窓際に眠る猫
#1
この教室には、いつも寝ている人がいる。
平内恭弥、授業中はずっと寝ていて、それでもテストの点数はなぜか高くて、そして、私の好きな人。
でも、告白する時間なんてないし、まず話す機会もあんまないし、ちょっと不安。
でも、3年生になって少し経った頃、「このままじゃいけない」って思ったの。ずっと眺めてるだけじゃ、山の上には登れない。そんな風に考えた。
私も恭弥君も、部活には入っていない。だからある日、思い切って話しかけてみた。
「恭弥君、今日、一緒に帰らない?」
恭弥君は寝癖を直しながら、言った。
「西宮さん?いいけど...」
「西宮さん」
二人並んで帰る途中、夕焼けの橙色に空が包まれていた。
「ん?どうしたの?」
俺は今日、ここで告白するんだ。
いつも窓際から、寝てるふりをして眺めている、西宮春乃さんに。
学年が上がってからクラス替えがあって、一年の頃同じクラスだった西宮さんと、また同じクラスになれた。
そして今日、西宮さんに、「恭弥君、一緒に帰らない?」と言われてしまった。
ずっと好きだった人と二人きり。きっともう来ないチャンスだ。そう思っているのに、一度話しかけたが、声が出ない。
「あ、あの...」
でも僕は、本当に西宮さんのことが好きなんだ。
「僕、西宮さんのことがずっと好きで...」
一瞬、西宮さんは驚いたように僕の方を見てから、言った。
「私も、恭弥君のこと好きだったよ」
一番星が空に見えたとき、二人の頬も、空のように紅く色づいていた。そんな二人を意地悪に、夕日は山へ逃げてしまった。
平内恭弥、授業中はずっと寝ていて、それでもテストの点数はなぜか高くて、そして、私の好きな人。
でも、告白する時間なんてないし、まず話す機会もあんまないし、ちょっと不安。
でも、3年生になって少し経った頃、「このままじゃいけない」って思ったの。ずっと眺めてるだけじゃ、山の上には登れない。そんな風に考えた。
私も恭弥君も、部活には入っていない。だからある日、思い切って話しかけてみた。
「恭弥君、今日、一緒に帰らない?」
恭弥君は寝癖を直しながら、言った。
「西宮さん?いいけど...」
「西宮さん」
二人並んで帰る途中、夕焼けの橙色に空が包まれていた。
「ん?どうしたの?」
俺は今日、ここで告白するんだ。
いつも窓際から、寝てるふりをして眺めている、西宮春乃さんに。
学年が上がってからクラス替えがあって、一年の頃同じクラスだった西宮さんと、また同じクラスになれた。
そして今日、西宮さんに、「恭弥君、一緒に帰らない?」と言われてしまった。
ずっと好きだった人と二人きり。きっともう来ないチャンスだ。そう思っているのに、一度話しかけたが、声が出ない。
「あ、あの...」
でも僕は、本当に西宮さんのことが好きなんだ。
「僕、西宮さんのことがずっと好きで...」
一瞬、西宮さんは驚いたように僕の方を見てから、言った。
「私も、恭弥君のこと好きだったよ」
一番星が空に見えたとき、二人の頬も、空のように紅く色づいていた。そんな二人を意地悪に、夕日は山へ逃げてしまった。
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