オリキャラ短編集~~~
並んでゲームをやっていた。
「っしゃー!俺の勝ち!」
喜ぶあんたと悔しがる俺の顔が画面に映った。
あまりにもそっくりな二人が並んでいる。
…そんなの見せかけだけやってのに。
[水平線]
俺、[太字]玲陵寺楽座[/太字]には数歳差の兄がいた。
玲陵寺楽市。
俺と同じ深緑色で、整えなきゃボサボサになる面倒な髪の毛の男。
屈託のないさわやかな笑顔で、勉強も運動も、何でもこなしていく男。
…それが俺の兄だった。
俺はいつも兄と比べられてきた。
「どうしてこんなこともできないの?」
「いっくんは出来てるのに、ねえどうして?」
「ねぇ、答えてよ」
「[太字]何で生きてるのか、答えてよ[/太字]」
答えろ答えろ、うるせぇんだよ。
「それはこれで」って答えれる語彙力すらあの兄に奪われたんだ。
勝手に産んどいて文句言うな、クソババア。
そう腐る俺に、いつもあの兄はこう言った。
「それでも楽座はすげぇよ」
「俺よりもずっと頑張れるじゃん」
は?
黙れよ
頑張っても「なれない」から苦労してるんだぞ?
頑張れるっていうのはもともと持ってる天才になれなかった奴が現実逃避するための免罪符にしかならないわけでああそうかお前も天才だったからわかんないのか頑張らなくても愛されて生きていけたんだもんな俺と違ってそうかわかるわけないよな____
「____ありがとうな、兄貴」
なんて、ドロドロの言葉なんか今更ぶちまけてみたら本格的に居場所なくすわ。
…だから、取り繕った。
[水平線]
「楽座ー」
「部屋に入れなさい」
「なんで返事しないの」
「無能なの?」
「楽座」
「楽座」
あーもう、なんて言ってんのか聞こえないな。
俺ってなんで生きてるんだろう。
扉には笑ってまうぐらい鍵をかけた。
齢13歳にして精神疾患を患った俺は、
毎日毎日理解もできん声を聞いて、
毎日毎日動かない天井のシミを見た。
俺ってなんでここいるんやろ。
「いっくんは高校で頑張ってるのに」
「なんで出てくることすらできないの?」
「ごはんは食べてんだから生きてるんだよね?」
「[太字]なんで生きてるくせに動けないの?[/太字]」
母親がこれやから、病院は行ってない。
だから本当は疾患なんて持ってなかったのかもしれない。
それでも、身体が重い。
動けないんだ。
太陽の光が目に痛くて、カーテンを閉めた。
[水平線]
高校生になった。
父親が昔弾いてたギターを触ることしかできなかった。
母親と兄にはその音で生存確認をされてた。
「楽器はできるのに何で勉強しないのかしらね」
「……」
母さんはいつも俺の部屋の前で俺の話をする。
兄はそれに肯定することはなかった。
……できた人間だな、と、扉越しに思ったことがある。
こんな最低な弟、自分の足しか引っ張らない弟、いらないと思って当然だから。
落胆して、失望して当然だから。
母がいないときだけ、兄はずっと俺の扉の前で、
「無理すんなよ」
「母さんは厳しすぎるんだ。無視していい」
言ってくれてたような気がする。
…それも、響くアコースティックギターのBコードに全部かき消されていったけど。
[水平線]
雨が降っていた。
兄と二人で散歩に出かけた。
____否、兄が俺を連れ出したんだ、勝手に。
鍵、かけたんだけどな。
