孤独。それが僕らの使命。寂しいままで僕らは生きている。希望の光…とかいうものの先にでさえ孤独が見えている。「明日なんて来なけりゃいいのに」僕は思う。辛いって、寂しいって、疲れたって、言いたいよ。それくらい言わせてくれてもいいじゃないか。
　あたりは暗くなってきた。まだ起きているのに、夢の世界にいるような感じがした。「幻覚…？おかしくなっちゃった？僕…」疲れ切ってしまったのかと思い、眠ろうとした。「ぉやすみぃ…」一人暮らしだけど、毎日「おやすみ」って言ってから寝てしまう。実家に住んでいた時の癖かな。
　そんなことを考えていたら、誰かの声が聞こえた。「おやすみぃ」と。とても暖かい声だった。その瞬間から、誰かはわからない君の声以外は聞こえなくなった。「ねぇ、さみしくないの？つらくないの？つかれてないの？だいじょぉぶなの？」君が問いかけて来る。ふと、涙がこぼれ落ちた。絆創膏を貼れないままの傷口から血が流れるように。きっと一生絆創膏は貼れなくで、ことあるごとに涙がこぼれるのだろう。「あなたは、どぉして、なんのためにうまれてきたの？」この世界で生きる意味は僕も探している。できれば、煌めくような、良いものを見つけたい。生まれた意味は、考えたくない。辛くなるから。こんな夜でさえ、今は、愛させてほしい。愛してほしい。
　暖かい君の声に誘われて、泣きながら、僕は。「このままでっ、ありのままで…居てもいいのっ？独りきりで、わからないことばかりの毎日もっ、全部っ、愛していいのぉ？」問いかける。答えが返ってくるかもわからないまま。ただひたすらに。君の声が聞こえた気もしたが、それどころではなく、続ける。「この世界でっ生きる意味…ってなぁに？探してるけどさっ見つからないんだっ…ねぇ、君は、知ってるの？教えてよっ！」暖かい、優しい君の声が返って来る。「そのままで、ありのままでいてもいいんだよ？なんにもわからなくても、それも、ぜんぶ、あぃしていいんだよ？」「ふぇ？」僕が返す。君は続ける。「このせかいでいきるいみ、わたしはわからないからさ、ゆっくりさがそうねっ？」「とりあえず、きょぉは、ねよぉね？おやすみぃ」とりあえず、今日は寝よう。生きる意味は、急がずに、ゆっくり、自分のペースで探そう。なかなかわからない自分のことも、愛してあげよう。
　それからしばらくした。それから君には会っていない。もしまた会えたら、「君って誰？どうすれば会えるの？」って聞こう。また会いたいな。僕は君にすごく救われたから、感謝の気持ちを伝えたいな。