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オリキャラ短編集~~~

#6

どこかのだれかの、前日談。

「いらっしゃいませ、花屋「ピュアホワイト」へようこそ。」



清々しく晴れた春の日だった。


優しく落ち着いた青年の声が、人通りそこそこの商店街に渡った。


彼の名は「円山えりか」と言う。


淡いブルーのインナーカラーが特徴の黒髪ショートヘアーで、
身長や顔つきからかなりの若さと思われるが、


実は案外長く生きている___らしい。



「えりさん、水揚げお願い」


そうしていると、もう一つの青年の声が聞こえる。


赤髪にピンクのメッシュの彼は「櫂野日ノ丸」といった。


えりか「ええ、了解です」


えりかは笑顔でそううなずくと、自分の仕事へと向かった。



[水平線]




ザクッ。




乾いた砂利のまばらに敷かれたアスファルトに、色あせたバールが突き立った。




「これで2人目か…今日は渋いな」




荒れた少女の声が、空っ風の吹く都会の街を通って行った。




「あまりやりすぎるなよ、[太字]天楼[/太字]」



呼ばれたその少女__「天宮天楼」の近くに、黒い車が止まる。


そこからすらっとした男性が現れた。



天楼「…クソが、お前も警察に突き出してやろうか?[太字]真人[/太字]」



彼は「櫻井真人」という。誰かを欺き生きる、結婚詐欺師だ。



どうやらこの二人は従兄妹らしい。



真人「その冗談はキツいぞ、反抗期ヒーロー。」


天楼「あぁ?!」


真人「昂るな。」


今にも食って掛かりそうな天楼を抑え、真人は声を抑えながら言った。



真人「___[太字]アイツ[/太字]が呼んでる、行こう」




天楼「……ハァ、まだ2人だっつーの…」




真人「天楼」



天楼「へーへーわかりましたよクソ兄貴」



そう言うと天楼は、溜息と舌打ちを繰り返しながら、バールを片手に車に乗り込んだ。



[水平線]




窓の外を見慣れた町がずれていく。




天楼「今度は何の用だか…知ってるか?クソ兄貴」



真人「知らない、そして興味もない」



天楼「お前ほんとあいつ嫌いだよな」



真人「言動に信用が全くもってできないからな。何するかわかったもんじゃない」



天楼「お前に言われたくねー」



他愛もない会話が淡々と流れる車内で、小さくラジオの声がする。




「___〇〇市で謎の魔法少女による大規模な破壊と殺人が起こりました。


犯人は立花 照 12歳と思われていますが、

不思議なことに、その場に姿はなく、連絡もつかない状態であり、

それらしい子の姿を見つけたらすぐに警察へ連絡してほしいと____」



天楼「はん、魔法少女ねぇ、12歳にもなって。おこちゃまだこと」



真人「自称ヒーローには言われたくないですね。」



天楼「黙れ犯罪者。」



ハンドルを握り前を向いて運転をする真人の顔は、


その声を受けてほんの少し暗くなった…ような気がした。



[水平線]



明るい陽射しが窓から差している、花屋の中。



えりか「今日も平和ですねぇ…」


日ノ丸「そんなこと言って平和じゃなくなったらどうすんの」


えりか「フラグではありませんよ?」


こちらもこちらで、それぞれの当たり前の日常が流れていた。



「おーい、えりかー、日ノ丸ー」




えりか「…あぁ、いらっしゃいませ楽座さん」




陽気な声が店内に渡ると、えりかは少し驚いたようにその声の主を迎えた。



その男は「玲陵寺 楽座」という。彼は笑顔で聞いた。



楽座「真人と天楼はまだ来てへんよな?」



日ノ丸「来てない。あの二人だからどうせ、悪人でも狩ってるんだと思う」



楽座「そらあかん、真人が狩られてまうw」



えりか「二人とも、獣のように人を表現しないように。」



日ノ丸/楽座「はーい」



ぴしっと注意されて、お決まりのように返事をする。



バタンと店の外で、車のドアが閉まる音がした。



楽座「おっ」



真人「仕方ないから来てやりましたよ…。」


天楼「おっす…あれ、楽にぃお前[太字]音夢[/太字]どこやった?」



楽座「音夢をリモコンみたいに言うな。…あいつは今日、うちに置いて来とる」



えりか「えっ、大丈夫でしょうか」



楽座「大丈夫やろ、あいつもう13歳やで?」



日ノ丸「あぁ、そうだっけ__」


真人「楽座、早く僕らを呼んだ理由を説明してくれないか?」



楽座「ああそうやった、なんやったっけなぁ…」



天楼「早く説明しないと帰るぞ」



楽座「待て待て。…あぁそうや、音夢が記憶を取り戻しそうやって。」



えりか「本当ですか?!」



「おい、そこのお前ら、客でもないのに店にたまるな」



楽座「あっ__」



店員に一喝されて、しょぼんと凹む楽座。



真人「…続きは夜聞く。先に家帰るからな」



楽座「おー…すまんなえりか、日ノ丸」



えりか「いいえ、すぐ教えてくれてうれしかったですよ」


楽座「お前さん…ほんまええやつやんな…((」


日ノ丸「店員の目が痛いから早く帰ってくれないかな」


楽座「う…塩やなお前さんは」


[水平線]



真人「ただいま」



静まり返った家に、その声が響く。





「おかえりなさい…」




薄暗いダイニングの奥から、透明な少女の声がする。




天楼「ただいま、音夢」




その少女「音夢」は、聞こえた天楼の声に安心してにこっと笑った。



[水平線]




この話は、ファンタジーに愛され、人々から妬まれた少女の物語




____その、おまけのような前日談だ。



もしこの先が気になるとしてもすぐには踏み込むな?




まずはゆっくり、今の能力者の歌を聞いてやれ。




演奏が終わった時、またこの話の続き___本当のね。



それをしてやるから。



じゃあ、おやすみ。

作者メッセージ

聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】


乞うご期待。

2025/04/09 00:31

おとうふ ID:≫ 3aqFVNFsPVo.c
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