二次創作
東方願い井戸 〜 少女と少年の繋いだ未来
博麗大結界の最深部に、激しい火花と魔力の残光が飛び散る。
神隠しの生存者たちが放つ、神をも凌駕する絶大な力。しかし、同じ人間である黒葛野 翔我(つづらの しょうが)たちを「傷つけたくない」という迷いが生じた瞬間から、彼らの完璧な連携には僅かな綻びが生まれていた。
その隙を、幻想郷の空を飛び慣れた二人が見逃すはずがない。
「魔理沙、そこを狙いなさい!」
博麗 霊夢(はくれい れいむ)が鋭く指示を飛ばし、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)が箒の速度をさらに上げた。
「おう! どんなに強い力だろうが、迷いのある弾幕なんて怖かねぇぜ!」
【恋符】『マスタースパーク』
極大の光条が、野本 章(のもと あきら)と月影 好輝(つきがけ こうき)の足元を正確に撃ち抜く。勝敗を操る【詐符】『デッドエンド・マスカレード』の術式が、魔理沙の圧倒的な火力によって強引に押し切られ、生存者たちの陣形が大きく崩れ始めた。
「くっ……まさか、私たちが押し負けるなんて……!」
サイネリア・フォスター・上舞(かんまい)が、桑木野 政治郎(くわきの まさじろう)の手を必死に握り締めながら息を荒くする。どれほど時間を巻き戻そうとも、どれほど能力を無効化しようとも、翔我たちの捨て身の突撃と霊夢たちの容赦ない波状攻撃の前に、徐々に形勢が逆転していく。自分たちが負けつつあるという現実に、6人の表情に焦燥が走った。
復讐の狂気と「人間を傷つけたくない」という葛藤の狭間で、勘解由小路 絵芽奈琉土(かでのこうじ えめなるど)と今給黎 洋次(いまきいれ ひろつぐ)の弾幕も精彩を欠いていく。
その時、前線を突き進む翔我が、繋いだ茶屋道 雛鶴姫(ちゃやみち ひなづるひめ)の手から溢れる力を限界まで引き出し、魂を震わせるような声を張り上げた。
「目を覚ませ!! お前たちは、今外に出ても危害を及ぼす悪神と一緒だ!!!」
その言葉は、雷鳴のように6人の脳裏に轟いた。
「悪神――」
その一言で、章たちの思考がピタリと止まる。自分たちは理不尽に人生を奪われた被害者だったはずだ。ただ、あの温かくて華やかな、当たり前の人間の世界に帰りたかっただけだった。それなのに、今の自分たちはどうだ。凄まじい力に身を任せ、復讐のために幻想郷を壊し、罪のない里の子供たちを恐怖に陥れている。その姿は、かつて自分たちを奈落の底へ突き落とした、あの理不尽な妖怪や結界の管理者と一体何が違うというのか。
ハッと我に返り、6人の動きが完全に止まった。繋がれた手から伝わる殺気が、一瞬にして霧散する。
「そこよ!!」
霊夢はその決定的な好機を見逃さなかった。大気を味方につけ、無数の色鮮やかな陰陽玉と魔力の結界が、生存者たちの周囲を完全に包み込む。
【夢想】『夢想封印』
絶対的な五色の光弾が、優しく、けれど抗いようのない力で6人の身体を包み込み、その強大すぎる力を包み込むようにして精神を鎮めていった。轟音と共に、最深部に光の柱が立ち上り――そして、静かに戦闘の幕が降りた。
静寂が戻った空間。
神隠しの生存者たちは、全員がその場に膝をついていた。しかし、博麗の巫女の手加減によって、彼らの身に大きな怪我はなかった。そして何より、彼らが必死の思いで手に入れた「神をも凌駕する能力」は、敗北した後も消え去ることなく、その身体の中にしっかりと息づいていた。もちろん、それを迎え撃った翔我たちの能力も失われてはいない。
リーダー格である野本章は、繋いでいた好輝の手をそっと緩めると、ゆっくりと立ち上がり、深く頭を下げた。
「……申し訳、ありませんでした」
その声には、先ほどまでの冷徹な狂気はなく、外の世界でマジシャンを目指していた頃のような、一人の青年としての実直さが戻っていた。
「私たちは、ただ……奪われた人生を取り戻したくて、周りが見えなくなっていました。同じ人間のあなたたちに牙を剥き、あまつさえ世界を壊そうとするなんて、本当に、どうかしていました」
最年長であるサイネリアも、政治郎に支えられながら、どこか晴れ晴れとした、けれど申し訳なさそうな表情で霊夢たちと翔我たちを見つめる。絵芽奈琉土も洋次も、静かに俯いて己の過ちを受け入れていた。
彼らが犯したことは決して許されることではないかもしれない。しかし、その根底にあるのはどこまでも純粋な「人間としての願い」だった。深く頭を下げる彼らの姿に、翔我たちは静かに武器を収め、同じ力を宿す人間として、その謝罪を真っ直ぐに受け止めるのだった。
