【参加型】ハーミット魔道学園は今日も事件だらけのようです。
えー、今さっき起こった事をありのまま説明するっす。
何を言ってるか分からねぇと思うっすけど、俺も正直分からねぇっす。
アルカティエ先輩が、判定役である大和先生の所で、《世界一美味しい飲み物》の判定を受けようとしてたっす。
んで、見せてみろ、と大和先生に言われ。
「もちろん!!!こちらですわ!!!!」
そう言ってアルカティエ先輩が出したのがなんと…
『おーっとアルカティエ選手、自信満々に皿を突き出した…ちょい待てや、皿!?なんで皿やねんそのお題で!!!』
皿だったっす。文字通り皿。いやまぁ、何かしらは乗ってるっぽいっすけど。
え、なんで皿、とか。
液体って皿に入るモンなのか?、とか。
いや、普通はコップに入れるっすよね…?とか。
色々思ったがとりあえずひっくるめると混乱としか言いようがないっす。
そんで今に至るワケっすけど。
さしもの大和先生も困惑してるっす。そりゃそうだ。
「あー、ゾエ?コレが…世界一美味い飲みモンか?」
「そうですわ!!!」
「…悪ィが…なんだー、コレ?」
普段からうるさい…いや失礼か、コレ…失敬、声の大きい大和先生が静かな時点ですごい顔してそうな雰囲気だけは伝わってくる。
まぁそうっすよね、多分全員がワケ分かんねぇと思うっす。灰さんとか、非常に珍しい事にゲラゲラ笑ってるし。
アンタ、普段のミステリアスっぷりはどこいったんすか。
「見ての通り、ハンバーグですわ!!!」
「いやハンバーグにゃ到底見えねーよ!?そんでハンバーグが飲みモンとかてめーは何を言ってんだァ!?!?」
もうワケが分からない。当然だが、灰さんに限らず会場中が大爆笑の渦っす。
当の本人がなんで突っ込まれてるのか分からないという顔をしている所も含めてワケ分かんねぇっす。
『えー…アルカティエ選手、お題は《世界一美味しい飲み物》、持って来たのはハンバーグ…らしいんだけど…』
『…なぁアモ、我の目がおかしいんやろか…少なくともアレ、ハンバーグには見えへん…』
そだねー…名伏し難い何かに見えるねー…と、諦めたような呟きをこぼすアモさん。
いや名伏し難い何かってなんすか。SAN値直葬とかそういうアレっすか。深淵っすか。
「中々面白い事になってるな〜。けど、あのハンバーグ擬き、心なしか動いてないか〜?」
え…?嘘だろ何をどうすりゃそんな事になるんすか…?
「留歌も見るか〜?」
そう言った灰さんが生活魔法【遠見】をかけてくれた。あ、文字通り遠くが見える魔法っすよ。って、誰に言ってんすか俺は。
しっかし、マジで動いてるっすね…うわぁ…確かにアレは名伏し難い…
「あー、飲みモン…まぁ、カレーは飲みモンって言うよなー!!ならハンバーグも…その仲間…か!!!」
「有馬先生、何を言っているんですの?カレーは飲み物ではございませんわ?」
いやソコ否定するんすか。ダメだ、マジメにやってんだし笑っちゃいけねぇっす。
と分かっててもコレ、近い内に耐えられなくなる気しかしないっす。笑っちまうっすよこんなん絶対。
「うーんそうか…あーあーもういい、とりあえず失格だァ!!!ンとにてめーはよぉ、せめて次は液体を持ってこいよゾエ!!!」
「そんな!!!ハンバーグは飲み物ですわ!!!!ハンバーグを馬鹿にしないでくださいませ!!!!!」
…申し訳ないっすけど矛盾しかないっすよ、その発言。ダメだ笑っちまう。
『えー、ただいまの判決が出ました!ハンバーグモドキは失格だよー!!』
『まぁそりゃ…そうやろな…』
「こんなハズじゃなかったのにぃ…」と言いながら、トボトボと新たな飲み物を探しにいくアルカティエ先輩。
次、柚月さんが失格食らわなきゃかなり優位に立てるっすけど…
『さぁ気ぃ取り直して次や次!音崎選手のお題はなんや!?』
イズモンド先輩の掛け声と共に、柚月さんが一歩踏み出して言う。
「ぼくのお題は《ドラゴン族》です…テンペスト先輩に来てもらいました!」
「よーし!!ナキなら確かにドラゴン族だ!!!ハーフではあるがまァ、さっきのに比べりゃマシだしなー!!!!合格!!!!!」
っしゃあ!
