【参加型】ハーミット魔道学園は今日も事件だらけのようです。
弁当が美味すぎる話をしたいっす。
普段俺達の部屋じゃ朝飯は当番制なんだが、今日の朝はなぜか柚月さんがキッチン立ってたんすよ。当番じゃない日なのに。
んで、何してんのか聞いたら、『今日は魔道祭だから、お弁当作ってるんだ。』って言われたんすよね。なんなんすかこの人、家庭的にもほどがありすぎるっすよ。
「うん、さすが柚月だな〜。」
「ふふ、ありがと。」
美味い…実に美味いっすよこれ…
いなり寿司、最高っす……
もきゅもきゅと口いっぱいに頬張ると、油揚げの風味と酢飯の香りが広がる。
そうしたら今度は唐揚げ。
冷めても何故かサクっとしたそれは、仮にダイエットしてる女子の前に出したとしても全力でかぶりつくだろう。
なんせどこからどう見たって目の毒耳の毒鼻の毒。五感全てに訴えかける美味しいの波動。
いや何言ってんだ俺、って感じっすけど、そうとしか言い表しようがない。
それをしっかりと味わって飲み込んだら今度はコーヒー。こっちは灰さんが淹れてくれたヤツっす。
温かくて良い香りして、良い感じに苦いが苦すぎない、スッキリした後味。
微かな酸味が僅かに口に残る脂っぽさを軽減し、いくらでも食えるような気がしてくる。
やべぇ、無限ループっすよこれ。
「ふはぁ…美味いっすね……」
「留歌、かつてないほどに緩み切った顔だな〜。」
あー…マジっすか。自覚なかった。まぁ、美味いんだし、しゃあねぇっす。
ん、こっちの人参のグラッセも美味いっすね。甘くてバターの香りがしっかりしてて…
おにぎりも…焼きジャケをわざわざほぐして入れてるらしく、シャケ瓶とは比べ物にならない美味さっす。
「昼休憩終わったら、ついに魔道戦だね…緊張して来た…」
「そうだ、今の内に作戦の確認、しておくか〜?」
…そうだったっすね……正直、すっかり忘れてた。それぐらい美味かったっす。じゃねぇ、まずは作戦の確認だ。
自分の頬を引っ叩き、灰さんの言葉に耳を傾ける。
「まず、柚月は…」
[水平線]
「よし、これで確認も大体完了かな。」
「そっすね。魔法薬もちゃんとあるっす。」
つってもやっべぇ、やっぱ緊張して来たっす…人、人、人、人、人人人人人人人……
「留歌?そんなに人書いても…」
「う〜ん、ここまでくるともう、どうにもならないぞ〜?」
う、それもまぁそうなんだが…
いやでもやっぱ緊張するっすよ…なんせ俺、超凡人っすからね。正真正銘の。
しかも最初のバトルロイヤル戦は、チーム全員の昏倒や負傷による戦闘不能、場外で敗北だ。
つまり、俺がいる時点で他より遥かに耐久力が低い。
まぁ、お二人がすげぇ強いんでトントンかもっすけど…でもそれってただの足手纏いなんじゃ…
「見事な百面相だな〜。」
「大丈夫だよ、灰が作戦立ててくれたでしょ?」
それもそうか、俺自身じゃなくて灰さんの作戦を信じりゃいいんすね。
それならできる気が…気が……
「いや、やっぱ無理っす!!!」
「そんなはっきり否定するなよ〜…」
[水平線]
「あと、もうちょっとで始まるな〜。」
「そうだね…ぼくも緊張してきたかも…」
そう言う二人を横目に見つつ、相変わらず人の字を書く俺。ちなみにもう百以上は呑み込んでるっす。
その内どこかで読んだ本みたいに、手のひらサイズの人が出てくるかもしれない。
アレ、どこで読んだんだっけか…ちっとも思い出せねぇっす。
しかし、バトルロイヤルとはいえど、全員が同時に同じ所で戦うわけではないらしい。
まぁこの学校、人数異常に多いっすからね。
一つ深呼吸して周辺を見渡す。パッと見知り合いの姿は見受けられない…いや、そんな事は無かった。何人かいたっす。
っと、話が逸れた。
しかしまぁその点で言うと、会場が屋外なのは幸運だったっすね。
一番最初なのは……ちっとばかしキツいっすけど。
まぁでも、これなら空を見るって条件は簡単に達成できる。
つまり、いつでも俺の固有魔法が使える。魔力さえ足りれば、っすけど。
『あー、あー…マイクテステス。なァエルア、コレちゃんと聞こえてんのかァ!?』
『安心して、有馬君。ちゃんと聞こえてるよ。むしろ…大声でマイクが壊れそうだね。』
うお、どこから…って、放送っすか。あーびっくりした。
あれ、でもさっきの二人じゃねぇっすね。どうしたんだろう。
『えー、というわけで。ここからは僕ら教師で解説をしていくよ。僕は全学年で錬金術の担当をしている、エルア・フェルブーレルだ。』
