二次創作
東方願い井戸 〜 少女と少年の繋いだ未来
迷いの竹林。どこまでも青々とした竹が静かにざわめくそのただ中で、人間の里の守護者である二人が言葉を交わしていた。
「――それでね、妹紅。最近の里の子供たちは、なんだか少しそわそわしているように見えるんだ。何か隠し事でもしているような……」
上白沢慧音(かみしらさわ けいね)は、寺子屋の生徒たちの顔を思い浮かべるように、少し心配そうに眉をひそめた。
「はは、慧音は心配性だな。子供なんてそんなもんだろ。悪ガキどもが何か企んでるくらいが、元気があって丁度いいさ」
藤原妹紅(ふじわらの もこう)は、いつものようにポケットに両手を突っ込んだまま、他愛のないことだと笑い飛ばす。
二人は、人間の里の人間たちを心から愛し、その成長をずっと見守ってきた。だからこそ、その雑談はどこまでも穏やかで、温かいものだった。
しかし、その平穏な空気は、竹の葉を分ける複数の足音によって突如として破られた。
ザザッ、と緑の奥から姿を現したのは、しっかりと互いの手を握りしめ、強い決意を瞳に宿した少年少女たち――黒葛野 翔我(つづらの しょうが)たちの姿だった。
「……翔我? 雛鶴姫も、みんな……どうしてこんな危険な場所にいるんだ?」
慧音が驚きに目を見開く。
彼女たちにとって、目の前にいる子供たちはただの「異変の犯人」ではなかった。
翔我も、押領司 皇子(おうりょうじ おうじ)も、苅萱 茉莉花(かるかや まつりか)も、全員が慧音の寺子屋で歴史や里の行く末を学んできた、大切な教え子たちだった。そして隣にいる妹紅もまた、彼らが幼い頃から里の近くで一緒に泥だらけになって遊んでくれた、親しみ深い近所のお姉さんのような存在だったのだ。
「慧音先生、それに……妹紅姉ちゃん」
皇子がぽつりと呟く。かつて慕い、自分たちをずっと守ってくれていた大人たち。その優しさを知っているからこそ、一瞬だけ全員の足が鈍る。
「……へえ、驚いたな」
妹紅がゆっくりと目を細め、彼らの繋がれた手と、そこから溢れ出る尋常ならざる魔力を見つめた。
「里の結界を騒がせてるっていう『異変』の正体、まさかお前らだったとはね」
「戻りなさい、みんな!」
慧音が厳格な、けれど引き裂かれそうなほど心配に満ちた声を張り上げた。
「あなたたちのしていることは、幻想郷の、そして人間の里の秩序を乱す行為です。先生として、これ以上先へ進ませるわけにはいきません!」
下水流 楓鈴(しもづる ふうりん)が草牟田 呼子(そうむた よびこ)の手を握り直す。その隣で、翔我は茶屋道 雛鶴姫(ちゃやみち ひなづるひめ)の手を強く握り返し、一歩前に出た。その目は、かつて寺子屋で授業を受けていた「子供」のものではなかった。
「……戻らないよ、先生」
翔我が真っ直ぐな視線で慧音を見つめる。
「俺たちはもう、ただ守られて、ただここで一生を終えるだけの存在でいたくないんだ。俺たちの力で、あの結界の先へ行く」
かつての恩師と、かつての遊び相手。
交わされる視線の中に、かつての温かい記憶と、今現在の譲れない覚悟が激しく火花を散らす。迷いの竹林の静寂を破り、避けては通れない、哀しくも熱い闘いの幕が上がろうとしていた。
「――それでね、妹紅。最近の里の子供たちは、なんだか少しそわそわしているように見えるんだ。何か隠し事でもしているような……」
上白沢慧音(かみしらさわ けいね)は、寺子屋の生徒たちの顔を思い浮かべるように、少し心配そうに眉をひそめた。
「はは、慧音は心配性だな。子供なんてそんなもんだろ。悪ガキどもが何か企んでるくらいが、元気があって丁度いいさ」
藤原妹紅(ふじわらの もこう)は、いつものようにポケットに両手を突っ込んだまま、他愛のないことだと笑い飛ばす。
二人は、人間の里の人間たちを心から愛し、その成長をずっと見守ってきた。だからこそ、その雑談はどこまでも穏やかで、温かいものだった。
しかし、その平穏な空気は、竹の葉を分ける複数の足音によって突如として破られた。
ザザッ、と緑の奥から姿を現したのは、しっかりと互いの手を握りしめ、強い決意を瞳に宿した少年少女たち――黒葛野 翔我(つづらの しょうが)たちの姿だった。
「……翔我? 雛鶴姫も、みんな……どうしてこんな危険な場所にいるんだ?」
慧音が驚きに目を見開く。
彼女たちにとって、目の前にいる子供たちはただの「異変の犯人」ではなかった。
翔我も、押領司 皇子(おうりょうじ おうじ)も、苅萱 茉莉花(かるかや まつりか)も、全員が慧音の寺子屋で歴史や里の行く末を学んできた、大切な教え子たちだった。そして隣にいる妹紅もまた、彼らが幼い頃から里の近くで一緒に泥だらけになって遊んでくれた、親しみ深い近所のお姉さんのような存在だったのだ。
「慧音先生、それに……妹紅姉ちゃん」
皇子がぽつりと呟く。かつて慕い、自分たちをずっと守ってくれていた大人たち。その優しさを知っているからこそ、一瞬だけ全員の足が鈍る。
「……へえ、驚いたな」
妹紅がゆっくりと目を細め、彼らの繋がれた手と、そこから溢れ出る尋常ならざる魔力を見つめた。
「里の結界を騒がせてるっていう『異変』の正体、まさかお前らだったとはね」
「戻りなさい、みんな!」
慧音が厳格な、けれど引き裂かれそうなほど心配に満ちた声を張り上げた。
「あなたたちのしていることは、幻想郷の、そして人間の里の秩序を乱す行為です。先生として、これ以上先へ進ませるわけにはいきません!」
下水流 楓鈴(しもづる ふうりん)が草牟田 呼子(そうむた よびこ)の手を握り直す。その隣で、翔我は茶屋道 雛鶴姫(ちゃやみち ひなづるひめ)の手を強く握り返し、一歩前に出た。その目は、かつて寺子屋で授業を受けていた「子供」のものではなかった。
「……戻らないよ、先生」
翔我が真っ直ぐな視線で慧音を見つめる。
「俺たちはもう、ただ守られて、ただここで一生を終えるだけの存在でいたくないんだ。俺たちの力で、あの結界の先へ行く」
かつての恩師と、かつての遊び相手。
交わされる視線の中に、かつての温かい記憶と、今現在の譲れない覚悟が激しく火花を散らす。迷いの竹林の静寂を破り、避けては通れない、哀しくも熱い闘いの幕が上がろうとしていた。