週間が、遂に幕を閉じた。
ホテルは直ぐに廃業、廃ホテルとなったが、今まで犯して来た罪は、全て、オーナーであるフィルトレの責任となったようだ。
ベルマン_Nakamuは、罪を問われたが、『フィルトレに命令された』と言うことで、そんなに重くは無かったらしい。
シェフ_シャークんは、従業員として働いていなかったと言うことにされたので、当然罪に問われなかった。新たに、レストランのシェフとしての人生を歩んでいるのだとか。結構な人気も出たとか。
画家_きんときは、呪いの絵だとか言う迷信のせいで、画家としての人生を辞めようとしていたが、僕達5人のフォローで、また画家を生業としたと言う。
薬剤師_スマイルは、遂に、自作薬の開発に成功したと、テレビや新聞、ラジオなんかでも、大きな話題となった。多忙の身となっただろう。まあ、みんなを救ったFISHポーションを、即興で作ってしまった腕だ。それもそうだろう。
神父_きりやんは、あのホテルに蔓延っていた大量の悪霊を祓ったことで自信を持ち、祓魔師兼神父として、信者達の壮大な人気を取ったらしい。信者の数も増えたとか。
記者_僕、Broooockは、あのホテル、HOTEL PETRICHORのことを纏めた記事を出すと、一躍有名なライターとなった。編集長からも一目置かれ、少し優越に浸ったりもした。
そして今日は、例のレストランに、5人で集まる日。連絡先を交換して別れたから、あの後もちょくちょく、連絡は取り合っていたのだ。序でにレストランの取材もする。
「こんにちわ~~~」
カラン、カランとドアの開く音を立て、そう挨拶をすれば、奥からシェフが出てくる。
「お、一番乗りはぶるーくか!やっほ~てか早くね?」
何か作業をしてたのだろうか、タオルで手を拭きながら、そう返してくる。すると、奥からもう1人出てきた。
「あ!Broooockさん!お久し振りです!」
水色のエプロンが似合う彼。パンダのような、丸くて黒い耳がついたハンチングを被っている。
もしかして、
「な、Nakamu!?」
「あ、言ってなかったっけ?なかむに店員として働いて貰ってんだよ」
「え!大丈夫だったの?」
「はい!まあ、色々ありましたけど、直接手は下してなかったから、普通に生活していいって!」
目をキラキラさせてそう報告してくる。元気そうで何より。
「へぇぇぇ、良かったじゃん!!てか、敬語止めよ?堅苦しいの嫌いなんだよ~」
「え、えーっと……」
そう言えば、少し困ったように眉を下げ、
「……ぶ、ぶるーく、で……いいかな」
そう、少し照れたように笑った。
「そう!宜しくねなかむ~!」
仲良くなれたみたいで、嬉しくて、にこにこしていれば、何人かの話し声と、ドアの開く音がした。振り向けば、3人、其処に立っていた。
「シャークんおっひさ~、って、ぶるーく早くない!?」
「すげぇ、まだ約束の時間の10分前だが……」
「てかNakamuさん居るじゃん!?」
「お!みんな集合したか!」
早過ぎた僕を見て吃驚してるきりやんと、感心しているスマイル。そして、僕よりも、なかむが居ることに吃驚するきんとき。
それを起点に、シャークんとなかむが奥に引っ込んだ。出てきた時には、2人とも、両手に大きな盆を乗せていた。
「取り敢えず、飯してからにしようぜ?」
「シェフが、腕によりを掛けて作った料理ですからね~!」
「まじか!」
「え!僕お腹ぺこぺこ!!食べよ~!!」
料理が置かれた席に着き、1人1人、好きなのを取って食べる。やっぱ、シャークんの料理って美味しいんだよな~!
「シェフ、お酒は無いのかい?」
お酒好きなきりやんがそう切り出す。昼から呑む人なんだね。すれば、なかむが奥に引っ込んで、瓶を持ってきた。
「どうぞ!日本酒ですが、宜しければ!」
「やったぁ!なかむありがと~~」
「え、昼から呑むの?」
ちゃんと馴染めてるみたいだね、なかむ。だが其処にスマイルがツッコむ。それで、酔っ払い(きりやん)の的になってしまった。
「おらお前にも呑ませんぞ~~~???」
「止めてごめんってきりやん!!離せぇ!!」
「何してんだよ彼奴w」
「オレの店で暴れんなよ~?」
暴れる2人と、それを見守る2人。それを更に眺めながら、微笑むなかむに質問をする。
「ねえ、なかむ、楽しい?」
「何が?」
「人生」
そう返せば、少し黙った後、呟いた。
「……お陰様で、すごく、楽しいです」
「……そっか、ならよかった!」
「何故そのようなことを?」
「んー?何となく!あと、敬語要らないからね?」
「あ……ごめんね」
くす、と笑うと、スマイルが近寄ってきて、僕を盾にした。
「駄目だこの酔っ払い、助けてぶるーく」
「んんwなぁにしてんのスマイル~!僕を盾にしないで~!!」
耐えきれず吹き出せば、周りも釣られて笑い出す。
「ぶるーく二次被害受けてるw」
「もー、料理冷めるって!オレが作った奴~!」
「仲良いね、みんな!」
「「仲良い訳じゃないから!!」」
息が合ったきりやんとスマイルに、また笑ってしまう。
あーあ、幸せって、こういうこと言うのかな。みんなでわいわい話して、笑い合って、時間なんて忘れてしまう。
まあ、忘れちゃいけない取材はしっかりしたけどね。スマイルの取材もしました!
2人とも、思っていることをぶち撒けたのか、取材が終わった頃には、すっきりした顔になっていた。
気が付いたら、もう夜間近。帰らなければ。だが、帰りたくない気持ちがみんなあったらしく、話を広げて、みんなが時間を延ばそうとしている。其処で、僕は提案した。
「はい!僕は提案します!」
「おっ、どうぞ!」
「お泊まり会しない?ホテルとかじゃなくて、誰かの家とかさ!」
そう挙手して言えば、即座になかむが言った。
「いいねそれ!うちなら直ぐ来れるよ?信用出来ないかもだけど……」
濁して言うなかむ。まあ、ベルマンだったからかな。でも、僕等の意見は一致していた。
「なかむ家行こうぜ!」
「丁度、なかむのこと知りたかったしさ!」
「まあ、オレはなかむのこと信用しきってるけどな」
「え、シャークんのアドバンテージやば」
わちゃわちゃと、みんなが賛成して行く中、なかむは驚いたように目を丸くする。それに、僕が耳打ちする。
「ほらね、大丈夫だよ、僕等は」
此方を見て、他の4人を見る。そして、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、私の家までご案内します!お荷物、お片付け等、忘れないよう、お願いします!」
6月のとある夜、6つの笑顔が、白い紫陽花に眩しく反射した。
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