『そんで、俺の名前は大和有馬ァ!!高等部の魔法薬学担当だぜ!!!』
あー…そうか、アモさんもイズモンド先輩もバトルロイヤルに参加するんだし、当然司会は変わるっすよね。
しっかし、このお二人っすか。
まあ俺、錬金術は取ってないんすけど。
でもエルア先生はちょっと前にコツ教わったんすよね。講義取ってない生徒にも優しい、まさしく天使とでも言うべきいい人だったっす。
大和先生の魔法薬は日常的に聞いてるんで割とよく話す先生の一人っすね。種族が吸血鬼と聞いた時は驚いたっすけど。
『ま、ンなこたァどうでもいいよな!つーわけで、さっさと始めようぜ魔道戦を!!!!」
『それもそうだね。それじゃあ、入場開始だ。全員、全力で頑張るんだよ?応援、しているからね!』
唾を飲み込む音が想像以上に大きく聞こえる。
広大なフィールドに最初の一歩を踏み出す。
もうかなりの人が入場完了してるっすね…やべぇ、やっぱ無理そうな気が…
「大丈夫だぞ〜。俺たち、この二週間バッチリ練習しただろ〜?」
「そうだよ、連携だって取れるようになってきたし。」
…そうか、それもそうっすね。ここで卑屈になっても何も変わらない。それどころかむしろ、灰さんにも柚月さんにも失礼だ。
そう考えると、ちっとばかし落ち着いて来たっす。
「「「よし、」頑張ろう!」頑張るか〜。」頑張るっすよ!」
三人で思わず目が合い、なんとなく笑えて来た。最初ピッタリ合ってんのに、最後すっかりバラバラっすね。
「まぁ、俺たちらしいか〜。」
「そっすね…」
そうこうしている内に、開始のブザーがなるまで残り少なくなって来たっすね…う、腹が痛ぇっす…
『どうだお前ら、心の準備はバッチリかァ!?!?』
バッチリなワケがない、全身ガクガクのブルブルっすよ。
それでも俺が立っていられるのは、一重に二人のおかげだ。
『残りは3秒だよ。』
エルア先生の声が響く。ポーションの確認をし、いつでも使えるように蓋に手をかける。
『残り2秒だァ!!』
有馬先生は叫ぶ。杖を取り出して構え、周囲からの攻撃に備える。
『残り1秒。』
もう周りの全員が臨戦態勢だ。よく晴れた空を見上げる。固有魔法の発動準備は整った。
そしてついに、0。
『スタートだァ!!!!』
濃密な魔力が、一気にフィールドに満ちる。
魔道戦が、始まった。
普段俺達の部屋じゃ朝飯は当番制なんだが、今日の朝はなぜか柚月さんがキッチン立ってたんすよ。当番じゃない日なのに。
んで、何してんのか聞いたら、『今日は魔道祭だから、お弁当作ってるんだ。』って言われたんすよね。なんなんすかこの人、家庭的にもほどがありすぎるっすよ。
「うん、さすが柚月だな〜。」
「ふふ、ありがと。」
美味い…実に美味いっすよこれ…
いなり寿司、最高っす……
もきゅもきゅと口いっぱいに頬張ると、油揚げの風味と酢飯の香りが広がる。
そうしたら今度は唐揚げ。
冷めても何故かサクっとしたそれは、仮にダイエットしてる女子の前に出したとしても全力でかぶりつくだろう。
なんせどこからどう見たって目の毒耳の毒鼻の毒。五感全てに訴えかける美味しいの波動。
いや何言ってんだ俺、って感じっすけど、そうとしか言い表しようがない。
それをしっかりと味わって飲み込んだら今度はコーヒー。こっちは灰さんが淹れてくれたヤツっす。
温かくて良い香りして、良い感じに苦いが苦すぎない、スッキリした後味。
微かな酸味が僅かに口に残る脂っぽさを軽減し、いくらでも食えるような気がしてくる。
やべぇ、無限ループっすよこれ。
「ふはぁ…美味いっすね……」
「留歌、かつてないほどに緩み切った顔だな〜。」
あー…マジっすか。自覚なかった。まぁ、美味いんだし、しゃあねぇっす。
ん、こっちの人参のグラッセも美味いっすね。甘くてバターの香りがしっかりしてて…
おにぎりも…焼きジャケをわざわざほぐして入れてるらしく、シャケ瓶とは比べ物にならない美味さっす。
「昼休憩終わったら、ついに魔道戦だね…緊張して来た…」
「そうだ、今の内に作戦の確認、しておくか〜?」
…そうだったっすね……正直、すっかり忘れてた。それぐらい美味かったっす。じゃねぇ、まずは作戦の確認だ。
自分の頬を引っ叩き、灰さんの言葉に耳を傾ける。
「まず、柚月は…」
[水平線]
「よし、これで確認も大体完了かな。」
「そっすね。魔法薬もちゃんとあるっす。」
つってもやっべぇ、やっぱ緊張して来たっす…人、人、人、人、人人人人人人人……
「留歌?そんなに人書いても…」
