二次創作
東方願い井戸 〜 少女と少年の繋いだ未来
大結界の最深部に吹き荒れる弾幕の嵐は、まさに次元が違っていた。
黒葛野 翔我(つづらの しょうが)は、茶屋道 雛鶴姫(ちゃやみち ひなづるひめ)の手を壊れそうなほど強く握りしめ、必死に『弾幕を無効化にする程度の能力』を展開し続けていた。
「くっ、あ……ああああッ! 負けるかよ!」
翔我が叫び、二人の最初の合体技を繰り出す。
【二人合体技】『ゼロ・グラビティ・サンクチュアリ』
翔何の周囲に絶対的な無力化の領域が広がり、迫り来る光弾を次々と消滅させていく。しかし、八雲 紫(やくも ゆかり)の放つスペルカードは、消しても消しても空間の裂け目から無限に湧き出してくる。
【結界】『客観結界』
空間の境界そのものが歪み、無力化が追いつかないほどの密度の弾幕が翔我の身体を襲う。雛鶴姫が『ありとあらゆる怪我を治せる程度の能力』でその傷を片端から癒やしていくが、再生が破壊に追いつかなくなるのは時間の問題だった。
空中では、押領司 皇子(おうりょうじ おうじ)が『味方を空中飛行で浮かせる程度の能力』で縦横無尽に駆け回り、繋いだ 苅萱 茉莉花(かるかや まつりか)の『ありとあらゆる弾幕を強化させる程度の能力』で、八雲 藍(やくも らん)の猛攻を必死に迎撃していた。
「皇子、左から来るわ! 合わせなさい!」
茉莉花が叫び、強化された一撃を放つ。
【二人合体技】『ハイパー・ストラトス・バースト』
しかし、藍の計算は完璧だった。藍は自らのスペルカードを展開し、その圧倒的な数理の弾幕で茉莉花たちの攻撃を冷徹に相殺していく。
【式輝】『四面楚歌の式』
四方八方から退路を断つように迫る藍の誘導弾幕に、二人の動きは完全に先読みされ、じわじわと追い詰められていく。
後方から 下水流 楓鈴(しもづるふうりん)が『ありとあらゆる場所を錯乱させる程度の能力』を使い、紫の意識を逸らそうと試みる。
【錯符】『鯨呑亭の幻影廊(レンコン・ミラージュ)』
さらに、繋いだ 草牟田 呼子(そうむた よびこ)が『一定期間封印させる程度の能力』で追撃をかける。
【封符】『ゲートキーパー・タイムロック』
空間をねじ曲げ、紫の動きを封印の鎖で止めようとする大人二人組。しかし、大妖怪の圧倒的な妖力の前には、その錯乱も封印もまるで子供騙しのように容易くねじ伏せられてしまう。
紫の冷徹な声が響く。
「これでお終いかしら?」
【式神】『前鬼後鬼の守護』
藍との連携による、全方位からの苛烈な弾幕が全員を包み込む。誰もが手を繋ぎ、奇跡的な調和で持ち堪えてはいた。しかし、それが単なる「時間稼ぎ」に過ぎず、自分たちの敗北がすぐそこにまで迫っていることを、誰もが本能で悟り始めていた。
その頃、楓鈴の空間錯乱の残滓をようやく突破し、最深部へと向かって竹林を激走する二つの影があった。博麗 霊夢(はくれい れいむ)と霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)だ。
御幣を握りしめ、険しい表情で前を見据えて走る霊夢の脳裏に、ふと、遠い過去の記憶が鮮烈に蘇っていた。
それは、霊夢がまだ正式な「博麗の巫女」になるかならないかという、ほんの幼い頃の記憶。
ある日の夕暮れ、まだ自分の役割に実感が持てず、所在なさげに神社の境内にいた霊夢の前に、ひょっこりと迷い込んできた一人の小さな男の子がいた。それが、まだ幼かった黒葛野翔我だった。
里の境界を越えて迷子になり、泣きじゃくるわけでもなく、ただ「やさぐれた」ようにむすっとした顔で座り込んでいた翔我。そんな彼を見かねて、幼い霊夢は自分のために用意されていたお団子を差し出したのだ。
「……ほら、これ食べる? 怒ってばっかりだと、お腹が空くわよ」
何も言わずに差し出されたお団子を、翔我は驚いたように見つめ、それから小さく「ありがとう」と呟いて、霊夢から手渡されたお団子の一つを口にした。
夕焼けに染まる博麗神社の縁側で、二人は並んでお団子を食べた。ただそれだけの、静かで温かい時間。
そのとき、翔我は小さく、けれど真っ直ぐな目で霊夢を見上げてこう言ったのだ。
『俺、いつか巫女さんに守られなくても、自分の力でどこにでも行けるくらい強くなる。そしたら、あんたを驚かせてやるからな』
それを聞いた幼い霊夢は、ふふっと笑って、小さな指を差し出した。
『ふーん。じゃあ、楽しみにしててあげる。あなたが本当に強くなったら、私と本気で勝負しなさいよ』
それは、夕暮れの神社で交わされた、他愛のない、けれど切ないほどに純粋な「淡い約束」だった。
「――翔我」
走る霊夢の口から、無意識にその名前が漏れる。
あのお団子を一緒に食べた男の子が、今、大結界の最深部で大妖怪を相手に、命を削るような無茶な戦いをしている。守られるだけの子供であることを拒み、あの日の約束を果たそうとするかのように。
「待ってなさい……。絶対に、死なせやしないんだから!」
