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厨二病すぎて共感性羞恥が大爆発すると思います。
作者も自覚しています。
それでも良ければぜひよろしくお願いします。

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【参加型】ハーミット魔道学園は今日も事件だらけのようです。

#9

午後四時の歓談

 よし、そろそろ二時間経つな。まさかこの短時間で、ここまで部屋綺麗になるとは思わなかったっすけど。
 いやマジで、なんで備え付けのクローゼットまでピッカピカになってるんすか。

「っし、つぎ、生地敷いて…って、やっべぇ!」
「どうしたんだ〜?」

 肝心な事を忘れてたっす。ここ、デコ型とかいくらなんでもないっすよね…やべぇ、マジでどうすっかな…

「ここ、4号のデコ型はさすがに…」
「あるよ。」

 いやあるんかい。逆になんであるんすかハーミット。備品多すぎねぇか。いくらなんでも準備万端どころの騒ぎじゃねぇっすね。

「ぼくが家から持ってきたんだ…役に立って良かったよ。」

 まさかの家から持ち込みだったっす。音崎さん、すげぇ菓子作り慣れてると思ったらそういう事か。
 これ、早まったっすかね。この人かなりできる人なのでは?

「これに生地を敷くのか〜。」
「あ、ぼく、タルトストーン持ってるよ。使う…よね?」

 それはむしろなんで持ってるんすか。いや、すげぇありがたいっすけど。生地浮いたらアレだし。

「でもこれ、生地敷いたあとでもう一度冷蔵庫入れないといけないんじゃない?」
「いや、今回は氷魔法を使うっす。一気にこう、がっと冷えるんで。」

 そもそもこういう時のために覚えさせられたんすよね…と、いうワケで。

「“グラキエス”、っと。」
「見事に凍ったな〜。」

 っし、ちゃんと成功。良かったっす、コレで失敗したら目も当てらんねぇ。
 今音崎さんがオーブンを予熱しといてくれてるんで、終わる頃に解除すればちょうどいいぐらいのハズっすね。

 …っと、予熱終わったか。

「っし、そろそろっすね。“解除”。」
「なるほど…これ便利だね。いい感じに生地も落ち着いてるし…うん、すぐに焼けるよ!」

 土台焼くのは結構時間かかるんで、今のうちにこの辺りの使ったモン洗っておくか。じゃねぇと正直、緋勇さんが怖ぇ…
 そう思いつつ、オーブンに入っていく生地を見送って、次の作業に取り掛かるっす。
 焼けるまでの間に、タルト生地に流し込む中身の部分を作らなくてはいけない。

「あー…緋勇さん、コーヒーの粉、もらっていいっすかね。あと…コレ、作んのやるっすか?これなら混ぜるだけなんすけど…」
「じゃあ、やってみるか〜。」

 今回作るのはガトーショコラだ。
 レシピにもよるが、実はかなり簡単な菓子なんすよね。
 今回はただのチョコではなく、コーヒーの粉を加えてあるが、基本的にはチョコと砂糖と卵とバターを混ぜるだけ。
 最近作ってなかったっすけど…材料もまだ覚えてるし、問題なしっと。
 チョコ入りの塊をぐるぐるとかき混ぜながら、緋勇さんは目を見張っている。

「へ〜、ガトーショコラ、意外と簡単なんだな〜。」
「あー、そっすね。なんか洒落た名前ついてっけど、正直チョコ入りの卵焼きみてぇなモンっす。」
「卵焼きって…でも、言い得て妙かもね。確かにそうだ。」


[水平線]

「良かった、ちゃんと焼けたね」
「結構、面白いもんなんだな〜。」

 できたタルト生地に、ガトーショコラの種を流し込む。半分くらいまで入れたところで、さっき作ったジャムを中に投入する。

「ここでジャム入れるのか〜。」
「そっすね。んで、上から残りの生地入れたら、残しといたさくらんぼ飾りつけるっす。」

 そう言った途端、音崎さんがノリノリで言い出した。

「じゃあ、いっぱい乗せちゃおうかな…」
「おいおい、ちょっと待てよ〜。」

 それに緋勇さんも反応して、わいわいガヤガヤと言いあう二人。
 それを横目で見つつ、オーブンを予熱しておく。っし、こんなもんかな。
 でも、二人ともなんだかんだで表情が柔らかくなってる。いやぁ、良かったっす。
 その後、なんとかうまい具合の量に落ち着いたらしく、緋勇さんが予熱の終わったオーブンにタルトを入れた。
 あとは焼けるのを待つだけっすね。


[水平線]