「う〜ん、ここまでくるともう、どうにもならないぞ〜?」
う、それもまぁそうなんだが…
いやでもやっぱ緊張するっすよ…なんせ俺、超凡人っすからね。正真正銘の。
しかも最初のバトルロイヤル戦は、チーム全員の昏倒や負傷による戦闘不能、場外で敗北だ。
つまり、俺がいる時点で他より遥かに耐久力が低い。
まぁ、お二人がすげぇ強いんでトントンかもっすけど…でもそれってただの足手纏いなんじゃ…
「見事な百面相だな〜。」
「大丈夫だよ、灰が作戦立ててくれたでしょ?」
それもそうか、俺自身じゃなくて灰さんの作戦を信じりゃいいんすね。
それならできる気が…気が……
「いや、やっぱ無理っす!!!」
「そんなはっきり否定するなよ〜…」
[水平線]
「あと、もうちょっとで始まるな〜。」
「そうだね…ぼくも緊張してきたかも…」
そう言う二人を横目に見つつ、相変わらず人の字を書く俺。ちなみにもう百以上は呑み込んでるっす。
その内どこかで読んだ本みたいに、手のひらサイズの人が出てくるかもしれない。
アレ、どこで読んだんだっけか…ちっとも思い出せねぇっす。
しかし、バトルロイヤルとはいえど、全員が同時に同じ所で戦うわけではないらしい。
まぁこの学校、人数異常に多いっすからね。
一つ深呼吸して周辺を見渡す。パッと見知り合いの姿は見受けられない…いや、そんな事は無かった。何人かいたっす。
っと、話が逸れた。
しかしまぁその点で言うと、会場が屋外なのは幸運だったっすね。
一番最初なのは……ちっとばかしキツいっすけど。
まぁでも、これなら空を見るって条件は簡単に達成できる。
つまり、いつでも俺の固有魔法が使える。魔力さえ足りれば、っすけど。
『あー、あー…マイクテステス。なァエルア、コレちゃんと聞こえてんのかァ!?』
『安心して、有馬君。ちゃんと聞こえてるよ。むしろ…大声でマイクが壊れそうだね。』
うお、どこから…って、放送っすか。あーびっくりした。
あれ、でもさっきの二人じゃねぇっすね。どうしたんだろう。
『えー、というわけで。ここからは僕ら教師で解説をしていくよ。僕は全学年で錬金術の担当をしている、エルア・フェルブーレルだ。』
『そんで、俺の名前は大和有馬ァ!!高等部の魔法薬学担当だぜ!!!』
あー…そうか、アモさんもイズモンド先輩もバトルロイヤルに参加するんだし、当然司会は変わるっすよね。
しっかし、このお二人っすか。
まあ俺、錬金術は取ってないんすけど。
でもエルア先生はちょっと前にコツ教わったんすよね。講義取ってない生徒にも優しい、まさしく天使とでも言うべきいい人だったっす。
大和先生の魔法薬は日常的に聞いてるんで割とよく話す先生の一人っすね。種族が吸血鬼と聞いた時は驚いたっすけど。
『ま、ンなこたァどうでもいいよな!つーわけで、さっさと始めようぜ魔道戦を!!!!」
『それもそうだね。それじゃあ、入場開始だ。全員、全力で頑張るんだよ?応援、しているからね!』
唾を飲み込む音が想像以上に大きく聞こえる。
広大なフィールドに最初の一歩を踏み出す。
もうかなりの人が入場完了してるっすね…やべぇ、やっぱ無理そうな気が…
「大丈夫だぞ〜。俺たち、この二週間バッチリ練習しただろ〜?」
「そうだよ、連携だって取れるようになってきたし。」
…そうか、それもそうっすね。ここで卑屈になっても何も変わらない。それどころかむしろ、灰さんにも柚月さんにも失礼だ。
そう考えると、ちっとばかし落ち着いて来たっす。
「「「よし、」頑張ろう!」頑張るか〜。」頑張るっすよ!」
三人で思わず目が合い、なんとなく笑えて来た。最初ピッタリ合ってんのに、最後すっかりバラバラっすね。
「まぁ、俺たちらしいか〜。」
「そっすね…」
そうこうしている内に、開始のブザーがなるまで残り少なくなって来たっすね…う、腹が痛ぇっす…
『どうだお前ら、心の準備はバッチリかァ!?!?』
バッチリなワケがない、全身ガクガクのブルブルっすよ。
それでも俺が立っていられるのは、一重に二人のおかげだ。
『残りは3秒だよ。』
エルア先生の声が響く。ポーションの確認をし、いつでも使えるように蓋に手をかける。
『残り2秒だァ!!』
有馬先生は叫ぶ。杖を取り出して構え、周囲からの攻撃に備える。
『残り1秒。』
もう周りの全員が臨戦態勢だ。よく晴れた空を見上げる。固有魔法の発動準備は整った。
そしてついに、0。
『スタートだァ!!!!』
濃密な魔力が、一気にフィールドに満ちる。
魔道戦が、始まった。