オリキャラ短編集~~~
「いらっしゃいませ、花屋「ピュアホワイト」へようこそ。」
清々しく晴れた春の日だった。
優しく落ち着いた青年の声が、人通りそこそこの商店街に渡った。
彼の名は「円山えりか」と言う。
淡いブルーのインナーカラーが特徴の黒髪ショートヘアーで、
身長や顔つきからかなりの若さと思われるが、
実は案外長く生きている___らしい。
「えりさん、水揚げお願い」
そうしていると、もう一つの青年の声が聞こえる。
赤髪にピンクのメッシュの彼は「櫂野日ノ丸」といった。
えりか「ええ、了解です」
えりかは笑顔でそううなずくと、自分の仕事へと向かった。
[水平線]
ザクッ。
乾いた砂利のまばらに敷かれたアスファルトに、色あせたバールが突き立った。
「これで2人目か…今日は渋いな」
荒れた少女の声が、空っ風の吹く都会の街を通って行った。
「あまりやりすぎるなよ、[太字]天楼[/太字]」
呼ばれたその少女__「天宮天楼」の近くに、黒い車が止まる。
そこからすらっとした男性が現れた。
天楼「…クソが、お前も警察に突き出してやろうか?[太字]真人[/太字]」
彼は「櫻井真人」という。誰かを欺き生きる、結婚詐欺師だ。
どうやらこの二人は従兄妹らしい。
真人「その冗談はキツいぞ、反抗期ヒーロー。」
天楼「あぁ?!」
真人「昂るな。」
今にも食って掛かりそうな天楼を抑え、真人は声を抑えながら言った。
真人「___[太字]アイツ[/太字]が呼んでる、行こう」
天楼「……ハァ、まだ2人だっつーの…」
真人「天楼」
天楼「へーへーわかりましたよクソ兄貴」
そう言うと天楼は、溜息と舌打ちを繰り返しながら、バールを片手に車に乗り込んだ。
[水平線]
窓の外を見慣れた町がずれていく。
天楼「今度は何の用だか…知ってるか?クソ兄貴」
真人「知らない、そして興味もない」
天楼「お前ほんとあいつ嫌いだよな」
真人「言動に信用が全くもってできないからな。何するかわかったもんじゃない」
天楼「お前に言われたくねー」
他愛もない会話が淡々と流れる車内で、小さくラジオの声がする。
「___〇〇市で謎の魔法少女による大規模な破壊と殺人が起こりました。
犯人は立花 照 12歳と思われていますが、
不思議なことに、その場に姿はなく、連絡もつかない状態であり、
それらしい子の姿を見つけたらすぐに警察へ連絡してほしいと____」
天楼「はん、魔法少女ねぇ、12歳にもなって。おこちゃまだこと」
真人「自称ヒーローには言われたくないですね。」
天楼「黙れ犯罪者。」
ハンドルを握り前を向いて運転をする真人の顔は、
その声を受けてほんの少し暗くなった…ような気がした。
[水平線]
明るい陽射しが窓から差している、花屋の中。
えりか「今日も平和ですねぇ…」
日ノ丸「そんなこと言って平和じゃなくなったらどうすんの」
えりか「フラグではありませんよ?」
こちらもこちらで、それぞれの当たり前の日常が流れていた。
「おーい、えりかー、日ノ丸ー」
えりか「…あぁ、いらっしゃいませ楽座さん」
陽気な声が店内に渡ると、えりかは少し驚いたようにその声の主を迎えた。
その男は「玲陵寺 楽座」という。彼は笑顔で聞いた。
楽座「真人と天楼はまだ来てへんよな?」
日ノ丸「来てない。あの二人だからどうせ、悪人でも狩ってるんだと思う」
楽座「そらあかん、真人が狩られてまうw」
えりか「二人とも、獣のように人を表現しないように。」
日ノ丸/楽座「はーい」
