【参加型】ハーミット魔道学園は今日も事件だらけのようです。
開始の合図と同時に飛び交い始める上級魔法や上級魔術。
俺なんかが使うには一発だけでも厳しいであろう高等なヤツが、気軽にポンポンと飛び交う様はまさに壮観っす。
いや、そんな余裕ぶっこいてなんていられねぇんすけど。
「っぐぁ、結構キツいっすね…」
俺の固有魔法である「[漢字]星見の託言[/漢字][ふりがな]ホロスコープ[/ふりがな]」、効果は未来が見えるだけ。
でも、やっぱ魔力消費がやべぇっす。
常に10秒先の未来をみる、たったそれだけでもかなり厳しい。早速一本目のポーションが必要になってきた。
「っと、ぶねぇ!右斜め、四十五度から来るっすよ!!」
「オッケー、避けるからやっちゃって!」
「了解っす!【ヴァン】!!」
風の初級魔法、ただ単に突風を発生させるだけ。俗に言う雑魚技っす。
だがそれでも、ひょろひょろした二人組と舐めてかかった名前も知らない秀才にはよく効いた。
呆気に取られたような顔で彼が高く上がっていった先は、灰さんの魔術の射程範囲内。
そう、灰さんが立てた作戦は非常に簡単っす。
要はルールの上では、三人のうち誰か一人でもフィールドに残っていれば本戦進出なんすよね。
そんでもって、さっきの借りモノ競争で柚月さんは派手に固有魔法を使った。
厄介なのは目に見えているので、おそらく多くの生徒に狙われる事になるだろう。
そこからが灰さんの作戦だとも知らずに。
どういう事か、と言うとまぁ単純な話っす。
三人全員が固まると、互いのフォローはできても範囲攻撃で一気に倒される恐れがある。
だが逆に全員がバラバラなら、各個撃破される可能性が高くなる。特に俺なんかが一人で突っ立ってるのは紛れもなく自殺行為っす。
そう、つまり。
俺が未来を見つつ柚月さんを守り、その隙に柚月さんは固有魔法で周囲を無力化し、灰さんが遊撃で厄介な相手を撃墜する。
そんな非常に簡潔なモノが、俺達の作戦だ。
そのためには、俺が固有魔法をキッチリと使いこなす必要があった。
未来が見えてもまだ土俵には届かない、それがこの会場。理解しているからこそ、準備は十全にして来たっす。
実際、それでまず一人目は、この通り灰さんが対応してくれている。
「じゃあ、悪いけど退場してもらうぞ〜?【光の人工太陽】。」
途端、目も眩むような圧倒的な光量が辺りを包む。
本来は何もかもを融解してしまう特大の魔術だが、今回は温度を下げる代わりに思い切り光量を上げている。
その明るさに耐えきれず、彼は地面に頽れた。
『ココに来てようやく、一人目の脱落者だァ!!』
『倒したのは黒猫寮の緋勇灰、音崎柚月、星見留歌の三人だね。』
『中々いい連携だぜ、お前ら!!』
よかった、なんとかなったっすね…
「留歌、灰、ナイス!」
「掃除は得意、だからな〜。柚月の邪魔はさせないぞ〜?」
「そっすよ、俺達で攻撃回らないようにするんで。」
生真面目な面持ちで頷く柚月さんは、バッテリーを積んだアンプを具現化している。
もうじき準備が整う。大音量で柚月さんの音楽を流す準備が。少なくともそれまでは、出来る限り守るっす。
つっても、作戦通りとは言えほとんどの相手が狙ってきてるっすね…
「さぁて、これまたゾロゾロとお出ましだな〜?」
「あと1分耐えてくれれば、出せるはず…」
いや結構キツイっすね!?そう思ったその時だった。
「気、抜いてるんですか?まぁ、好都合ですけど。…【[漢字]世界樹[/漢字][ふりがな]ユグドラシル[/ふりがな]】!」
「危ない!余所見、厳禁だよ!」
直後、誰かに突き飛ばされたかのような感覚。1秒もしない内に、俺が立っていた所から木の根が飛び出す。
いやどこからっすか!?そんで誰からっすか!?!?
「外しましたか。同寮の方、近くにいて良かったですね。」
そう話すのは、淡い臙脂色の髪に、深緑の目の男子生徒。そしてもう一方は、
「不意打ちとか卑怯じゃないの!?えっと…?」
憤懣やる方ないと言いたげな表情のノエルさん。そういや、同じリーグだったっす。
こういう時でも名前聞くあたり、なんつーかこう、すげぇマメっすね。
「はぁ…生階 朱肉です。まぁ、お好きに呼んでください。」
というかそもそもあなた、何言ってるんですか。バトルロイヤルなんですから、狙いやすそうな人からいきますよ。
そういうが早いか、彼の表情が変わる。
「なので、脱落してもらいます。【[漢字] 種まき[/漢字][ふりがな]シード[/ふりがな]】!!」
うおお、って…俺じゃ、ない?
まずい、灰さんが狙いか!
