蛇少年を拾った俺の毎日
[中央寄せ][漢字]汰異怪[/漢字][ふりがな]たいけ[/ふりがな]side[/中央寄せ]
[右寄せ]「んー、んー……」[/右寄せ]
……あれ、なんかいるかな…
こんな夜に…珍し…
[右寄せ]「んーっ、んー………」[/右寄せ]
…子供、かな…
汰異怪「おーい、こんな夜中に危ないよ〜」
[右寄せ]「んっ、んっ」[/右寄せ]
汰異怪「……聞いてる?」
[右寄せ]「んぅぅー…」[/右寄せ]
……何かが詰まって喋れないのだろうか。
汰異怪「…ごめんね、今すぐそっちへ行くから…」
「んん!」
……蛇?
汰異怪「わぁ、すごいね…?」
「んー!」
そう蛇の少年は俺のコートを掴みながら何かを訴えかける。
汰異怪「……お母さんは?お父さんは?」
「…ん、ん。」
ゆっくり首を振る。
……駄目だ、こんなまだ将来の希望を背負った少年を見捨てるなんて…
…まぁ、最初っから俺には「見つける」選択肢はあっても「見捨てる」なんて選択肢はないけどさ。
……早く両親を見つけてあげないと…この子は…
汰異怪「…じゃあ、お兄ちゃんと一緒に行こうか?」
「…!ん!ん!」
嬉しそうに頷く。
頭をちょっと撫でてあげてから少し問いかけてみた。
汰異怪「…お母さんとお父さんと、最後に一緒にいたのはいつ?」
「………んぅ…?」
汰異怪「分かんない…?」
「………ん…。」
…可哀想に、もしかして捨てられちゃったりしたの…?
汰異怪「…うん、分かった。寒かったでしょ?俺ん家にまず行こっか」
「んーーー!!」
元気な声をあげた後、ゆっくりこの子のペースで家に向かった。
汰異怪「ただいまー!!!!」
[漢字]雫異夜[/漢字][ふりがな]だいや[/ふりがな]「おかえり!ちょっと遅かったね」
汰異怪「あ、うん…色々あってさ」
雫異夜「え?」
雫異夜「……ちょ、えぇ…!?」
「ん、んん…?」
汰異怪「この子喋れないみたいなんだよね、喋らせるくらいまでは居させてもいいよね?」
雫異夜「え、あ〜……」
汰異怪「いいよね」
雫異夜「…まぁ…いいんじゃない…?」
汰異怪「ありがと!じゃあ行こっか?」
「ん〜!」
雫異夜「………危険な子だったらどうするの?」
汰異怪「その時はその時次第。何事もね」
雫異夜「……汰異怪らし…」
[漢字]奈々[/漢字][ふりがな]なな[/ふりがな]「どしたよ?」
雫異夜「ほら、あれ…」
奈々「…ホエ……」
雫異夜「ほら汰異怪奈々が思考停止した!!!!!!((((」
汰異怪「奈々のアーッホ!!!(((」
奈々「ハァッ!?(((」
汰異怪「んー………」
「ん…?」
汰異怪「これ、どうやって取るんだろ…」
「………?」
汰異怪「……蛇…だからなぁ…」
「…ん…ー」
口元を触ってみる。
……あれ?これシール?
「ん!…ん……!!」
汰異怪「あ、ごめん…痛い…?」
「ん〜ん〜。」
……痛いけどやっていいよ…ってことかな…
…まぁ…跡が残っちゃったらラヴに治してもらえればいいしやるかなぁ…
汰異怪「ん……」
こんなの朝飯前…だけど…難しいな…痛みをなるべく軽減って…
ベリッ
「んーーー!!!」
汰異怪「あぁごめんごめん…!!大丈夫…?」
「……だいょー…ぶ…」
…喋りにくそう。まぁ、当たり前かな…?
汰異怪「……あ、そうだ名前言ってなかったね。俺[太字][漢字]喜内[/漢字][ふりがな]きない[/ふりがな] 汰異怪[/太字]。」
「たぁいけ…」
汰異怪「うん!」
「…僕、永蛇…[太字][漢字]堺 永蛇[/漢字][ふりがな]さかい えいじゃ[/ふりがな][/太字]」
汰異怪「…永蛇…」
永蛇「…」
汰異怪「…ぉえ…?」
ぎゅっ、と抱きつかれる。
永蛇「あり、がと……[小文字]ございます…[/小文字]」
弱々しいけど、決意のこもった声で。
汰異怪「………うん、今日はここで寝ていきなよ?」
永蛇「………はい!」
―1日目 . End