[水平線]
道中復活した船の選手を再度眠らせたり、強そうなキメラが縛られたままの選手を担いで持って来てオッケーされたりと色々あった。
アルカティエ先輩はどうにか液体を持って来たらしく、今まさに合格と言われた所だ。
だが、その間に二人三脚のパートはなんとか柚月さんが首位でクリアしたし、パン食い競争のパートもパンまでは辿り着いたっす。
コレはいけるかもしんねぇっすね。
『さぁ第二関門を突破した柚月選手!!でも、羽も飛行魔法もないとなるとちょっと厳しいかなー!?』
『もちろん、歯で噛み付かんとダメやで!!コレはパン食い競争やからな!!!』
…最も、吊るされたパンの位置が、異常に高い事を除けば、っすけど。
ちなみに、裕に二十メートルは超えてるっす。色々スケールがデカい。
「やるしかないのかな…どうしよう…でも、やらないと追いつかれちゃうし…」
次の瞬間、意を決したかのように頷いた柚月さんの姿が一瞬ブレる。
見えなくなった、と思ったのも束の間、そこには既にパンを咥えた柚月さんが立っていた。
『おっと!?柚月選手、今何したんや!?咥えとるのは間違いなくぶら下がっとったパンやけど…』
『何したのか全く見えなかったねー!!!いやーあれ、凄すぎない!?!?』
うお、すっげぇ…でもなんも分かんねぇ…
まぁでも勝ってるし、ソレは別にいいっす。
やるしかない、って言ってたって事は、知られたくないのかもしれないし。
「よし、あとはこのままギター弾きながら走ってゴールだ…」
そう呟くと、またしてもギターを取り出す柚月さん。いや、それさっきも思ったっすけど…どこから出してんすか。
今度はクラシックっぽいようなジャズっぽいような、それでいてどこかロックのような…やっぱり不思議な音色っすね。
「いや〜、柚月は本当、ギターが上手だな〜。アイネクライネナハトムジーク、ここまで綺麗にアレンジできるのか〜。」
まさかの曲名知ってた。灰さん、博覧強記にも程がねぇっすか。
柚月さんの音楽を聴くと、後続の二人がまたしても眠っていく。
だが、毎回毎回アルカティエ先輩には効きが悪いのは何故なんすかね。
スピードは多少遅くなってこそいるが、なぜか眠ってないっす。
「[漢字] ふぁふふぃ、ふぉいふふぁふぇふ…[/漢字][ふりがな]まずい、追いつかれる…[/ふりがな]」
…柚月さん、何言ってんだかちっとも分かんねぇっす。
つってもパン咥えたまま走るとまぁ、そうなるっすよね。
「[漢字]ふぉふぁふぃふぁふぁい![/漢字][ふりがな]お待ちなさい![/ふりがな]
[漢字]ふぁふぁふふぃふぁ!![/漢字][ふりがな]わたくしが!![/ふりがな] [漢字]いふぃふぁんふぃふぁふふぉふぇふふぁ!!![/漢字][ふりがな]一番になるのですわ!!![/ふりがな]」
生憎と、俺にはふぁふぃふふぇふぉ星人語の心得はない。
まぁつまり、こっちも何言ってんだか分かんねぇって事っす。
『さぁ、ゴール前ラストスパートやで!!』
『アルカティエ選手もよくここまで食らいついて来てるねー!』
『あんだけ遅れとったのに、ほんまようやるわアホガール!!』
わたくしは阿呆なんかじゃありませんわ!次申し上げられた際はわたくしが直接手を下しに行きますわよ!!!と、相変わらず声を張り上げ、ちっとばかし物騒な事を叫びながらも、超スピードで柚月さんに接近する。
「わわわ…なんで効かないの…?」
そうか、ギター弾きながら動いてる分、柚月さんの固有魔法が効かない、となると…
「かなり不利、だな〜…」
そうっすよね…そもそも相手の身体能力も大分おかしいし、絶対絶命のピンチってヤツな気がするっす。
『速い、速すぎるぞアルカティエ選手!!あっという間に、柚月選手に追いつきそうだー!!!』
まずいな〜、と横で呟く灰さん。
ゴールまであと十メートルもない、このまま行くと負け…負け…え?
