二次創作
東方願い井戸 〜 少女と少年の繋いだ未来
「……おい霊夢、何か思い出したのか?」
横を疾走する魔理沙が、帽子のつばを抑えながらニヤリと笑った。霊夢の横顔に、いつもの「仕事」として異変を解決するときとは違う、どこか個人的で熱い感情が宿っているのを見抜いたのだ。
だが、魔理沙はそれ以上は何も聞かなかった。
「ま、いいさ! わけありなんだろ? 今はあいつらを死なせないのが先決だ。いくぜ!」
光と闇が狂ったように渦巻く大結界の最深部。満身創痍の黒葛野 翔我(つづらの しょうが)たちの前に、霊夢と魔理沙が彗星のごとく躍り出た。
「なっ……博麗の巫女!?」
皇子が驚愕の声を上げる。自分たちの異変を止めに来たはずの最強の二人が、なぜか自分たちを背に庇うようにして、八雲 紫(やくも ゆかり)と八雲 藍(やくも らん)に向けて武器を構えたからだ。
「あんたたち、よくここまで持ち堪えたわね」
霊夢が御幣を翻し、紫の『結界「客観結界」』の隙間を鋭く見抜く。
「霊夢、お前……」
翔我が息を切らせながらその背中を見つめた。その凛とした佇まいに、脳裏の片隅にあった「あの日の夕暮れにお団子をくれた女の子」の面影が、はっきりと重なった。
「思い出した? 翔我」
霊夢は振り返らずに、不敵に、けれどどこか嬉しそうに微笑んだ。
「約束通り、本気の勝負……といきたいところだけど、まずはあの大妖怪を引っ込めるのが先よ。手を貸しなさい!」
「……応ッ!」
翔我の瞳に再び火が灯る。隣の雛鶴姫も、その想いに応えるように治癒の光を翔我へと注ぎ込んだ。
「おいおい、私を置いてけぼりにするなよな!」
魔理沙がミニ八卦炉を構え、天に向けて凄まじい魔力を収束させる。
ここから、人間たちの反撃が始まった。
人間の里をずっと見守り、全員の名前と能力を把握している霊夢が、的確に指示を出す。
「下水流(しもづる)! 空間の歪みを左へ回して! 押領司(おうりょうじ)と苅萱(かるかや)は藍の弾道を上空へ弾く! 草牟田(そうむた)は紫の足元を狙いなさい!」
「了解!」
「任せて!」
霊夢の指揮により、ばらばらになりかけていた6人の能力が、再び完璧な歯車となって噛み合う。
「魔理沙、一気にいくわよ!」
「待ってましただぜ!」
魔理沙が愛用の箒を蹴り、まばゆい極大の光線を放つ。
【恋符】『マスタースパーク』
七色の光流が藍の『式輝「四面楚歌の式」』を正面から消し飛ばし、その光の道を進む霊夢が、お札と陰陽玉を無数に展開した。
【夢符】『封魔陣』
空間を固定し、紫の隙間を一時的に封じ込める。そこへ、翔我と雛鶴姫が限界を超えて肉薄した。
【二人合体技】『ゼロ・グラビティ・サンクチュアリ』
翔我の無力化の領域が、霊夢の結界術と完全に同調する。霊夢の魔力を上乗せされた翔私の右手は、紫が放った防壁の境界を、ガラスのようにパリィンと粉砕した。
「茉莉花、今だ!」
皇子が茉莉花を抱えて最深部の空へと爆発的に加速する。
【二人合体技】『ハイパー・ストラトス・バースト』
茉莉花が極限まで強化した渾身の弾幕が、魔理沙のマスタースパークの光芒と混ざり合い、巨大な光の濁流となって紫と藍を飲み込んでいった。
――凄まじい光と爆音のあと。
立ち込める煙の向こう側で、紫はゆっくりと日傘を閉じ、ふぅ、と小さく溜息をついた。その衣服には微かに煤がついており、隣の藍も息を整えている。
「あら……。まさかの負けちゃうなんてね……」
紫は悔しがる風でもなく、どこか満足げに、そして妖しく微笑んだ。
人間の巫女と魔法使い、そして檻から飛び出そうとする若き力。その二つが交わったとき、大妖怪の境界をも打ち破る、本物の「奇跡」が起きたのだ。
「おい、やったな霊夢!」
魔理沙が笑いながら近づいてくる。翔我たちは一斉にへたり込みながらも、奇跡の勝利に湧き立っていた。
「……ところでよ。あいつら、一体どこの誰なんだ?」
頭を掻きながら尋ねる魔理沙に、茉莉花がちょっと呆れたように前髪を直して言った。
「やっぱり、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)は私たちのことなんて知らないわよね。私は苅萱茉莉花。……一応、あなたの活躍は新聞でいつも解析してたんだけどね」
「へ? 私の名前知ってんのか?」
不思議そうにする魔理沙を横目に、翔我は霊夢と視線を交わし、ニッと不敵に笑い合った。繋いだ手から伝わる体温は、今や勝利の熱さに満ちあふれていた。