ぴしっと注意されて、お決まりのように返事をする。
バタンと店の外で、車のドアが閉まる音がした。
楽座「おっ」
真人「仕方ないから来てやりましたよ…。」
天楼「おっす…あれ、楽にぃお前[太字]音夢[/太字]どこやった?」
楽座「音夢をリモコンみたいに言うな。…あいつは今日、うちに置いて来とる」
えりか「えっ、大丈夫でしょうか」
楽座「大丈夫やろ、あいつもう13歳やで?」
日ノ丸「あぁ、そうだっけ__」
真人「楽座、早く僕らを呼んだ理由を説明してくれないか?」
楽座「ああそうやった、なんやったっけなぁ…」
天楼「早く説明しないと帰るぞ」
楽座「待て待て。…あぁそうや、音夢が記憶を取り戻しそうやって。」
えりか「本当ですか?!」
「おい、そこのお前ら、客でもないのに店にたまるな」
楽座「あっ__」
店員に一喝されて、しょぼんと凹む楽座。
真人「…続きは夜聞く。先に家帰るからな」
楽座「おー…すまんなえりか、日ノ丸」
えりか「いいえ、すぐ教えてくれてうれしかったですよ」
楽座「お前さん…ほんまええやつやんな…((」
日ノ丸「店員の目が痛いから早く帰ってくれないかな」
楽座「う…塩やなお前さんは」
[水平線]
真人「ただいま」
静まり返った家に、その声が響く。
「おかえりなさい…」
薄暗いダイニングの奥から、透明な少女の声がする。
天楼「ただいま、音夢」
その少女「音夢」は、聞こえた天楼の声に安心してにこっと笑った。
[水平線]
この話は、ファンタジーに愛され、人々から妬まれた少女の物語
____その、おまけのような前日談だ。
もしこの先が気になるとしてもすぐには踏み込むな?
まずはゆっくり、今の能力者の歌を聞いてやれ。
演奏が終わった時、またこの話の続き___本当のね。
それをしてやるから。
じゃあ、おやすみ。
清々しく晴れた春の日だった。
優しく落ち着いた青年の声が、人通りそこそこの商店街に渡った。
彼の名は「円山えりか」と言う。
淡いブルーのインナーカラーが特徴の黒髪ショートヘアーで、
身長や顔つきからかなりの若さと思われるが、
実は案外長く生きている___らしい。
「えりさん、水揚げお願い」
そうしていると、もう一つの青年の声が聞こえる。
赤髪にピンクのメッシュの彼は「櫂野日ノ丸」といった。
えりか「ええ、了解です」
えりかは笑顔でそううなずくと、自分の仕事へと向かった。
[水平線]
ザクッ。
乾いた砂利のまばらに敷かれたアスファルトに、色あせたバールが突き立った。
「これで2人目か…今日は渋いな」
荒れた少女の声が、空っ風の吹く都会の街を通って行った。
「あまりやりすぎるなよ、[太字]天楼[/太字]」
呼ばれたその少女__「天宮天楼」の近くに、黒い車が止まる。
そこからすらっとした男性が現れた。
天楼「…クソが、お前も警察に突き出してやろうか?[太字]真人[/太字]」
彼は「櫻井真人」という。誰かを欺き生きる、結婚詐欺師だ。
どうやらこの二人は従兄妹らしい。
真人「その冗談はキツいぞ、反抗期ヒーロー。」
天楼「あぁ?!」
真人「昂るな。」
今にも食って掛かりそうな天楼を抑え、真人は声を抑えながら言った。
真人「___[太字]アイツ[/太字]が呼んでる、行こう」
天楼「……ハァ、まだ2人だっつーの…」
真人「天楼」
天楼「へーへーわかりましたよクソ兄貴」
そう言うと天楼は、溜息と舌打ちを繰り返しながら、バールを片手に車に乗り込んだ。
[水平線]
窓の外を見慣れた町がずれていく。
天楼「今度は何の用だか…知ってるか?クソ兄貴」
