【参加型】ハーミット魔道学園は今日も事件だらけのようです。
「ついに来ちまったっすね…はぁ…」
とりあえず大量に魔力ポーションは準備したし、魔法学の講義を受けた甲斐あって固有魔法を使ってすぐぶっ倒れるような事は無くなってきてるっすけど…やっぱ死ぬ気がする。というか、死ぬ自信しかないっす。
「まぁまぁ、そんな事言わずに頑張ろうよ。」
横で準備運動をしながらそう言っているのは柚月さん。ちなみに、今日の俺達の弁当は柚月さん作である。すげぇ美味そう。
「俺はいつも通りやるだけだけどな〜。案ずるより、って言うだろ〜?」
こちらは灰さん。いつもにまして臨戦体制で、使い魔の黒狐…コクって名前らしい…と一緒に杖を磨いている。
「まさか、ここまで大規模だとは思わなかったっすけど…」
そう、魔道戦は中等部と高等部でやるというだけで、魔道祭そのものや他の競技は全学部合同とかいう超弩級のイベントだったのだ。なんなんだこの学校。
『はいはーい!みんな、ちゅうもーく!これより、ハーミット魔道学園、全学部合同魔道祭を開催いたしまーす!!最初の司会はこのボク、アモ・ユタリとー?』
『アル・イズモンドでお送りするで!』
おお、あの二人っすか。よく喋る人だし、確かに向いてそうっすね。
『それではプログラム第一番、ラジオ体操や!幼稚舎と初等部のちびっ子諸君、元気よくやるんやでー?』
『大きい人達は真面目にやろうね!!』
『なんやて、マジメにやらんヤツがおるみたいな口ぶりやなぁ!』
どっと会場中に笑いが巻き起こる。
ついに、始まるんすね…
「ラジオ体操って…ここ、人間界なの?」
まぁそれは…ちっとばかし思わなくもないっすけど。
つっても、あっちの方で大学生が真面目にラジオ体操してるってのは…確かに、微妙に変な感じするっす。
「それもそうだな〜。」
ラジオ体操が終わると、次はプログラム第二番の箒レースだ。つまり、早速俺の出場種目になってしまう。
「そっか…留歌、箒の授業取ってるもんね。」
「頑張れよ〜。」
二人の声援を背に受けて、フィールドに向かう。まぁ、やれるだけは頑張るっす。俺だって一応授業で取ってんだ、全く太刀打ちできないって事はないだろう。
[水平線]
「すんません見事に大敗したっす…」
敵う!訳が!!ねぇっす!!!
むしろぶつかられないようにすんのに必死だった。なんなんすかあのスピード。揃いも揃ってスピード狂なんすか。
「あはは…お疲れ様。」
「コーヒー飲むか〜?」
ありがたくいただくっす、そう言ってカップを受け取る。…ああ、今日もコーヒーが実に美味い。
「続きまして、プログラムの第三番はー!…アレ?なんだっけ?」
「おいおい、障害物競争やろ!?あ、人にさえ当てなければどんな魔法でも使用オッケーやでっ!」
そうだったそうだった、そう言ってケラケラと笑うアモさん。いや、マイク入ってるんすけど。大丈夫なのかアレ。
「これは…灰が出場登録してるんだっけ?」
「ああ、そうだぞ〜。俺は五走だな〜。応援、してくれよ〜?」
その言葉に二人してガッツポーズで答えて見送る。実に頼もしい背中っすね。
[水平線]
『さぁ始まりました第五走!まずは高等部一年、天使族の緋勇灰選手が早速前に飛び出したぁ!』
おお…速え。羽で飛んでいるのもあってか、ひょいひょいと目の前の柱を避けていく。
「ってやべぇ、アレ!」
「うわ、本当だ…避けてー!」
トップを走っていた灰さんの目の前に柱が出て来た。あわや衝突か、と思ったが…
「っと、危ないな〜…急に飛び出してくる仕掛けまであるのか…」
それも華麗に回避。すげぇ、マジですげぇっす。
『これは芸術点たっかいなぁ!っと、そこで飛び出して来たのは三年主席!炉山満夜選手や!!』
『鴉寮の完璧生物、なんて呼ばれてるあの人だねー!どうかな、抜けるか、抜けるか…』
そんな先輩がいるんすか…あ、でも噂だけは聴いたことある気もするっすね。
