二次創作
東方願い井戸 〜 少女と少年の繋いだ未来
「あーあ。今日も平和ねぇ」
博麗神社の縁側で、博麗 霊夢(はくれい れいむ)は湯呑みを片手に大きなあくびを噛み殺していた。
初夏の風が境内の新緑を揺らし、蝉の声が静かに響く。いつもなら妖怪が暴れてお札を投げつけている時間だが、ここ数日は驚くほどに平穏な日々が続いていた。
「おい霊夢、お前のところのお茶は相変わらず出がらしだな」
境内の広場でミニ八卦炉の手入れをしていた霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)が、不満そうに声を上げる。
「文句があるなら自分で魔法の森から持ってきなさいよ。ただでさえ最近は賽銭箱が空っぽなんだから、上等なお茶なんて出せるわけないでしょ」
霊夢がのんびりと湯呑みに口をつけた、その時だった。
「あら、そんなに退屈しているなら、少し体を動かすようなお仕事をあげましょうか?」
何もない空間が、まるで布をハサミで切り裂いたかのようにぐにゃりと開いた。
無数の不気味な瞳が覗くその「隙間」から、日傘を優雅に差した八雲 紫(やくも ゆかり)が姿を現す。
「紫……。あんたが直々にここに来るなんて、ろくなことじゃないわね」
霊夢は面倒くさそうに眉をひそめ、魔理沙は手元のアスタリスク(八卦炉)を素早く懐に収めて立ち上がった。
「珍しく慌てた顔じゃないか。何か面白いことでも起きたのか?」
紫は扇で口元を隠し、その妖しい瞳を人間の里がある方向へと向けた。
「面白い、か。そうね、あなたたちにとっては少々骨が折れる事態かもしれないわ。――新たな『異変』が起きたのよ」
「異変?」
霊夢が怪訝な声を出す。ここ数日、強力な妖怪が動いた気配も、神々が喧嘩を始めた兆候もなかったはずだ。
「ええ。博麗大結界の端、人間の里の境界付近の魔力が異常なほどに乱高下しているわ。空間が歪み、法則が書き換えられようとしている。それも、大妖怪の手によるものではない……もっと別の、おぞましくも強力な『純粋な力』によってね」
紫の言葉に、霊夢の目からいつもの緩さが消え、鋭い巫女の光が宿った。
「里の近くね……。放っておいたら、人間に被害が出るかもしれない。魔理沙、行くわよ」
「へへっ、待ってましただぜ! 腕が鳴るな!」
魔理沙が箒に跨がり、霊夢が御幣を握りしめる。
退屈だった博麗神社に突如としてもたらされた、正体不明の異変。それが、かつて自分たちの授業を受けていた里の子供たちが引き起こしたものだとは、この時の二人はまだ知る由もなかった。
博麗神社の縁側で、博麗 霊夢(はくれい れいむ)は湯呑みを片手に大きなあくびを噛み殺していた。
初夏の風が境内の新緑を揺らし、蝉の声が静かに響く。いつもなら妖怪が暴れてお札を投げつけている時間だが、ここ数日は驚くほどに平穏な日々が続いていた。
「おい霊夢、お前のところのお茶は相変わらず出がらしだな」
境内の広場でミニ八卦炉の手入れをしていた霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)が、不満そうに声を上げる。
「文句があるなら自分で魔法の森から持ってきなさいよ。ただでさえ最近は賽銭箱が空っぽなんだから、上等なお茶なんて出せるわけないでしょ」
霊夢がのんびりと湯呑みに口をつけた、その時だった。
「あら、そんなに退屈しているなら、少し体を動かすようなお仕事をあげましょうか?」
何もない空間が、まるで布をハサミで切り裂いたかのようにぐにゃりと開いた。
無数の不気味な瞳が覗くその「隙間」から、日傘を優雅に差した八雲 紫(やくも ゆかり)が姿を現す。
「紫……。あんたが直々にここに来るなんて、ろくなことじゃないわね」
霊夢は面倒くさそうに眉をひそめ、魔理沙は手元のアスタリスク(八卦炉)を素早く懐に収めて立ち上がった。
「珍しく慌てた顔じゃないか。何か面白いことでも起きたのか?」
紫は扇で口元を隠し、その妖しい瞳を人間の里がある方向へと向けた。
「面白い、か。そうね、あなたたちにとっては少々骨が折れる事態かもしれないわ。――新たな『異変』が起きたのよ」
「異変?」
霊夢が怪訝な声を出す。ここ数日、強力な妖怪が動いた気配も、神々が喧嘩を始めた兆候もなかったはずだ。
「ええ。博麗大結界の端、人間の里の境界付近の魔力が異常なほどに乱高下しているわ。空間が歪み、法則が書き換えられようとしている。それも、大妖怪の手によるものではない……もっと別の、おぞましくも強力な『純粋な力』によってね」
紫の言葉に、霊夢の目からいつもの緩さが消え、鋭い巫女の光が宿った。
「里の近くね……。放っておいたら、人間に被害が出るかもしれない。魔理沙、行くわよ」
「へへっ、待ってましただぜ! 腕が鳴るな!」
魔理沙が箒に跨がり、霊夢が御幣を握りしめる。
退屈だった博麗神社に突如としてもたらされた、正体不明の異変。それが、かつて自分たちの授業を受けていた里の子供たちが引き起こしたものだとは、この時の二人はまだ知る由もなかった。