親二人寝静まった真夜中、土砂降りの雨に傘もささずに二人で近所を歩いた。
何の会話もするつもりはなかったのに。
「…楽座」
「ごめんな」
楽座「…」
「こんなになるまで、何もできなくてごめん」
「楽座のことは俺、ほんとに自慢の弟だと思ってるから」
「誰にでも優しくて、何でも頑張れて」
出た。
そうやって褒めれば俺が喜ぶと思ってる。
もう、
楽座「…黙ってくれん?」
「は…?」
楽座「そうやってずっとずっと、俺のこと見下して楽しかっただろ」
楽座「[太字]誰にでも優しいんは、誰もが俺より上だから[/太字]」
楽座「[太字]なんでも頑張るんはそれしか許されんかったからや[/太字]」
楽座「[大文字][太字]天才が何をどれだけ言っても凡人に響くわけないやろ、はっ倒すぞクソ兄貴が[/太字][/大文字]」
「……」
楽座「なんでこんな雨の日に外に出したん?」
楽座「俺の洗濯物洗ってもらえへんの知っとるくせに」
楽座「何でここまで放っておいたん?」
楽座「わかりやすく鍵かけてたのに」
楽座「[太字]全部全部あんたが天才で、俺のことなんかなんも見てなかったからちゃうんか[/太字]」
楽座「[大文字][太字]言ってみろよ、俺より恵まれたその語彙力で!!!!![/太字][/大文字]」
近所迷惑とか知らん。
俺は生きてるだけで迷惑なんやから何したって迷惑やろ。
肩で息をした。打ち付ける雨が冷たくて冷たくてどうしようもなかった。
「………」
目の前の兄は俺を真っすぐ見て固まっていた。
やっと本当の俺を見たんやろな。
やっと見たくもない、醜い本当の俺を見たんや。
「……ああ、俺には何もわからなかったみたいだ」
「………ごめんな」
楽座「…言いたいことはそれだけかいな」
楽座「…あんたは愛される家に帰れ」
「楽座は…?」
楽座「俺に家族なんておらへんよ、もう誰も。」
楽座「あんただって見た目が似てるだけの別人や」
楽座「しゃべり方も全然違うやろ」
お前と似てるって言われたくなくて、そんな小さな意地で変えた口癖だ。
楽座「…俺はもう行くから」
雨はいつのまにか細かく、弱くなっていた。
あのあと兄がどの方向へ歩いて行ったのか、俺はまだ知らない。
「っしゃー!俺の勝ち!」
喜ぶあんたと悔しがる俺の顔が画面に映った。
あまりにもそっくりな二人が並んでいる。
…そんなの見せかけだけやってのに。
[水平線]
俺、[太字]玲陵寺楽座[/太字]には数歳差の兄がいた。
玲陵寺楽市。
俺と同じ深緑色で、整えなきゃボサボサになる面倒な髪の毛の男。
屈託のないさわやかな笑顔で、勉強も運動も、何でもこなしていく男。
…それが俺の兄だった。
俺はいつも兄と比べられてきた。
「どうしてこんなこともできないの?」
「いっくんは出来てるのに、ねえどうして?」
「ねぇ、答えてよ」
「[太字]何で生きてるのか、答えてよ[/太字]」
答えろ答えろ、うるせぇんだよ。
「それはこれで」って答えれる語彙力すらあの兄に奪われたんだ。
勝手に産んどいて文句言うな、クソババア。
そう腐る俺に、いつもあの兄はこう言った。
「それでも楽座はすげぇよ」
「俺よりもずっと頑張れるじゃん」
は?
黙れよ
頑張っても「なれない」から苦労してるんだぞ?