その後、数秒の間デッドヒートを繰り広げる二人。だがしかし…
『うおお!アイツ、抜きよった!ここで順位逆転や、後続を取り残して一気に進んでいくー!!』
あー…抜かれたか…そう思ったのも束の間、灰さんが再度急加速した。あと数秒で、俺達の目の前にくる。
「頑張って!!ゴールはまだ先だよ、抜き返そう!!!」
柚月さんも結構な大声で声援を送っている。そうだ、応援する側が諦めちゃダメっすよね。
「いけるっすよ!!頑張れ!!!」
目の前をあっという間に通り過ぎていったが、届いてるといいっすね。
『さーて第一関門、柱地獄のその先はー?』
『第二関門、不可視の壁やで!高威力の攻撃手段がないヤツ、冷静さを欠いたヤツから脱落していくんで気ぃつけや!!』
『でも怖がって止まると置いてかれちゃうぞー!!』
うおお、これまた難易度の高そうな…
しかもさっきの炉山先輩って人、植物で体覆って完全にガードの構えだ。先を探りながら衝撃を受けないようにガードして、壁に当たったら飛び越えている。
「常に完璧。そうやないとダメやから。」
そう言いながら、的確に冷静に壁を避けていく。しかもそれが速いのなんの。
「壊せるかどうかは、一度試してみるべき、だよな〜。…魔力回路オン、出力最大だ〜!喰らい尽くせ、【暗黒】!」
対する灰さんは、闇魔法のレーザーで一気に破壊の構えだ。見えないから成功してるか分かりにくいが…
「全然当たらないな〜…って事は、さっきので全部壊せたのか〜?」
そう言っていても通常魔法の防御壁だから心許ないのか、トップスピードは出せていない。
いやぁこれ、かなり良い勝負っすね。
関門突破のテープには二人同時に辿り着いてる…やべぇ、緊張してきた…
『さぁ関門は全て突破やで!こっから先は、自分の力だけを信じて突き進むんや!』
『勝利の女神はどっちに微笑むのか!最年少か最年長か、デッドヒートの再開だー!!』
抜いた、抜かれた、抜き返した…のか?あ、ゴールしちまったっすね…
「すごいすごい!もしかしてこれ、灰が勝っちゃったんじゃない!?」
「そっすね…勝っててくれ…」
やべぇ、ものすげぇ緊張する…
『只今の結果発表だよー!第五走の一位は……』
ゴクリ、と唾を飲み込む。いつの間にか握りしめていた手が痛い。
『高等部三年、鴉寮の炉山満夜!完璧生物の伝説が、また一つ増えたー!』
『二位は高等部一年、黒猫寮の緋勇灰やで!いやぁ、まさしくタッチの差やったな…今日こそアイツに勝つヤツが出た思ったんやけど…』
ちょっとー、公正な解説しなきゃでしょー!なんてアモさんのツッコミが入って、またしても校庭が笑いに包まれる。
俺と柚月さんは、思わず顔を見合わせた。
[水平線]
「いやあ、あの人すごいな〜。まさか、走るだけであんなスピードが出せるなんて思わなかったぞ〜。」
「灰もすっごい速かったのにね…」
帰って来るなりそう言った灰さんは、言葉とは裏腹にかなり残念そうだ。そういえば、普段冷静だし俺より頭いいから忘れてたけど、この人14歳なんすよね。
「あー…でも、すげぇカッコよかったっすよ。特に、突然出てきた柱避けた辺りとか。」
「そうそう、あとレーザーも…結局全部壊せてたっぽいし、すごいよ。」
二人がかりでそう言うと、ようやく笑顔になってコーヒーを飲み始める灰さん。
『次の種目のお知らせだよー!プログラム第四番、借りモノ競走!!』
なんか急に普通だ。いやなんでっすか。
『ただの借りモノ競走やないで?なんと、二人三脚とパン食い競走の要素を取り入れとる、スーパー借りモノ競走や!』
すんません、全然普通じゃなかったっす。なんすかそれ。つーかもはや魔道関係ねぇ。
「これはぼくだね。行ってきます!」
食べていたさくらんぼを置いて手を拭き、颯爽と立ち上がった。
「行ってら〜。頑張れよ〜。」
「こっちも頑張って応援するっす。」