真人「知らない、そして興味もない」
天楼「お前ほんとあいつ嫌いだよな」
真人「言動に信用が全くもってできないからな。何するかわかったもんじゃない」
天楼「お前に言われたくねー」
他愛もない会話が淡々と流れる車内で、小さくラジオの声がする。
「___〇〇市で謎の魔法少女による大規模な破壊と殺人が起こりました。
犯人は立花 照 12歳と思われていますが、
不思議なことに、その場に姿はなく、連絡もつかない状態であり、
それらしい子の姿を見つけたらすぐに警察へ連絡してほしいと____」
天楼「はん、魔法少女ねぇ、12歳にもなって。おこちゃまだこと」
真人「自称ヒーローには言われたくないですね。」
天楼「黙れ犯罪者。」
ハンドルを握り前を向いて運転をする真人の顔は、
その声を受けてほんの少し暗くなった…ような気がした。
[水平線]
明るい陽射しが窓から差している、花屋の中。
えりか「今日も平和ですねぇ…」
日ノ丸「そんなこと言って平和じゃなくなったらどうすんの」
えりか「フラグではありませんよ?」
こちらもこちらで、それぞれの当たり前の日常が流れていた。
「おーい、えりかー、日ノ丸ー」
えりか「…あぁ、いらっしゃいませ楽座さん」
陽気な声が店内に渡ると、えりかは少し驚いたようにその声の主を迎えた。
その男は「玲陵寺 楽座」という。彼は笑顔で聞いた。
楽座「真人と天楼はまだ来てへんよな?」
日ノ丸「来てない。あの二人だからどうせ、悪人でも狩ってるんだと思う」
楽座「そらあかん、真人が狩られてまうw」
えりか「二人とも、獣のように人を表現しないように。」
日ノ丸/楽座「はーい」
ぴしっと注意されて、お決まりのように返事をする。
バタンと店の外で、車のドアが閉まる音がした。
楽座「おっ」
真人「仕方ないから来てやりましたよ…。」
天楼「おっす…あれ、楽にぃお前[太字]音夢[/太字]どこやった?」
楽座「音夢をリモコンみたいに言うな。…あいつは今日、うちに置いて来とる」
えりか「えっ、大丈夫でしょうか」
楽座「大丈夫やろ、あいつもう13歳やで?」
日ノ丸「あぁ、そうだっけ__」
真人「楽座、早く僕らを呼んだ理由を説明してくれないか?」
楽座「ああそうやった、なんやったっけなぁ…」
天楼「早く説明しないと帰るぞ」
楽座「待て待て。…あぁそうや、音夢が記憶を取り戻しそうやって。」
えりか「本当ですか?!」
「おい、そこのお前ら、客でもないのに店にたまるな」
楽座「あっ__」
店員に一喝されて、しょぼんと凹む楽座。
真人「…続きは夜聞く。先に家帰るからな」
楽座「おー…すまんなえりか、日ノ丸」
えりか「いいえ、すぐ教えてくれてうれしかったですよ」
楽座「お前さん…ほんまええやつやんな…((」
日ノ丸「店員の目が痛いから早く帰ってくれないかな」
楽座「う…塩やなお前さんは」
[水平線]
真人「ただいま」
静まり返った家に、その声が響く。
「おかえりなさい…」
薄暗いダイニングの奥から、透明な少女の声がする。
天楼「ただいま、音夢」
その少女「音夢」は、聞こえた天楼の声に安心してにこっと笑った。
[水平線]
この話は、ファンタジーに愛され、人々から妬まれた少女の物語
____その、おまけのような前日談だ。
もしこの先が気になるとしてもすぐには踏み込むな?
まずはゆっくり、今の能力者の歌を聞いてやれ。
演奏が終わった時、またこの話の続き___本当のね。
それをしてやるから。
じゃあ、おやすみ。