オリキャラ短編集~~~
「三色家之墓」
目の前の、綺麗に掃除された、動きやしない灰色の石にはその5文字だけが並んでいた。
[太字]…三色菫也は、「胡蝶組」との全面抗争で命を落とした。[/太字]
[太字]俺は前線に立つ奴じゃなかったから、ただただ無残に斬り裂かれていく仲間を見てただけだけど。[/太字]
ちなみに結果は対消滅。どっちも組の壊滅で終わった。
何の意味もなく、ただお互いの仁義のためだけの戦いに貢献なんてしなかったというのにさ。
俺は幸運にも、神がちょうどくしゃみでもしてたのか生きて帰って来てしまった。
日ノ丸「…………」
死人にかける言葉って何なんだろう。
お疲れ様、とかかな。
そんなこと、そいつの人生歩んだわけでもない他人が言っていいんだろうか。
日ノ丸「………よかったですね、ボス。綺麗な墓石作ってもらって」
じゃあ俺の頭じゃこんな皮肉みたいな言葉しか出ないよなぁ。
どうしてこう変われないんだろう、俺は。
近場にあったピュアホワイトとかなんとか言うクソみたいな名前の花屋で買った花束を供え、手を合わせる。
ところであの時俺に切って貼ったような笑みを向けてくれた男性、
[太字]アイツ知ってる顔だ。[/太字]
っていうか覚えてない方がおかしいくらいだ。
肩ぐらいまで伸ばした黒髪から覗く錆浅葱色のインナーカラー。
[太字]「胡蝶組」ボス、コードネーム「カンパニュラ」。[/太字]
[太字]端的に言えば宿敵であり、俺にとっての命の恩人だ。[/太字]
[水平線]
あの時。
俺はずっと潜んで裏から戦線崩壊を狙っていた。
その時。
[太字]ずっと耳塞ぎたくなるほど響いてた喧騒が、ぴたっと止まった。[/太字]
思わず出てきてしまって、辺りを見渡した時。
[太字]そこには大量の死体だけがあった。[/太字]
日ノ丸「…は…?」
知った顔のも知らない顔のもごっちゃ混ぜになってそこに伸している。
その多くに、背中に大きく斬られた跡があり、
[太字]よく見てみるとすべて、不思議とそこから焼かれたような傷跡だった。[/太字]
日ノ丸「………なんだこれ…」
「おや」
日ノ丸「[太字]ッ!?[/太字]」
反射でナイフを握って後ろを向いて顔が青ざめる。
噂をしていればもいいところ。
[太字]この状況で「カンパニュラ」と二人きりって絶望じゃん…。[/太字]
”カンパニュラ”「…肩で息をしていますが、大丈夫ですか?」
目の前の奴は敵だ
自分が立ち向かわないといけない
勝てるわけない
ここが死に場所だ
何で動けない
動けよ、バカ
カランッ
”カンパニュラ”「……」
わざとかっていうぐらい震えた手からナイフが落ちた。
動けなかった。
殺される。
何もしてないのに。
いや、”何もしてない”から殺される。
死んでもなお俺は誰にも顔向けできない__________
いつの間にか視線は返り血こびり付くコンクリートの床から逸らせなくなっていた。
指の先までざらっとする冷たい感覚が襲っていた。
”カンパニュラ”「………私とて、無駄な殺生は好んでいません。」
”カンパニュラ”「あなたの身体はまだ生きたがっている」
”カンパニュラ”「もう、別にボスでもなんでもないんですから、私は。」
”カンパニュラ”「ここであなたを殺す義理なんて無い。安心して、立ってください」
目線が合った。
膝をついて、手を差し出す姿は、不気味に美しかった。
茶色い瞳の奥には無数の命の炎が見えた気がした。
そんな、救われたんだか救われてないんだかわからないような時間、覚えてないわけない。
[水平線]
日ノ丸「……」
…ということは近場に住んでるのかよ、あいつ。
……世界って狭いな。