第一走だから、ぼくの活躍見ててよ?なんて言いながら、柚月さんは走っていった。
[水平線]
『さぁ始まったで第一走!!』
『走る、走るぞスーパーダーッシュ!まず一番に躍り出たのはー?“魔界よりいでし蛇の使い手”、蝙蝠寮の高等部二年、ゾエ・アルカティエだー!!』
『あのアホガール、今度は何を魅せてくれるんやろな!!我もちょっと楽しみになって来たで!!』
ちょっと、わたくしアホなんかじゃありませんわ!!と言いつつも、とんでもないスピードで大爆走するアルカティエ先輩。この人もどうやら有名な人らしい。
いやしっかしなんなんだあのスピード。おかしいっすよいくらなんでも。
「魔族は身体能力が高い人が多い、とは聞くけど、それにしたってかなりのものだな〜。」
それは初めて知ったっすけど。いや、でもこれは借り物競走、お題によっては逆転できるハズっす。
『コーナーを回って…一人目がお題に辿り着いたぞー!!さてさて、お題は何かなー!?』
『おっとアルカティエ選手、テーブル前で止まっとるー!さあ、後続もドンドン追いついて来たでっ!!』
柚月さんは…今三位っすね。紙取ったっすけど…止まってる?
「な、なんですの、このお題!!借り物競走じゃなかったんですの!?」
「ぼくのには普通に人書いてあるけど…お題が…難しい、かも…」
一体、どうしたんすかね。最終的に、四人の走者全員が止まってるっす。
『そう、これこそが第一の関門!「借り物」じゃなくて「借り[漢字]者/物[/漢字][ふりがな]モノ[/ふりがな]」、なんだよねー!』
『きちんとプログラムは見とかんとな?物と人、どっちのお題も入っとるで!!』
いや、にしたって長すぎる。それだけで止まるモンなんすかね…?
とりあえず大量に魔力ポーションは準備したし、魔法学の講義を受けた甲斐あって固有魔法を使ってすぐぶっ倒れるような事は無くなってきてるっすけど…やっぱ死ぬ気がする。というか、死ぬ自信しかないっす。
「まぁまぁ、そんな事言わずに頑張ろうよ。」
横で準備運動をしながらそう言っているのは柚月さん。ちなみに、今日の俺達の弁当は柚月さん作である。すげぇ美味そう。
「俺はいつも通りやるだけだけどな〜。案ずるより、って言うだろ〜?」
こちらは灰さん。いつもにまして臨戦体制で、使い魔の黒狐…コクって名前らしい…と一緒に杖を磨いている。
「まさか、ここまで大規模だとは思わなかったっすけど…」
そう、魔道戦は中等部と高等部でやるというだけで、魔道祭そのものや他の競技は全学部合同とかいう超弩級のイベントだったのだ。なんなんだこの学校。
『はいはーい!みんな、ちゅうもーく!これより、ハーミット魔道学園、全学部合同魔道祭を開催いたしまーす!!最初の司会はこのボク、アモ・ユタリとー?』
『アル・イズモンドでお送りするで!』
おお、あの二人っすか。よく喋る人だし、確かに向いてそうっすね。
『それではプログラム第一番、ラジオ体操や!幼稚舎と初等部のちびっ子諸君、元気よくやるんやでー?』
『大きい人達は真面目にやろうね!!』
『なんやて、マジメにやらんヤツがおるみたいな口ぶりやなぁ!』
どっと会場中に笑いが巻き起こる。
ついに、始まるんすね…
「ラジオ体操って…ここ、人間界なの?」
まぁそれは…ちっとばかし思わなくもないっすけど。
つっても、あっちの方で大学生が真面目にラジオ体操してるってのは…確かに、微妙に変な感じするっす。
「それもそうだな〜。」
ラジオ体操が終わると、次はプログラム第二番の箒レースだ。つまり、早速俺の出場種目になってしまう。
「そっか…留歌、箒の授業取ってるもんね。」
「頑張れよ〜。」
二人の声援を背に受けて、フィールドに向かう。まぁ、やれるだけは頑張るっす。俺だって一応授業で取ってんだ、全く太刀打ちできないって事はないだろう。
[水平線]
「すんません見事に大敗したっす…」
敵う!訳が!!ねぇっす!!!