頑張れるっていうのはもともと持ってる天才になれなかった奴が現実逃避するための免罪符にしかならないわけでああそうかお前も天才だったからわかんないのか頑張らなくても愛されて生きていけたんだもんな俺と違ってそうかわかるわけないよな____
「____ありがとうな、兄貴」
なんて、ドロドロの言葉なんか今更ぶちまけてみたら本格的に居場所なくすわ。
…だから、取り繕った。
[水平線]
「楽座ー」
「部屋に入れなさい」
「なんで返事しないの」
「無能なの?」
「楽座」
「楽座」
あーもう、なんて言ってんのか聞こえないな。
俺ってなんで生きてるんだろう。
扉には笑ってまうぐらい鍵をかけた。
齢13歳にして精神疾患を患った俺は、
毎日毎日理解もできん声を聞いて、
毎日毎日動かない天井のシミを見た。
俺ってなんでここいるんやろ。
「いっくんは高校で頑張ってるのに」
「なんで出てくることすらできないの?」
「ごはんは食べてんだから生きてるんだよね?」
「[太字]なんで生きてるくせに動けないの?[/太字]」
母親がこれやから、病院は行ってない。
だから本当は疾患なんて持ってなかったのかもしれない。
それでも、身体が重い。
動けないんだ。
太陽の光が目に痛くて、カーテンを閉めた。
[水平線]
高校生になった。
父親が昔弾いてたギターを触ることしかできなかった。
母親と兄にはその音で生存確認をされてた。
「楽器はできるのに何で勉強しないのかしらね」
「……」
母さんはいつも俺の部屋の前で俺の話をする。
兄はそれに肯定することはなかった。
……できた人間だな、と、扉越しに思ったことがある。
こんな最低な弟、自分の足しか引っ張らない弟、いらないと思って当然だから。
落胆して、失望して当然だから。
母がいないときだけ、兄はずっと俺の扉の前で、
「無理すんなよ」
「母さんは厳しすぎるんだ。無視していい」
言ってくれてたような気がする。
…それも、響くアコースティックギターのBコードに全部かき消されていったけど。
[水平線]
雨が降っていた。
兄と二人で散歩に出かけた。
____否、兄が俺を連れ出したんだ、勝手に。
鍵、かけたんだけどな。
親二人寝静まった真夜中、土砂降りの雨に傘もささずに二人で近所を歩いた。
何の会話もするつもりはなかったのに。
「…楽座」
「ごめんな」
楽座「…」
「こんなになるまで、何もできなくてごめん」
「楽座のことは俺、ほんとに自慢の弟だと思ってるから」
「誰にでも優しくて、何でも頑張れて」
出た。
そうやって褒めれば俺が喜ぶと思ってる。
もう、
楽座「…黙ってくれん?」
「は…?」
楽座「そうやってずっとずっと、俺のこと見下して楽しかっただろ」
楽座「[太字]誰にでも優しいんは、誰もが俺より上だから[/太字]」
楽座「[太字]なんでも頑張るんはそれしか許されんかったからや[/太字]」
楽座「[大文字][太字]天才が何をどれだけ言っても凡人に響くわけないやろ、はっ倒すぞクソ兄貴が[/太字][/大文字]」
「……」
楽座「なんでこんな雨の日に外に出したん?」
楽座「俺の洗濯物洗ってもらえへんの知っとるくせに」
楽座「何でここまで放っておいたん?」
楽座「わかりやすく鍵かけてたのに」
楽座「[太字]全部全部あんたが天才で、俺のことなんかなんも見てなかったからちゃうんか[/太字]」
楽座「[大文字][太字]言ってみろよ、俺より恵まれたその語彙力で!!!!![/太字][/大文字]」
近所迷惑とか知らん。
俺は生きてるだけで迷惑なんやから何したって迷惑やろ。
肩で息をした。打ち付ける雨が冷たくて冷たくてどうしようもなかった。
「………」
目の前の兄は俺を真っすぐ見て固まっていた。
やっと本当の俺を見たんやろな。
やっと見たくもない、醜い本当の俺を見たんや。
「……ああ、俺には何もわからなかったみたいだ」
「………ごめんな」
楽座「…言いたいことはそれだけかいな」
楽座「…あんたは愛される家に帰れ」
「楽座は…?」
楽座「俺に家族なんておらへんよ、もう誰も。」
楽座「あんただって見た目が似てるだけの別人や」
楽座「しゃべり方も全然違うやろ」
お前と似てるって言われたくなくて、そんな小さな意地で変えた口癖だ。
楽座「…俺はもう行くから」
雨はいつのまにか細かく、弱くなっていた。
あのあと兄がどの方向へ歩いて行ったのか、俺はまだ知らない。