「ぐぅ…」
…寝た。アルカティエ先輩寝たっす。このタイミングでかよ。
[水平線]
『いやぁ見事なお手なみだったねー!!拍手拍手!!!第一レースの勝者は、“ギタリスト”!黒猫寮の、音崎柚月選手だー!!!』
『続く第二位は蝙蝠寮、ゾエ・アルカティエ選手やで!!!ようあの惨状から挽回しよった、こっちにも拍手喝采や!!!』
そんなアナウンスを聞きながらホッと息をつく。
途中からほぼ息止めてたっす…瞬きもしてなかったから目が痛ぇ。
「あー、疲れた…さくらんぼ、食べよっと。」
「お疲れ〜。すごい演奏だったな〜。」
応援席に戻って来た柚月さんは、まさしく疲労困憊って感じっす。
まぁ、結構な距離あるレースだったし、むしろアレ良く走り切ったっすね。
「ふふ、ありがと。」
「あ、そうだ。スポドリあるんすけど…いるっすか。キンキンっすよ。」
ぐびぐびぷはー、と軽快な音を残してスポドリが消えていく。
まぁ、魔法で冷やしたワケじゃないんすけど。クーラーボックスって便利っすね。
「でも、これで午前の競技も終わりか〜。」
「うん…結構楽しかったよね。しかも午後から魔道戦、でしょ?」
「楽しみ、だよな〜。」
そう話している二人。
まぁ、俺はそうも言ってられないワケっすけど。
「確かにそっすね…」
正直、胃が心底痛ぇっす…
だが、半分の夏空に歓声が響き渡るこの感じは…うん、まぁ案外、悪くねぇっすね。
何を言ってるか分からねぇと思うっすけど、俺も正直分からねぇっす。
アルカティエ先輩が、判定役である大和先生の所で、《世界一美味しい飲み物》の判定を受けようとしてたっす。
んで、見せてみろ、と大和先生に言われ。
「もちろん!!!こちらですわ!!!!」
そう言ってアルカティエ先輩が出したのがなんと…
『おーっとアルカティエ選手、自信満々に皿を突き出した…ちょい待てや、皿!?なんで皿やねんそのお題で!!!』
皿だったっす。文字通り皿。いやまぁ、何かしらは乗ってるっぽいっすけど。
え、なんで皿、とか。
液体って皿に入るモンなのか?、とか。
いや、普通はコップに入れるっすよね…?とか。
色々思ったがとりあえずひっくるめると混乱としか言いようがないっす。
そんで今に至るワケっすけど。
さしもの大和先生も困惑してるっす。そりゃそうだ。
「あー、ゾエ?コレが…世界一美味い飲みモンか?」
「そうですわ!!!」
「…悪ィが…なんだー、コレ?」
普段からうるさい…いや失礼か、コレ…失敬、声の大きい大和先生が静かな時点ですごい顔してそうな雰囲気だけは伝わってくる。
まぁそうっすよね、多分全員がワケ分かんねぇと思うっす。灰さんとか、非常に珍しい事にゲラゲラ笑ってるし。
アンタ、普段のミステリアスっぷりはどこいったんすか。
「見ての通り、ハンバーグですわ!!!」
「いやハンバーグにゃ到底見えねーよ!?そんでハンバーグが飲みモンとかてめーは何を言ってんだァ!?!?」
もうワケが分からない。当然だが、灰さんに限らず会場中が大爆笑の渦っす。
当の本人がなんで突っ込まれてるのか分からないという顔をしている所も含めてワケ分かんねぇっす。
『えー…アルカティエ選手、お題は《世界一美味しい飲み物》、持って来たのはハンバーグ…らしいんだけど…』
『…なぁアモ、我の目がおかしいんやろか…少なくともアレ、ハンバーグには見えへん…』
そだねー…名伏し難い何かに見えるねー…と、諦めたような呟きをこぼすアモさん。
いや名伏し難い何かってなんすか。SAN値直葬とかそういうアレっすか。深淵っすか。
「中々面白い事になってるな〜。けど、あのハンバーグ擬き、心なしか動いてないか〜?」
え…?嘘だろ何をどうすりゃそんな事になるんすか…?