むしろぶつかられないようにすんのに必死だった。なんなんすかあのスピード。揃いも揃ってスピード狂なんすか。
「あはは…お疲れ様。」
「コーヒー飲むか〜?」
ありがたくいただくっす、そう言ってカップを受け取る。…ああ、今日もコーヒーが実に美味い。
「続きまして、プログラムの第三番はー!…アレ?なんだっけ?」
「おいおい、障害物競争やろ!?あ、人にさえ当てなければどんな魔法でも使用オッケーやでっ!」
そうだったそうだった、そう言ってケラケラと笑うアモさん。いや、マイク入ってるんすけど。大丈夫なのかアレ。
「これは…灰が出場登録してるんだっけ?」
「ああ、そうだぞ〜。俺は五走だな〜。応援、してくれよ〜?」
その言葉に二人してガッツポーズで答えて見送る。実に頼もしい背中っすね。
[水平線]
『さぁ始まりました第五走!まずは高等部一年、天使族の緋勇灰選手が早速前に飛び出したぁ!』
おお…速え。羽で飛んでいるのもあってか、ひょいひょいと目の前の柱を避けていく。
「ってやべぇ、アレ!」
「うわ、本当だ…避けてー!」
トップを走っていた灰さんの目の前に柱が出て来た。あわや衝突か、と思ったが…
「っと、危ないな〜…急に飛び出してくる仕掛けまであるのか…」
それも華麗に回避。すげぇ、マジですげぇっす。
『これは芸術点たっかいなぁ!っと、そこで飛び出して来たのは三年主席!炉山満夜選手や!!』
『鴉寮の完璧生物、なんて呼ばれてるあの人だねー!どうかな、抜けるか、抜けるか…』
そんな先輩がいるんすか…あ、でも噂だけは聴いたことある気もするっすね。
その後、数秒の間デッドヒートを繰り広げる二人。だがしかし…
『うおお!アイツ、抜きよった!ここで順位逆転や、後続を取り残して一気に進んでいくー!!』
あー…抜かれたか…そう思ったのも束の間、灰さんが再度急加速した。あと数秒で、俺達の目の前にくる。
「頑張って!!ゴールはまだ先だよ、抜き返そう!!!」
柚月さんも結構な大声で声援を送っている。そうだ、応援する側が諦めちゃダメっすよね。
「いけるっすよ!!頑張れ!!!」
目の前をあっという間に通り過ぎていったが、届いてるといいっすね。
『さーて第一関門、柱地獄のその先はー?』
『第二関門、不可視の壁やで!高威力の攻撃手段がないヤツ、冷静さを欠いたヤツから脱落していくんで気ぃつけや!!』
『でも怖がって止まると置いてかれちゃうぞー!!』
うおお、これまた難易度の高そうな…
しかもさっきの炉山先輩って人、植物で体覆って完全にガードの構えだ。先を探りながら衝撃を受けないようにガードして、壁に当たったら飛び越えている。
「常に完璧。そうやないとダメやから。」
そう言いながら、的確に冷静に壁を避けていく。しかもそれが速いのなんの。
「壊せるかどうかは、一度試してみるべき、だよな〜。…魔力回路オン、出力最大だ〜!喰らい尽くせ、【暗黒】!」
対する灰さんは、闇魔法のレーザーで一気に破壊の構えだ。見えないから成功してるか分かりにくいが…
「全然当たらないな〜…って事は、さっきので全部壊せたのか〜?」
そう言っていても通常魔法の防御壁だから心許ないのか、トップスピードは出せていない。
いやぁこれ、かなり良い勝負っすね。
関門突破のテープには二人同時に辿り着いてる…やべぇ、緊張してきた…
『さぁ関門は全て突破やで!こっから先は、自分の力だけを信じて突き進むんや!』
『勝利の女神はどっちに微笑むのか!最年少か最年長か、デッドヒートの再開だー!!』
抜いた、抜かれた、抜き返した…のか?あ、ゴールしちまったっすね…
