英雄綺譚
エミリアside
懐かしい夢を見た。
使用人に朝早く起こされる直前に、
何かざわついた心の波を感じたけれど、
凄く懐かしい、友達だった頃の王子の夢。
まぁ、今もたまに砕けた態度になるけれど…、
侍女
「エミリア様、制服を、皇太子殿下と
一緒に行くのでしょう?」
エミリア
「えぇ、もう少しで朝食よね、?」
侍女
「はい、早く客間に
行かなければなりませんね、」
エミリア
「もう過ぎそうじゃないの⁈
早くしなきゃ…!って、え、?客間…?」
侍女
「…?皇太子殿下が当家に来ると
聞かなくて客間での食事をするのでは?」
制服を着て身だしなみを
整えてもらいながら、
予定を聞いていた所で焦っていたのか
昨日の事を完全に忘れていた。
エミリア
「…、忘れてた…、と言うか、
護衛どうするんでしょう…、」
侍女
「騎士を連れておりましたよ、…、
はい、出来ました、」
エミリア
「ありがとう、もう行くわね!」
侍女
「えぇ、行ってらっしゃいませ」
髪を整え終わった瞬間立ち上がり走る。
それを侍女は深々と礼して見送っていた。
[水平線]
エミリア
「殿下、すいません遅れました…、」
エメナルゴ
「ううん、時間ぴったりだよ、おはよ!」
屋敷の客間の扉を開けて謝罪をすると、
つまらなそうな顔をしていた
殿下、ことエメナルゴ、
(私はエルと呼んでいるけど、)が
ぱっと顔を輝かせ手を振ってくる。
エミリア
「殿下、朝食をここで摂るのは
これが最後ですからね…?」
エメナルゴ
「んー、分かってるって
そう顰め面してないで朝食にしよ、?」
エミリア
「…、はい、先に毒味をしますから
待って下さいね、」
エメナルゴ
「それぐらい待てるよ、
僕をどれだけ子供だと思ってるのかな、?」
念を押すように言うと
エルは面倒臭そうに言い、
朝食の催促を始めた。
他にも小言はあったけれど仕方ない、
少し憎まれ口を叩いて席につくと
エルがちょっとだけ文句を言ってくるが、
一切黙殺して毒味を始める。
料理を少しずつ取り分け、
一口食べて毒が無い事を示す。
終わる頃にはエルがそわそわした様に
目が動いている。
エメナルゴ
「…、もう良い?良いよね?」
エミリア
「良いですよ、毒味は終わりましたし、
何故そんなに目を動かしてるんです?」
みっともない…、と言いながら
エルに料理を取り分け、渡す。
エメナルゴ
「リアの家のご飯って
凄い美味しいじゃないか、
料理人が良いのかなぁ、」
エミリア
「はぁ、ありがとうございます、
けど、もう一度来て良いとは
なりませんよ?」
エメナルゴ
「ちぇ、駄目か、」
エミリア
「ちぇ、とか言うんじゃありません、」
エメナルゴ
「えー?駄目?」
小首を傾げてきゅるん、と
効果音の付きそうな顔で見てくる。
他の令嬢ならまだしも幼馴染に
通用すると思ってやっているのだろうか。
エミリア
「駄目です、大体、
何時も何時も私だけだから、と
言う時の空気は何ですか、
隙を見せるなと何回言ったら
分かってくださるんです!」
エメナルゴ
「あーもう分かった!分かったから!」
エミリア
「…、馬車内で言いたい事
全て言わせて貰いますからね、」
叱っておきたい事を
つらつらと並べて言っていると
エルが耳を押さえて顰め面をし始めた。
朝食が進まない、というのでじと、
と睨みはするものの
二人とも黙って食べ始めた。
エメナルゴ
「はいはい、分かったって、
リア、学校行こ、?」
エミリア
「…、えぇ、行きますか、」
雑談をしながら食べ、
終わった所でエルが無造作に立ち上がる。
それも無作法だから辞めろと…、
そんな念を込めた目で見ながら
頷き、立ち上がる。
エメナルゴ
「馬車まで競争!お先に!
リアも早くしないと僕に負けるよ!」
エミリア
「はっ、?殿下⁈そんな走って、
待って下さい⁈手荷物、
もう積んでくれてるのねありがとう!」
馬車の有る方へ執事に
玄関扉を開けて貰ったエルが走り出す。
護衛と言うのはこれだけ
振り回されるものでは
無い筈なのだけど…
執事にお礼を言って
後を追いながら屋敷の方に手を振る。
執事
「えぇ、行ってらっしゃいませ、
エミリア様、」
エミリア
「えぇ!行って参ります!」
執事の深々とした礼を見て、
私も微笑みを浮かべて出掛けの挨拶をする。
それから馬車に乗り込み、
エルと荒い息を整えながら笑い合い、
こんな1日の始まりも良いかも知れないな?