神隠しの生存者たちが放つ、神をも凌駕する絶大な力。しかし、同じ人間である黒葛野 翔我(つづらの しょうが)たちを「傷つけたくない」という迷いが生じた瞬間から、彼らの完璧な連携には僅かな綻びが生まれていた。
その隙を、幻想郷の空を飛び慣れた二人が見逃すはずがない。
「魔理沙、そこを狙いなさい!」
博麗 霊夢(はくれい れいむ)が鋭く指示を飛ばし、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)が箒の速度をさらに上げた。
「おう! どんなに強い力だろうが、迷いのある弾幕なんて怖かねぇぜ!」
【恋符】『マスタースパーク』
極大の光条が、野本 章(のもと あきら)と月影 好輝(つきがけ こうき)の足元を正確に撃ち抜く。勝敗を操る【詐符】『デッドエンド・マスカレード』の術式が、魔理沙の圧倒的な火力によって強引に押し切られ、生存者たちの陣形が大きく崩れ始めた。
「くっ……まさか、私たちが押し負けるなんて……!」
サイネリア・フォスター・上舞(かんまい)が、桑木野 政治郎(くわきの まさじろう)の手を必死に握り締めながら息を荒くする。どれほど時間を巻き戻そうとも、どれほど能力を無効化しようとも、翔我たちの捨て身の突撃と霊夢たちの容赦ない波状攻撃の前に、徐々に形勢が逆転していく。自分たちが負けつつあるという現実に、6人の表情に焦燥が走った。
復讐の狂気と「人間を傷つけたくない」という葛藤の狭間で、勘解由小路 絵芽奈琉土(かでのこうじ えめなるど)と今給黎 洋次(いまきいれ ひろつぐ)の弾幕も精彩を欠いていく。
その時、前線を突き進む翔我が、繋いだ茶屋道 雛鶴姫(ちゃやみち ひなづるひめ)の手から溢れる力を限界まで引き出し、魂を震わせるような声を張り上げた。
「目を覚ませ!! お前たちは、今外に出ても危害を及ぼす悪神と一緒だ!!!」
その言葉は、雷鳴のように6人の脳裏に轟いた。
「悪神――」
その一言で、章たちの思考がピタリと止まる。自分たちは理不尽に人生を奪われた被害者だったはずだ。ただ、あの温かくて華やかな、当たり前の人間の世界に帰りたかっただけだった。それなのに、今の自分たちはどうだ。凄まじい力に身を任せ、復讐のために幻想郷を壊し、罪のない里の子供たちを恐怖に陥れている。その姿は、かつて自分たちを奈落の底へ突き落とした、あの理不尽な妖怪や結界の管理者と一体何が違うというのか。
ハッと我に返り、6人の動きが完全に止まった。繋がれた手から伝わる殺気が、一瞬にして霧散する。
「そこよ!!」
霊夢はその決定的な好機を見逃さなかった。大気を味方につけ、無数の色鮮やかな陰陽玉と魔力の結界が、生存者たちの周囲を完全に包み込む。
【夢想】『夢想封印』
絶対的な五色の光弾が、優しく、けれど抗いようのない力で6人の身体を包み込み、その強大すぎる力を包み込むようにして精神を鎮めていった。轟音と共に、最深部に光の柱が立ち上り――そして、静かに戦闘の幕が降りた。
静寂が戻った空間。
神隠しの生存者たちは、全員がその場に膝をついていた。しかし、博麗の巫女の手加減によって、彼らの身に大きな怪我はなかった。そして何より、彼らが必死の思いで手に入れた「神をも凌駕する能力」は、敗北した後も消え去ることなく、その身体の中にしっかりと息づいていた。もちろん、それを迎え撃った翔我たちの能力も失われてはいない。
リーダー格である野本章は、繋いでいた好輝の手をそっと緩めると、ゆっくりと立ち上がり、深く頭を下げた。
「……申し訳、ありませんでした」
その声には、先ほどまでの冷徹な狂気はなく、外の世界でマジシャンを目指していた頃のような、一人の青年としての実直さが戻っていた。
「私たちは、ただ……奪われた人生を取り戻したくて、周りが見えなくなっていました。同じ人間のあなたたちに牙を剥き、あまつさえ世界を壊そうとするなんて、本当に、どうかしていました」
最年長であるサイネリアも、政治郎に支えられながら、どこか晴れ晴れとした、けれど申し訳なさそうな表情で霊夢たちと翔我たちを見つめる。絵芽奈琉土も洋次も、静かに俯いて己の過ちを受け入れていた。
彼らが犯したことは決して許されることではないかもしれない。しかし、その根底にあるのはどこまでも純粋な「人間としての願い」だった。深く頭を下げる彼らの姿に、翔我たちは静かに武器を収め、同じ力を宿す人間として、その謝罪を真っ直ぐに受け止めるのだった。