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原作の関係上、設定が複雑怪奇極まってます。
初見だとちょっと理解しにくいかもです。
さらにオリキャラ祭りなので、原作ガチファンの方には怒られるかもしれません。
ただ僕だって多分きっとガチファンを名乗れます。
合わないなと思われたら音楽性が違うだけです。
リスペクトはありすぎるぐらいあるので許してください。

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二次創作
【参加型】大正聖杯異譚

#5

第壱話 この夜に飛び込んで

 突然目の前に降って湧いた割に、目の前の二人組に戦う気は無さそうだ。ただとりあえず、念の為にオレらを警戒しているだけみてェな。あァそうだ、巡回の警官やなんかに近ェかもしんねーな。
 ただ少なくとも片方はあのハイカラ野郎やポールと同じバケモンの類なんだろうが、オレにはどっちがどっちやら分かりやしねェ。

「オイ、ポール。ありゃテメェの同類かよー?」
「同類? あぁ、サーヴァントという事かい? そうだね、唐傘のツインテールの少女……あちらは君の言うそれに合致するかな。」

 『恐らくもう一方の女性はそのマスターたる魔術師だろうね』とワケ知り顔でポールは宣った。

 魔術師だァ? 火ぃ出したり氷出したりすんのかよ、アイツ。オマケに“さあばんと”だの“ますたぁ”だのっつーのは一体何なのやら、相変わらずちっとも分からねェ。

 色々と考えても仕方ねェ、『まァ居るモンは居るし居ねェモンは居ねェっつーコトで良いか』と思考放棄と言えなくもない、いつもの結論に落ち着いた。
 そもそも一々ゴチャゴチャ考えてっとめんどくせーし。

 そうと決めれば、考えるべきは勝てるかどうかだけになるからよ。

 まずはコイツら、どっちも構えは素人だな。少なくとも、オレが知ってる武術の構えじゃねェ。あの耳飾りのハイカラ野郎は若年ながら歴戦っつー言葉が相応しいような風格だったが、こっちのセーラーはどうも妙な気配がしやがる。
 何つーか、武人だとか喧嘩慣れしてるだとか、そんな感じじゃねェんだわ。ただ単に強ェだけみてーな? つっても、上手く言語化はできねーんだが。

 でもその割にコイツらは揃いも揃って、命の取り合いに慣れてやがるような顔なんだよな。分っかんねーぜ、どうにもよ。

「聞いても良いかな。あなたたちは何のために、聖杯を求めるの?」

 水色髪はそう、痣のある手を構えたまま閑かに問うた。オレと似ているようで違う、何やら紋章のような、刺青のようなそれ。どうも『返答次第じゃ戦闘も辞さない』と暗に宣言してやがるみてェだな、とこちらも拳を握って応じる。

「聖杯だァ? 知るかっつーの。そもそもこちとら、この状況が何かすら分からねーんだよ。」

 刹那、四者の目と目が交錯する。ピリつく空気に、粟立つような肌。
 それは静かな睨み合い。一瞬でも気を抜いた方が喰われる、この均衡を崩した者が敗れると、オレは身をもって知っていた。

 一定以上の実力者同士でのみ起こる、時すら止まったように感じる一瞬。

 そしてそういう時、決まっていつも唐突に変化は訪れる。

 こちらに向けられた痣のある手、真っ直ぐに指された人指し指の先から、黒と赤の光線が放たれる。
 何かがマズイ、そう感じて咄嗟に避けた途端に唐傘を大きく旋回させ、セーラー服の少女がこちらに襲いかかった。そしてオレが目にも止まらぬその動きを語る事ができるのは、ポールが杖で中心をトンと突いてその力を受け流し、眼前スレスレで静止させたからに他ならねェ。