なんて、エルが聞いたら
調子に乗りそうな事を
説教を始めながら
思った朝の始まりだった。
懐かしい夢を見た。
使用人に朝早く起こされる直前に、
何かざわついた心の波を感じたけれど、
凄く懐かしい、友達だった頃の王子の夢。
まぁ、今もたまに砕けた態度になるけれど…、
侍女
「エミリア様、制服を、皇太子殿下と
一緒に行くのでしょう?」
エミリア
「えぇ、もう少しで朝食よね、?」
侍女
「はい、早く客間に
行かなければなりませんね、」
エミリア
「もう過ぎそうじゃないの⁈
早くしなきゃ…!って、え、?客間…?」
侍女
「…?皇太子殿下が当家に来ると
聞かなくて客間での食事をするのでは?」
制服を着て身だしなみを
整えてもらいながら、
予定を聞いていた所で焦っていたのか
昨日の事を完全に忘れていた。
エミリア
「…、忘れてた…、と言うか、
護衛どうするんでしょう…、」
侍女
「騎士を連れておりましたよ、…、
はい、出来ました、」
エミリア
「ありがとう、もう行くわね!」
侍女
「えぇ、行ってらっしゃいませ」
髪を整え終わった瞬間立ち上がり走る。
それを侍女は深々と礼して見送っていた。
[水平線]
エミリア
「殿下、すいません遅れました…、」
エメナルゴ
「ううん、時間ぴったりだよ、おはよ!」
屋敷の客間の扉を開けて謝罪をすると、
つまらなそうな顔をしていた
殿下、ことエメナルゴ、
(私はエルと呼んでいるけど、)が
ぱっと顔を輝かせ手を振ってくる。
エミリア
「殿下、朝食をここで摂るのは
これが最後ですからね…?」
エメナルゴ
「んー、分かってるって
そう顰め面してないで朝食にしよ、?」
エミリア
「…、はい、先に毒味をしますから
待って下さいね、」
エメナルゴ
「それぐらい待てるよ、
僕をどれだけ子供だと思ってるのかな、?」
念を押すように言うと
エルは面倒臭そうに言い、
朝食の催促を始めた。
他にも小言はあったけれど仕方ない、
少し憎まれ口を叩いて席につくと
エルがちょっとだけ文句を言ってくるが、
一切黙殺して毒味を始める。
料理を少しずつ取り分け、
一口食べて毒が無い事を示す。
終わる頃にはエルがそわそわした様に
目が動いている。
エメナルゴ
「…、もう良い?良いよね?」
エミリア
「良いですよ、毒味は終わりましたし、
何故そんなに目を動かしてるんです?」
みっともない…、と言いながら
エルに料理を取り分け、渡す。
エメナルゴ
「リアの家のご飯って
凄い美味しいじゃないか、
料理人が良いのかなぁ、」
エミリア
「はぁ、ありがとうございます、
けど、もう一度来て良いとは
なりませんよ?」
エメナルゴ
「ちぇ、駄目か、」
エミリア
「ちぇ、とか言うんじゃありません、」
エメナルゴ
「えー?駄目?」
小首を傾げてきゅるん、と
効果音の付きそうな顔で見てくる。
他の令嬢ならまだしも幼馴染に
通用すると思ってやっているのだろうか。
エミリア
「駄目です、大体、
何時も何時も私だけだから、と
言う時の空気は何ですか、
隙を見せるなと何回言ったら
分かってくださるんです!」
エメナルゴ
「あーもう分かった!分かったから!」
エミリア
「…、馬車内で言いたい事
全て言わせて貰いますからね、」
叱っておきたい事を
つらつらと並べて言っていると
エルが耳を押さえて顰め面をし始めた。
朝食が進まない、というのでじと、
と睨みはするものの
二人とも黙って食べ始めた。
エメナルゴ
「はいはい、分かったって、
リア、学校行こ、?」
エミリア
「…、えぇ、行きますか、」
雑談をしながら食べ、
終わった所でエルが無造作に立ち上がる。
それも無作法だから辞めろと…、
そんな念を込めた目で見ながら
頷き、立ち上がる。
エメナルゴ
「馬車まで競争!お先に!
リアも早くしないと僕に負けるよ!」
エミリア
「はっ、?殿下⁈そんな走って、
待って下さい⁈手荷物、
もう積んでくれてるのねありがとう!」
馬車の有る方へ執事に
玄関扉を開けて貰ったエルが走り出す。
護衛と言うのはこれだけ
振り回されるものでは
無い筈なのだけど…
執事にお礼を言って
後を追いながら屋敷の方に手を振る。
執事
「えぇ、行ってらっしゃいませ、
エミリア様、」
エミリア
「えぇ!行って参ります!」
執事の深々とした礼を見て、
私も微笑みを浮かべて出掛けの挨拶をする。
それから馬車に乗り込み、
エルと荒い息を整えながら笑い合い、
こんな1日の始まりも良いかも知れないな?
なんて、エルが聞いたら
調子に乗りそうな事を
説教を始めながら
思った朝の始まりだった。