「この程度、食らっても問題…」
「ダメだ、絶対避けてくれっす!!!」
やっべぇ、思わず口調がだいぶアレだ…まぁでもいい、なんとか避けてくれた。
いや、アレに当たった灰さんがあっという間に木に巻かれるのが見えたんすよ。
灰さんならどうにでもなるだろうが、その間に俺達が確実にやられる。
「中々やるね、どういった仕組みなのかな?」
しまった、新手か!!
どこから来るか全く見えねぇっすね…まずい…
「留歌、後ろだ〜!」
「うおぁ!?【グラキエス】!!」
ダメだ、当たった気配がねぇっす。どこだ、どこ行ったんすかね…
「こちらだ。氷魔法なら私も得意でね…申し訳ないが、少し凍ってもらおうか。【[漢字]氷結の夜明け[/漢字][ふりがな]フローズン・サンセット[/ふりがな]】!」
やべぇやべぇやべぇ、なんすかコレ、上級魔法っすか!?聞いた事ねぇっすよ!?
つーかどこから…って、光に当たったところからどんどん凍ってくっす…
まずい、動けねぇ…
「ルース先輩…助かりました。」
「いいんだよ、君は私の後輩なんだから。むしろ、思い切り頼っておくれ。」
技の主と思われる人は、さっきの朱肉さんと会話している。どうやら、知り合いらしいっすね。
金髪碧眼の青年…いや、女性?どちらにせよ、すげぇ顔面偏差値高い人っす…眩しい……
『おっと、蝙蝠寮、高等部三年のルース・アリュール選手、一気に全体攻撃だ。足元が凍って動けない人、多数出現だね。』
『一気に固有魔法ぶっ放しやがってェ!!やるなァ!!!』
く、動けねぇっすね…かなりまずいっす。
どう転がっても確実に気絶させられてる。どうすれば…いや、俺なんかじゃもうどうにも……
「灰、さっきのもう一回!留歌は目を閉じて、僕らに氷魔法!」
柚月さん!?って、目!?そんで氷魔法!?悪化するっすよ!?
「いいから早く!」
あーもう、ワケ分かんねぇっすけどやるしかねぇっすね…
【グラキエス】!
「そういう事か〜。【光の人工太陽】。」
途端、思い切り目を閉じていても眩しさを感じるような光量。かなり熱を感じたが、再び目を開いた時にはさっきの氷はほぼ消えていた。
そうかあの魔術、熱も含んでるんすね。
「成功!やったね!」
「ああ、良かったな〜。」
けど、アレは俺達の行動不能を解くためだけに使っていたハズっす。つまり、威力はかなり抑えられていると考えていい。
となれば…まださっきの二人が倒れたとも思えねぇっすね…
俺なんかが使うには一発だけでも厳しいであろう高等なヤツが、気軽にポンポンと飛び交う様はまさに壮観っす。
いや、そんな余裕ぶっこいてなんていられねぇんすけど。
「っぐぁ、結構キツいっすね…」
俺の固有魔法である「[漢字]星見の託言[/漢字][ふりがな]ホロスコープ[/ふりがな]」、効果は未来が見えるだけ。
でも、やっぱ魔力消費がやべぇっす。
常に10秒先の未来をみる、たったそれだけでもかなり厳しい。早速一本目のポーションが必要になってきた。
「っと、ぶねぇ!右斜め、四十五度から来るっすよ!!」
「オッケー、避けるからやっちゃって!」
「了解っす!【ヴァン】!!」
風の初級魔法、ただ単に突風を発生させるだけ。俗に言う雑魚技っす。
だがそれでも、ひょろひょろした二人組と舐めてかかった名前も知らない秀才にはよく効いた。
呆気に取られたような顔で彼が高く上がっていった先は、灰さんの魔術の射程範囲内。
そう、灰さんが立てた作戦は非常に簡単っす。
要はルールの上では、三人のうち誰か一人でもフィールドに残っていれば本戦進出なんすよね。
そんでもって、さっきの借りモノ競争で柚月さんは派手に固有魔法を使った。
厄介なのは目に見えているので、おそらく多くの生徒に狙われる事になるだろう。
そこからが灰さんの作戦だとも知らずに。
どういう事か、と言うとまぁ単純な話っす。
三人全員が固まると、互いのフォローはできても範囲攻撃で一気に倒される恐れがある。
だが逆に全員がバラバラなら、各個撃破される可能性が高くなる。特に俺なんかが一人で突っ立ってるのは紛れもなく自殺行為っす。
そう、つまり。
俺が未来を見つつ柚月さんを守り、その隙に柚月さんは固有魔法で周囲を無力化し、灰さんが遊撃で厄介な相手を撃墜する。
そんな非常に簡潔なモノが、俺達の作戦だ。
そのためには、俺が固有魔法をキッチリと使いこなす必要があった。
未来が見えてもまだ土俵には届かない、それがこの会場。理解しているからこそ、準備は十全にして来たっす。
実際、それでまず一人目は、この通り灰さんが対応してくれている。
「じゃあ、悪いけど退場してもらうぞ〜?【光の人工太陽】。」
途端、目も眩むような圧倒的な光量が辺りを包む。
本来は何もかもを融解してしまう特大の魔術だが、今回は温度を下げる代わりに思い切り光量を上げている。
その明るさに耐えきれず、彼は地面に頽れた。
『ココに来てようやく、一人目の脱落者だァ!!』
『倒したのは黒猫寮の緋勇灰、音崎柚月、星見留歌の三人だね。』
『中々いい連携だぜ、お前ら!!』
よかった、なんとかなったっすね…
「留歌、灰、ナイス!」
「掃除は得意、だからな〜。柚月の邪魔はさせないぞ〜?」
「そっすよ、俺達で攻撃回らないようにするんで。」
生真面目な面持ちで頷く柚月さんは、バッテリーを積んだアンプを具現化している。
もうじき準備が整う。大音量で柚月さんの音楽を流す準備が。少なくともそれまでは、出来る限り守るっす。
つっても、作戦通りとは言えほとんどの相手が狙ってきてるっすね…
「さぁて、これまたゾロゾロとお出ましだな〜?」
「あと1分耐えてくれれば、出せるはず…」
いや結構キツイっすね!?そう思ったその時だった。
「気、抜いてるんですか?まぁ、好都合ですけど。…【[漢字]世界樹[/漢字][ふりがな]ユグドラシル[/ふりがな]】!」
「危ない!余所見、厳禁だよ!」
直後、誰かに突き飛ばされたかのような感覚。1秒もしない内に、俺が立っていた所から木の根が飛び出す。
いやどこからっすか!?そんで誰からっすか!?!?