「ほっほーう、中々やるじゃん!?」
「生憎と、私は戦闘が不得手なんだが、ね!」

 知覚すら不可能な剣戟はその風圧だけでバキバキと地面を放射状に割り、およそ武器ではないはずのそれらを剣そっくりに打ち合わせてまた一瞬、両者がきつく睨み合う。

 だが、その均衡を崩したのは。

「あーやめやめ、やめじゃーい! 第一ソンソン、こーゆー腹芸とか似合わないっしょ。」

 向こうの“ますたぁ”とやらでも、そしてオレでもねェ。意外にも実力者、つまり“さあばんと”とやらであると断じられた、唐傘の方だった。

 完全な想定外。
 オレにとっても、そしておそらくポールにとっても。特にオレは完全に呆気に取られて、おそらく相当マヌケな顔を晒すハメになった。

「ちょ、アーチャー!?」

 そしてどうもそれは、ソンソンだとか呼ばれていた女についても同様だったらしい。

 とは言え事実でもあったのか、『……まあ、言われちゃった以上しょうがないか。』とソイツは素早く手を下ろした。

 やんのかやんねーのかどっちかにしろや、と内心で思いつつ、オレも倣って[漢字]衣嚢[/漢字][ふりがな]ポケット[/ふりがな]に手を突っ込む。『おいおい行儀が悪いぞ』と同じくどこへやら杖を納めたポールに指摘されたが、まーそりゃオレの知ったこっちゃねェしよ。

「突然仕掛けてホンットーにごめんねっ! 実力が見たくて、お願いしてたの。」

 全力で頭下げられたって、ワケの分かんねーモンは分かんねーが。こんな状況で建前だのメンツだのってぐちゃぐちゃ言うのも、めんどくせーし第一ダセェ。

「あー、何だ。つまりテメェは話がしてェっつーコトで良いのか?」
「というより、元々はあなたに不参加を勧めに来たんだよ。でもやっぱり、“同盟”を組んで仲良く出来たらな、って……」

 『あ、マジで不愉快だったらキッパリ断ってくれて良いんだけど……というかやっぱり嫌かな!? 嫌だよね!?』とあわあわとし始めたソイツを遮る。

「だーもうまどろっこしい、殺されかけた程度でガタガタ騒ぐようなスカポンじゃねェんだよオレはァ!!」

 やっべ、思わず怒鳴っちまった。

「私としても、立て続けに神の社を無粋な血で穢すというのは……幾分か心が痛むしね。」

 ン、とポールの補足を誤魔化す様に軽く咳払いをして、真っ直ぐソイツを見据える。桃色に紫色と左右色違いの瞳の中には何やら印が浮いていて、およそ人間の目らしくねェ。

 オマケに改めて並ぶとオレと大差ない身長に、何やらケッタイな色の髪が乗ってやがんのはどうにも見慣れねェ。

 だがまァ、元々オレはそーゆーのを気にするタチでもねェしな。

 それに何より、ソイツはどうしようもなく一人の人間だった。等身大で、真っ直ぐで、目下のところ信用はできそうだっつーか。或いはもっと単純に真っ当な悩みや願いや、人らしい生活感がありそうだっつーか。

「まーそのアレだ、怒鳴って悪ぃな。こっちも色々と聞かせてくれるってんなら助かるし、拒む理由はねーよ。」

 続けて自らの名を名乗り、『まァ頼りにさせてもらうぜ』と笑いかける。自分から名乗るってのは、言ってみりゃ不良なりの礼儀。相手を認めたっつー宣言みてーなモンだ。
 明らかに不良なんぞじゃ無さそうなコイツには伝わんねーとしても、オレなりに筋を通したかったってだけ。
 驚いたように目を見張ったソイツは、一瞬遅れて柔らかく微笑んだ。

「あ、そうだ、うちも自己紹介しとくね! うちはソーン、[太字]ソーン・ダチュラ[/太字]! おいもでも妖怪でも好きに呼んで!」
「んじゃあたしも、っと。あたしはアーチャークラスのサーヴァント。気軽に[太字]アーチャーさん[/太字]とでも呼ぶが良いさ!」

 それに応えて飄々と、しかし確かに楽しそうに高らかにポールのヤツも名乗りをあげる。尤も、『アサシンとだけは呼ばないでくれたまえ』と全力で主張しながらだが。何なんだよ、その『私の美学に反する』ってのは。