霊夢は速度を上げ、満身創痍の少年少女たちが待つ、光と闇の渦巻く決戦の地へと突き進んでいった。
黒葛野 翔我(つづらの しょうが)は、茶屋道 雛鶴姫(ちゃやみち ひなづるひめ)の手を壊れそうなほど強く握りしめ、必死に『弾幕を無効化にする程度の能力』を展開し続けていた。
「くっ、あ……ああああッ! 負けるかよ!」
翔我が叫び、二人の最初の合体技を繰り出す。
【二人合体技】『ゼロ・グラビティ・サンクチュアリ』
翔何の周囲に絶対的な無力化の領域が広がり、迫り来る光弾を次々と消滅させていく。しかし、八雲 紫(やくも ゆかり)の放つスペルカードは、消しても消しても空間の裂け目から無限に湧き出してくる。
【結界】『客観結界』
空間の境界そのものが歪み、無力化が追いつかないほどの密度の弾幕が翔我の身体を襲う。雛鶴姫が『ありとあらゆる怪我を治せる程度の能力』でその傷を片端から癒やしていくが、再生が破壊に追いつかなくなるのは時間の問題だった。
空中では、押領司 皇子(おうりょうじ おうじ)が『味方を空中飛行で浮かせる程度の能力』で縦横無尽に駆け回り、繋いだ 苅萱 茉莉花(かるかや まつりか)の『ありとあらゆる弾幕を強化させる程度の能力』で、八雲 藍(やくも らん)の猛攻を必死に迎撃していた。
「皇子、左から来るわ! 合わせなさい!」
茉莉花が叫び、強化された一撃を放つ。
【二人合体技】『ハイパー・ストラトス・バースト』
しかし、藍の計算は完璧だった。藍は自らのスペルカードを展開し、その圧倒的な数理の弾幕で茉莉花たちの攻撃を冷徹に相殺していく。
【式輝】『四面楚歌の式』
四方八方から退路を断つように迫る藍の誘導弾幕に、二人の動きは完全に先読みされ、じわじわと追い詰められていく。
後方から 下水流 楓鈴(しもづるふうりん)が『ありとあらゆる場所を錯乱させる程度の能力』を使い、紫の意識を逸らそうと試みる。
【錯符】『鯨呑亭の幻影廊(レンコン・ミラージュ)』
さらに、繋いだ 草牟田 呼子(そうむた よびこ)が『一定期間封印させる程度の能力』で追撃をかける。
【封符】『ゲートキーパー・タイムロック』
空間をねじ曲げ、紫の動きを封印の鎖で止めようとする大人二人組。しかし、大妖怪の圧倒的な妖力の前には、その錯乱も封印もまるで子供騙しのように容易くねじ伏せられてしまう。
紫の冷徹な声が響く。
「これでお終いかしら?」
【式神】『前鬼後鬼の守護』
藍との連携による、全方位からの苛烈な弾幕が全員を包み込む。誰もが手を繋ぎ、奇跡的な調和で持ち堪えてはいた。しかし、それが単なる「時間稼ぎ」に過ぎず、自分たちの敗北がすぐそこにまで迫っていることを、誰もが本能で悟り始めていた。
その頃、楓鈴の空間錯乱の残滓をようやく突破し、最深部へと向かって竹林を激走する二つの影があった。博麗 霊夢(はくれい れいむ)と霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)だ。
御幣を握りしめ、険しい表情で前を見据えて走る霊夢の脳裏に、ふと、遠い過去の記憶が鮮烈に蘇っていた。
それは、霊夢がまだ正式な「博麗の巫女」になるかならないかという、ほんの幼い頃の記憶。
ある日の夕暮れ、まだ自分の役割に実感が持てず、所在なさげに神社の境内にいた霊夢の前に、ひょっこりと迷い込んできた一人の小さな男の子がいた。それが、まだ幼かった黒葛野翔我だった。
里の境界を越えて迷子になり、泣きじゃくるわけでもなく、ただ「やさぐれた」ようにむすっとした顔で座り込んでいた翔我。そんな彼を見かねて、幼い霊夢は自分のために用意されていたお団子を差し出したのだ。
「……ほら、これ食べる? 怒ってばっかりだと、お腹が空くわよ」
何も言わずに差し出されたお団子を、翔我は驚いたように見つめ、それから小さく「ありがとう」と呟いて、霊夢から手渡されたお団子の一つを口にした。
夕焼けに染まる博麗神社の縁側で、二人は並んでお団子を食べた。ただそれだけの、静かで温かい時間。
そのとき、翔我は小さく、けれど真っ直ぐな目で霊夢を見上げてこう言ったのだ。
『俺、いつか巫女さんに守られなくても、自分の力でどこにでも行けるくらい強くなる。そしたら、あんたを驚かせてやるからな』
それを聞いた幼い霊夢は、ふふっと笑って、小さな指を差し出した。
『ふーん。じゃあ、楽しみにしててあげる。あなたが本当に強くなったら、私と本気で勝負しなさいよ』
それは、夕暮れの神社で交わされた、他愛のない、けれど切ないほどに純粋な「淡い約束」だった。
「――翔我」
走る霊夢の口から、無意識にその名前が漏れる。
あのお団子を一緒に食べた男の子が、今、大結界の最深部で大妖怪を相手に、命を削るような無茶な戦いをしている。守られるだけの子供であることを拒み、あの日の約束を果たそうとするかのように。
「待ってなさい……。絶対に、死なせやしないんだから!」
霊夢は速度を上げ、満身創痍の少年少女たちが待つ、光と闇の渦巻く決戦の地へと突き進んでいった。