「外しましたか。同寮の方、近くにいて良かったですね。」
そう話すのは、淡い臙脂色の髪に、深緑の目の男子生徒。そしてもう一方は、
「不意打ちとか卑怯じゃないの!?えっと…?」
憤懣やる方ないと言いたげな表情のノエルさん。そういや、同じリーグだったっす。
こういう時でも名前聞くあたり、なんつーかこう、すげぇマメっすね。
「はぁ…生階 朱肉です。まぁ、お好きに呼んでください。」
というかそもそもあなた、何言ってるんですか。バトルロイヤルなんですから、狙いやすそうな人からいきますよ。
そういうが早いか、彼の表情が変わる。
「なので、脱落してもらいます。【[漢字] 種まき[/漢字][ふりがな]シード[/ふりがな]】!!」
うおお、って…俺じゃ、ない?
まずい、灰さんが狙いか!
「この程度、食らっても問題…」
「ダメだ、絶対避けてくれっす!!!」
やっべぇ、思わず口調がだいぶアレだ…まぁでもいい、なんとか避けてくれた。
いや、アレに当たった灰さんがあっという間に木に巻かれるのが見えたんすよ。
灰さんならどうにでもなるだろうが、その間に俺達が確実にやられる。
「中々やるね、どういった仕組みなのかな?」
しまった、新手か!!
どこから来るか全く見えねぇっすね…まずい…
「留歌、後ろだ〜!」
「うおぁ!?【グラキエス】!!」
ダメだ、当たった気配がねぇっす。どこだ、どこ行ったんすかね…
「こちらだ。氷魔法なら私も得意でね…申し訳ないが、少し凍ってもらおうか。【[漢字]氷結の夜明け[/漢字][ふりがな]フローズン・サンセット[/ふりがな]】!」
やべぇやべぇやべぇ、なんすかコレ、上級魔法っすか!?聞いた事ねぇっすよ!?
つーかどこから…って、光に当たったところからどんどん凍ってくっす…
まずい、動けねぇ…
「ルース先輩…助かりました。」
「いいんだよ、君は私の後輩なんだから。むしろ、思い切り頼っておくれ。」
技の主と思われる人は、さっきの朱肉さんと会話している。どうやら、知り合いらしいっすね。
金髪碧眼の青年…いや、女性?どちらにせよ、すげぇ顔面偏差値高い人っす…眩しい……
『おっと、蝙蝠寮、高等部三年のルース・アリュール選手、一気に全体攻撃だ。足元が凍って動けない人、多数出現だね。』
『一気に固有魔法ぶっ放しやがってェ!!やるなァ!!!』
く、動けねぇっすね…かなりまずいっす。
どう転がっても確実に気絶させられてる。どうすれば…いや、俺なんかじゃもうどうにも……
「灰、さっきのもう一回!留歌は目を閉じて、僕らに氷魔法!」
柚月さん!?って、目!?そんで氷魔法!?悪化するっすよ!?
「いいから早く!」
あーもう、ワケ分かんねぇっすけどやるしかねぇっすね…
【グラキエス】!
「そういう事か〜。【光の人工太陽】。」
途端、思い切り目を閉じていても眩しさを感じるような光量。かなり熱を感じたが、再び目を開いた時にはさっきの氷はほぼ消えていた。
そうかあの魔術、熱も含んでるんすね。
「成功!やったね!」
「ああ、良かったな〜。」
けど、アレは俺達の行動不能を解くためだけに使っていたハズっす。つまり、威力はかなり抑えられていると考えていい。
となれば…まださっきの二人が倒れたとも思えねぇっすね…