横を疾走する魔理沙が、帽子のつばを抑えながらニヤリと笑った。霊夢の横顔に、いつもの「仕事」として異変を解決するときとは違う、どこか個人的で熱い感情が宿っているのを見抜いたのだ。
だが、魔理沙はそれ以上は何も聞かなかった。
「ま、いいさ! わけありなんだろ? 今はあいつらを死なせないのが先決だ。いくぜ!」
光と闇が狂ったように渦巻く大結界の最深部。満身創痍の黒葛野 翔我(つづらの しょうが)たちの前に、霊夢と魔理沙が彗星のごとく躍り出た。
「なっ……博麗の巫女!?」
皇子が驚愕の声を上げる。自分たちの異変を止めに来たはずの最強の二人が、なぜか自分たちを背に庇うようにして、八雲 紫(やくも ゆかり)と八雲 藍(やくも らん)に向けて武器を構えたからだ。
「あんたたち、よくここまで持ち堪えたわね」
霊夢が御幣を翻し、紫の『結界「客観結界」』の隙間を鋭く見抜く。
「霊夢、お前……」
翔我が息を切らせながらその背中を見つめた。その凛とした佇まいに、脳裏の片隅にあった「あの日の夕暮れにお団子をくれた女の子」の面影が、はっきりと重なった。
「思い出した? 翔我」
霊夢は振り返らずに、不敵に、けれどどこか嬉しそうに微笑んだ。
「約束通り、本気の勝負……といきたいところだけど、まずはあの大妖怪を引っ込めるのが先よ。手を貸しなさい!」
「……応ッ!」
翔我の瞳に再び火が灯る。隣の雛鶴姫も、その想いに応えるように治癒の光を翔我へと注ぎ込んだ。
「おいおい、私を置いてけぼりにするなよな!」
魔理沙がミニ八卦炉を構え、天に向けて凄まじい魔力を収束させる。
ここから、人間たちの反撃が始まった。
人間の里をずっと見守り、全員の名前と能力を把握している霊夢が、的確に指示を出す。
「下水流(しもづる)! 空間の歪みを左へ回して! 押領司(おうりょうじ)と苅萱(かるかや)は藍の弾道を上空へ弾く! 草牟田(そうむた)は紫の足元を狙いなさい!」
「了解!」
「任せて!」
霊夢の指揮により、ばらばらになりかけていた6人の能力が、再び完璧な歯車となって噛み合う。
「魔理沙、一気にいくわよ!」
「待ってましただぜ!」
魔理沙が愛用の箒を蹴り、まばゆい極大の光線を放つ。
【恋符】『マスタースパーク』
七色の光流が藍の『式輝「四面楚歌の式」』を正面から消し飛ばし、その光の道を進む霊夢が、お札と陰陽玉を無数に展開した。
【夢符】『封魔陣』
空間を固定し、紫の隙間を一時的に封じ込める。そこへ、翔我と雛鶴姫が限界を超えて肉薄した。
【二人合体技】『ゼロ・グラビティ・サンクチュアリ』
翔我の無力化の領域が、霊夢の結界術と完全に同調する。霊夢の魔力を上乗せされた翔私の右手は、紫が放った防壁の境界を、ガラスのようにパリィンと粉砕した。
「茉莉花、今だ!」
皇子が茉莉花を抱えて最深部の空へと爆発的に加速する。
【二人合体技】『ハイパー・ストラトス・バースト』
茉莉花が極限まで強化した渾身の弾幕が、魔理沙のマスタースパークの光芒と混ざり合い、巨大な光の濁流となって紫と藍を飲み込んでいった。
――凄まじい光と爆音のあと。
立ち込める煙の向こう側で、紫はゆっくりと日傘を閉じ、ふぅ、と小さく溜息をついた。その衣服には微かに煤がついており、隣の藍も息を整えている。
「あら……。まさかの負けちゃうなんてね……」
紫は悔しがる風でもなく、どこか満足げに、そして妖しく微笑んだ。
人間の巫女と魔法使い、そして檻から飛び出そうとする若き力。その二つが交わったとき、大妖怪の境界をも打ち破る、本物の「奇跡」が起きたのだ。
「おい、やったな霊夢!」
魔理沙が笑いながら近づいてくる。翔我たちは一斉にへたり込みながらも、奇跡の勝利に湧き立っていた。
「……ところでよ。あいつら、一体どこの誰なんだ?」
頭を掻きながら尋ねる魔理沙に、茉莉花がちょっと呆れたように前髪を直して言った。
「やっぱり、霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)は私たちのことなんて知らないわよね。私は苅萱茉莉花。……一応、あなたの活躍は新聞でいつも解析してたんだけどね」
「へ? 私の名前知ってんのか?」
不思議そうにする魔理沙を横目に、翔我は霊夢と視線を交わし、ニッと不敵に笑い合った。繋いだ手から伝わる体温は、今や勝利の熱さに満ちあふれていた。