「留歌も見るか〜?」
そう言った灰さんが生活魔法【遠見】をかけてくれた。あ、文字通り遠くが見える魔法っすよ。って、誰に言ってんすか俺は。
しっかし、マジで動いてるっすね…うわぁ…確かにアレは名伏し難い…
「あー、飲みモン…まぁ、カレーは飲みモンって言うよなー!!ならハンバーグも…その仲間…か!!!」
「有馬先生、何を言っているんですの?カレーは飲み物ではございませんわ?」
いやソコ否定するんすか。ダメだ、マジメにやってんだし笑っちゃいけねぇっす。
と分かっててもコレ、近い内に耐えられなくなる気しかしないっす。笑っちまうっすよこんなん絶対。
「うーんそうか…あーあーもういい、とりあえず失格だァ!!!ンとにてめーはよぉ、せめて次は液体を持ってこいよゾエ!!!」
「そんな!!!ハンバーグは飲み物ですわ!!!!ハンバーグを馬鹿にしないでくださいませ!!!!!」
…申し訳ないっすけど矛盾しかないっすよ、その発言。ダメだ笑っちまう。
『えー、ただいまの判決が出ました!ハンバーグモドキは失格だよー!!』
『まぁそりゃ…そうやろな…』
「こんなハズじゃなかったのにぃ…」と言いながら、トボトボと新たな飲み物を探しにいくアルカティエ先輩。
次、柚月さんが失格食らわなきゃかなり優位に立てるっすけど…
『さぁ気ぃ取り直して次や次!音崎選手のお題はなんや!?』
イズモンド先輩の掛け声と共に、柚月さんが一歩踏み出して言う。
「ぼくのお題は《ドラゴン族》です…テンペスト先輩に来てもらいました!」
「よーし!!ナキなら確かにドラゴン族だ!!!ハーフではあるがまァ、さっきのに比べりゃマシだしなー!!!!合格!!!!!」
っしゃあ!
[水平線]
道中復活した船の選手を再度眠らせたり、強そうなキメラが縛られたままの選手を担いで持って来てオッケーされたりと色々あった。
アルカティエ先輩はどうにか液体を持って来たらしく、今まさに合格と言われた所だ。
だが、その間に二人三脚のパートはなんとか柚月さんが首位でクリアしたし、パン食い競争のパートもパンまでは辿り着いたっす。
コレはいけるかもしんねぇっすね。
『さぁ第二関門を突破した柚月選手!!でも、羽も飛行魔法もないとなるとちょっと厳しいかなー!?』
『もちろん、歯で噛み付かんとダメやで!!コレはパン食い競争やからな!!!』
…最も、吊るされたパンの位置が、異常に高い事を除けば、っすけど。
ちなみに、裕に二十メートルは超えてるっす。色々スケールがデカい。
「やるしかないのかな…どうしよう…でも、やらないと追いつかれちゃうし…」
次の瞬間、意を決したかのように頷いた柚月さんの姿が一瞬ブレる。
見えなくなった、と思ったのも束の間、そこには既にパンを咥えた柚月さんが立っていた。
『おっと!?柚月選手、今何したんや!?咥えとるのは間違いなくぶら下がっとったパンやけど…』
『何したのか全く見えなかったねー!!!いやーあれ、凄すぎない!?!?』
うお、すっげぇ…でもなんも分かんねぇ…
まぁでも勝ってるし、ソレは別にいいっす。
やるしかない、って言ってたって事は、知られたくないのかもしれないし。
「よし、あとはこのままギター弾きながら走ってゴールだ…」
そう呟くと、またしてもギターを取り出す柚月さん。いや、それさっきも思ったっすけど…どこから出してんすか。
今度はクラシックっぽいようなジャズっぽいような、それでいてどこかロックのような…やっぱり不思議な音色っすね。