 チョコの焼ける美味そうな匂いと、緋勇さんが淹れているコーヒーの香ばしい匂いがしてくる。
 コレ、結構いい感じにできたんじゃないっすか?かなり食欲をそそられる。

「焼けたね、天板の上に出しておくよ!」
「あ、どもっす。あー…甘いの苦手らしいっすけど…緋勇さん、これなら食えるんじゃねぇっすか。どっすか。」

 ちらりと相手を横目で見る。顎に手を当てて考えているが、コーヒーとか入れて苦めに作ったコレならどうだろうか。

「結構甘そうだけどな〜、まぁせっかくだし、ありがたく食べてみるぞ〜。」

 そんな事を言っている間に、音崎さんがさっさとオーブンからタルトを出している。
 やべぇ、任せっきりにしちまってたっす。

「よい…しょ、と。ねぇ、まだ熱いけど今のうちに食べちゃわない?」
「そっすね。丁度緋勇さんがコーヒー淹れてくれたし、いい塩梅じゃないっすか。」

 あー…やっべぇ、コレ…自分で作っといて言うのもアレっすけど、すげぇ美味そうな色と匂いしてるっすね…って、俺さっきから同じことしか言ってねぇな。
 サクサクとタルトを切り分けると、中からとろりと紅色が見える。やっぱさくらんぼジャム入れて正解だった。

 音崎さんが目を見張っている。淹れ終わったコーヒーを全員の前において、切り分けたケーキは皿の上。
 フォークを準備したなら、ティータイム…いや、コーヒーブレイクの始まりっすね。

 さて、それでは。いざ実食!

「「「いただきます」」」

 コレなら、緋勇さんにも気に入ってもらえるだろうか。って、

「うぁっち!?」
「焼きたてだからね…」
「ちゃんとフーフーしてから食べないとだろ〜?って、確かに熱いな〜…」

 あー、でもコーヒーうっま…やっべぇ…うっめぇ…ああ、音崎さんコーヒー飲んでるし、緋勇さんもタルト食ってくれてるっすね。

「ん〜、これなら以外と食べられそうだ〜。」
「ぼくも、このコーヒーならイケるかも…!」

 良かったー……うん、タルトもうめぇ、生地とかちゃんとサクサクっす。

「なら良かったっす。あーそうそう、緋勇さん、このコーヒー、すげぇ美味いっす。音崎さんも、タルト生地どうもっす。」

 どうだろうか。食いもんの問題は食いもんで解決しよう大作戦、成功してると良いんすけど。

「あー…それで、っすね。苦手なモンもあるし好きなモンもあるって事でどうっすか…差し出がましい真似してすまねぇっす。」

 そう言うと、二人はお互いに顔を見合わせた。
 そのままけらけらと笑いだす二人に、思わず目を丸くする。

「まぁ、自分から食べる気はあんまりしないけどな〜。たまになら良いんじゃないか〜?」
「ぼくも…貰うんだったら飲む…かな。結構さくらんぼと合うって事も分かったし。」 

 なんて、実に楽しそうに言うもんだから、緊張してたのもウソみたいだ。
 うん、ほんと、いい同室に恵まれたっす。

「俺、あんま頭良くねぇんで、迷惑ばっかかけちまうと思うっすけど…」

 軽く頭を下げる。

「改めて、これからよろしく…っす。音崎さん、緋勇さん。」
「もちろんだよ!あと名前、柚月でいいからね?」
「俺からもよろしくな〜。そうだ、俺も灰でいいぞ〜。」

 いきなり名前呼びはちょっと、ハードル高いっすよ!?
 まぁ、つってもこれから三年間はずっと一緒に過ごす事になるのか。じゃあそんなもんか。
 そうは言ってもなんかこう、妙な気分っすね。

「っす…頑張るっす。」
「留歌ってばなんか緊張してる?このこのー!」
「まぁ、そんなもんなんじゃないか〜?留歌は緊張しすぎな気もするけどな〜。」

 お、おう。
 ナチュラルに名前呼びされてる…
 まぁ皆んなで仲良くっつーのも、この年じゃアレっすけど……
 ああでも、距離縮まったみたいで嬉しいモンっすね………
 そもそも、名前で呼ばれるような友人なんて長らくいなかったしな…………
 そんな風に幸せを噛み締めた午後4時。
 間食には少し遅い時間だが…
 うん、このコーヒーとタルトなら、夕飯が入らなくなるだけの価値はある気がするっす。というか、間違いなくあるだろう。
 誰かと一緒に飯食うってのは、それだけで美味いもんっすよね。なんて、俺のガラじゃねぇっすけど。

作者メッセージ

大分時間かかったがお菓子作り後編です。
無期限で募集してるんでまだ参加歓迎です。
次はおんせんめぐりさんとこの人まとめてわっちゃぁってした感じのやつ書きたいです。
エミュむずいです。しかもみなさん自由すぎてプロットが死にました。

2025/01/03 07:30

Ruka(るか) ID:≫ppOwyaLqNDBvA
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