「すごいすごい!もしかしてこれ、灰が勝っちゃったんじゃない!?」
「そっすね…勝っててくれ…」
やべぇ、ものすげぇ緊張する…
『只今の結果発表だよー!第五走の一位は……』
ゴクリ、と唾を飲み込む。いつの間にか握りしめていた手が痛い。
『高等部三年、鴉寮の炉山満夜!完璧生物の伝説が、また一つ増えたー!』
『二位は高等部一年、黒猫寮の緋勇灰やで!いやぁ、まさしくタッチの差やったな…今日こそアイツに勝つヤツが出た思ったんやけど…』
ちょっとー、公正な解説しなきゃでしょー!なんてアモさんのツッコミが入って、またしても校庭が笑いに包まれる。
俺と柚月さんは、思わず顔を見合わせた。
[水平線]
「いやあ、あの人すごいな〜。まさか、走るだけであんなスピードが出せるなんて思わなかったぞ〜。」
「灰もすっごい速かったのにね…」
帰って来るなりそう言った灰さんは、言葉とは裏腹にかなり残念そうだ。そういえば、普段冷静だし俺より頭いいから忘れてたけど、この人14歳なんすよね。
「あー…でも、すげぇカッコよかったっすよ。特に、突然出てきた柱避けた辺りとか。」
「そうそう、あとレーザーも…結局全部壊せてたっぽいし、すごいよ。」
二人がかりでそう言うと、ようやく笑顔になってコーヒーを飲み始める灰さん。
『次の種目のお知らせだよー!プログラム第四番、借りモノ競走!!』
なんか急に普通だ。いやなんでっすか。
『ただの借りモノ競走やないで?なんと、二人三脚とパン食い競走の要素を取り入れとる、スーパー借りモノ競走や!』
すんません、全然普通じゃなかったっす。なんすかそれ。つーかもはや魔道関係ねぇ。
「これはぼくだね。行ってきます!」
食べていたさくらんぼを置いて手を拭き、颯爽と立ち上がった。
「行ってら〜。頑張れよ〜。」
「こっちも頑張って応援するっす。」
第一走だから、ぼくの活躍見ててよ?なんて言いながら、柚月さんは走っていった。
[水平線]
『さぁ始まったで第一走!!』
『走る、走るぞスーパーダーッシュ!まず一番に躍り出たのはー?“魔界よりいでし蛇の使い手”、蝙蝠寮の高等部二年、ゾエ・アルカティエだー!!』
『あのアホガール、今度は何を魅せてくれるんやろな!!我もちょっと楽しみになって来たで!!』
ちょっと、わたくしアホなんかじゃありませんわ!!と言いつつも、とんでもないスピードで大爆走するアルカティエ先輩。この人もどうやら有名な人らしい。
いやしっかしなんなんだあのスピード。おかしいっすよいくらなんでも。
「魔族は身体能力が高い人が多い、とは聞くけど、それにしたってかなりのものだな〜。」
それは初めて知ったっすけど。いや、でもこれは借り物競走、お題によっては逆転できるハズっす。
『コーナーを回って…一人目がお題に辿り着いたぞー!!さてさて、お題は何かなー!?』
『おっとアルカティエ選手、テーブル前で止まっとるー!さあ、後続もドンドン追いついて来たでっ!!』
柚月さんは…今三位っすね。紙取ったっすけど…止まってる?
「な、なんですの、このお題!!借り物競走じゃなかったんですの!?」
「ぼくのには普通に人書いてあるけど…お題が…難しい、かも…」
一体、どうしたんすかね。最終的に、四人の走者全員が止まってるっす。
『そう、これこそが第一の関門!「借り物」じゃなくて「借り[漢字]者/物[/漢字][ふりがな]モノ[/ふりがな]」、なんだよねー!』
『きちんとプログラムは見とかんとな?物と人、どっちのお題も入っとるで!!』
いや、にしたって長すぎる。それだけで止まるモンなんすかね…?