「いや〜、柚月は本当、ギターが上手だな〜。アイネクライネナハトムジーク、ここまで綺麗にアレンジできるのか〜。」
まさかの曲名知ってた。灰さん、博覧強記にも程がねぇっすか。
柚月さんの音楽を聴くと、後続の二人がまたしても眠っていく。
だが、毎回毎回アルカティエ先輩には効きが悪いのは何故なんすかね。
スピードは多少遅くなってこそいるが、なぜか眠ってないっす。
「[漢字] ふぁふふぃ、ふぉいふふぁふぇふ…[/漢字][ふりがな]まずい、追いつかれる…[/ふりがな]」
…柚月さん、何言ってんだかちっとも分かんねぇっす。
つってもパン咥えたまま走るとまぁ、そうなるっすよね。
「[漢字]ふぉふぁふぃふぁふぁい![/漢字][ふりがな]お待ちなさい![/ふりがな]
[漢字]ふぁふぁふふぃふぁ!![/漢字][ふりがな]わたくしが!![/ふりがな] [漢字]いふぃふぁんふぃふぁふふぉふぇふふぁ!!![/漢字][ふりがな]一番になるのですわ!!![/ふりがな]」
生憎と、俺にはふぁふぃふふぇふぉ星人語の心得はない。
まぁつまり、こっちも何言ってんだか分かんねぇって事っす。
『さぁ、ゴール前ラストスパートやで!!』
『アルカティエ選手もよくここまで食らいついて来てるねー!』
『あんだけ遅れとったのに、ほんまようやるわアホガール!!』
わたくしは阿呆なんかじゃありませんわ!次申し上げられた際はわたくしが直接手を下しに行きますわよ!!!と、相変わらず声を張り上げ、ちっとばかし物騒な事を叫びながらも、超スピードで柚月さんに接近する。
「わわわ…なんで効かないの…?」
そうか、ギター弾きながら動いてる分、柚月さんの固有魔法が効かない、となると…
「かなり不利、だな〜…」
そうっすよね…そもそも相手の身体能力も大分おかしいし、絶対絶命のピンチってヤツな気がするっす。
『速い、速すぎるぞアルカティエ選手!!あっという間に、柚月選手に追いつきそうだー!!!』
まずいな〜、と横で呟く灰さん。
ゴールまであと十メートルもない、このまま行くと負け…負け…え?
「ぐぅ…」
…寝た。アルカティエ先輩寝たっす。このタイミングでかよ。
[水平線]
『いやぁ見事なお手なみだったねー!!拍手拍手!!!第一レースの勝者は、“ギタリスト”!黒猫寮の、音崎柚月選手だー!!!』
『続く第二位は蝙蝠寮、ゾエ・アルカティエ選手やで!!!ようあの惨状から挽回しよった、こっちにも拍手喝采や!!!』
そんなアナウンスを聞きながらホッと息をつく。
途中からほぼ息止めてたっす…瞬きもしてなかったから目が痛ぇ。
「あー、疲れた…さくらんぼ、食べよっと。」
「お疲れ〜。すごい演奏だったな〜。」
応援席に戻って来た柚月さんは、まさしく疲労困憊って感じっす。
まぁ、結構な距離あるレースだったし、むしろアレ良く走り切ったっすね。
「ふふ、ありがと。」
「あ、そうだ。スポドリあるんすけど…いるっすか。キンキンっすよ。」
ぐびぐびぷはー、と軽快な音を残してスポドリが消えていく。
まぁ、魔法で冷やしたワケじゃないんすけど。クーラーボックスって便利っすね。
「でも、これで午前の競技も終わりか〜。」
「うん…結構楽しかったよね。しかも午後から魔道戦、でしょ?」
「楽しみ、だよな〜。」
そう話している二人。
まぁ、俺はそうも言ってられないワケっすけど。
「確かにそっすね…」
正直、胃が心底痛ぇっす…
だが、半分の夏空に歓声が響き渡るこの感じは…うん、まぁ案外、悪くねぇっすね。