 コイツは一々キザなコト言わねェと気が済まねーのか? と思わず白い目を向けようがどこ吹く風、相も変わらずポールの野郎は飄々としていやがる。

「けどよ。オレはそもそもこの状況が一体何なのかすら分かってねェ。よく分かんねーが情報出すのだって、損しかねーんじゃねーか?」
「いんや、実はあんのよ。あたしらも君もとある儀式の参加者で……うーん、ライバルが減る的な? あと信頼関係的な? ソンソン、その辺りって説明してもおけ?」

 『良いよっ!』とアッサリ許可を出す水色髪が若干心配になる。オレは不良っつってもどこのグループでもねェから詳しかねーけどよ、抗争だの何だのっつーのは普通情報戦なんじゃねーのか? お人よしっつーか、何つーか。

「つーか、まずそのさあばんとっつーのは何なんだー?」

 いや、普段はあんま細けー単語とか気にしねーんだけどよ。何つーかこう、ここまで色々焦らされると流石に気になってくるっつーか。

「そう言えば説明がまだだったね。
 サーヴァント、つまり私達……は過去や未来の英雄で、聖杯に選ばれた“マスター”を要石として召喚される。時と場合によっては、物語の登場人物だったりもするけれどね。」
「だけどホラ、英雄って言ったら色々『ここを射抜かれて殺された』みたいな、生前の逸話で分かっちゃう弱点とかがあるでしょ? だから本当の名前は隠して、それぞれに当てはめられたクラスで呼ぶんだよ!」

 答えたのはポールとソーン。曰くクラスっつーのは生きてた頃(或いは物語内)での武器やら何やらで決まってるんだと。

 続いたセーラー服のアーチャーとやらの説明曰く、オレが巻き込まれたのは、そこのソーンみてぇに妙な術を使うヤツら(スタンスによって魔術師だとか魔術使いだとか使い分けるらしい)が、願いを叶えるためにサーヴァントを呼ぶ儀式なのだ、と。

 何つーか、尚更渡来の幻想小説じみて来やがったな。

「んで、その儀式の名前が[太字]“聖杯戦争”[/太字]? 儀式にしちゃ随分と物騒じゃねーか。オレの命狙って来やがるヤツがいたんだけどよー、じゃあありゃ何なんだ?」

 ここまで来たらオレも興味が湧いて来たっつーか、いつも通り『そんなモンか』で雑に済ませるには勿体ねェとすら思い始めたっつーか。
 何の気無しに聞いてみると、『お? ちょいと説明が大味過ぎたか。』とアーチャーはピンと人指し指を立てる。

 途端に一際風が強く吹いて、その次の静寂。狙い澄ましたように、或いはそれが[漢字]必然[/漢字][ふりがな]運命[/ふりがな]のように。とっくのとうに訪れていた夜が一層、深まったような気がする。
 呼吸と唾を飲むその僅かな音すら煩わしく感じられる程の境内で、アーチャーの言葉を引き継いだポールの明快な声だけが朗々と響く。

「要するに、だ。君が巻き込まれた“聖杯戦争”というものはだね。
 『七人の魔術師が強力なサーヴァントを[漢字]召喚[/漢字][ふりがな]よ[/ふりがな]び、願いを叶える“[漢字]貴重な宝物[/漢字][ふりがな]聖杯[/ふりがな]”を得る為に最後の一人となるまで互いに殺し合う』という___[漢字]実に無粋な儀式[/漢字][ふりがな]バトルロワイアル[/ふりがな]なのだよ。」

作者メッセージ

別名を状況&設定説明回とも言います。題名死ぬほど難産でした。

あと今後あとがき欄でタイガー道場とかなぜなにプロイとか教えてシエル先生みたいな事をおっ始めるかもしれません。楽しそうなので。

2026/02/05 20:43

Ruka(るか) ID:≫ 9p86pOQD/eC7w
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