夢双の一太刀
ガルグ「これは・・・血?」
脳が高速で回転する。
ガルグが最後に風呂に入ったのは昨日。
怪我はしてなかった。
じゃあ、フィールが・・・?
いや、彼女も怪我は何処もしていない。
服の中まで見たわけじゃないが、見えてる限りは・・・
いや、まさか・・・
ガルグ「吐血・・・!?」
すぐに風呂から出て、リビングへ戻る。
彼女はソファで寝ていた。
ガルグ「ふぅ・・・焦って損したぜ・・・」
だが次の瞬間、彼女が急に咳き込み出した。
フィール「ゴホッ!グフっ!ゴホッ!!」
ガルグ「おい!大丈夫か!?」
赤黒い血を吐き出す。
フィール「グフ!ガハァ!?」
ガルグ「おいおい!?マジかよ!?」
すぐ様タオルを渡し、洗面台まで行かせる。
ガルグ「大丈夫か!?病院行くか!?」
何度問いかけても、彼女は咳き込むだけ。
5分ほど咳き込んだ後、彼女の咳は治った。
ガルグ「ふぅ・・・ヒヤヒヤしたぁ・・・」
一気に力が抜け、その場に座り込む。
ふと彼女の目を見る。
彼女は泣いていた。
口の周りに付く血を、鏡を見ながらゆっくり拭き取っていた。
ガルグ「・・・お前の体、どうなってんだ?」
真剣な目を向け、彼女に問う。
フィール「・・・最近、無理しすぎました。」
蟻の咆哮のような声で、静かに喋り出す。
フィール「朝早くから夜遅くまで、あそこで仕事・・・」
「毎日、休む事なく、お金を稼ぎました。」
「寝る間も惜しんで、お客さんに対応して・・・!!」
涙が勢い良く溢れ始めた。
これ以上聞くのは、可哀想だと思った。
ガルグ「取り敢えず、病気ではないんだな?」
フィール「・・・はい。」
細々とした声で返す。
ガルグ「じゃあ、今日からお前はここに住め。」
フィール「え!?」
フィールがかなり驚く。
ガルグ「お前の世話は、拾ってきた俺の責任でもある。」
フィール「でも、良いんですか?」
ガルグ「でも、良いんだ。ただし、条件がある。」
フィール「じょ、条件・・・」
少し、足を後ろに下げる。
ガルグ「別に、毎日奉仕しろとかは言わん。」
「俺に飯を作れ。」
フィール「ごはん・・・?」
ガルグ「そう。最近自炊に飽きたんだ。商店に行くにも地味に遠い。」
「でも、お前が作ってくれたら楽だ。どうだ?」
フィール「・・・それで良いなら、作ります。」
ガルグ「よし!じゃ、今から着替えてもう寝ろ!」
フィール「え・・・ご飯は・・・?」
ガルグ「ああ、ご飯はご飯でも、晩だけで良いぜ!」
そう言い残し、ガルグは自分の部屋に戻った。
フィールは、リビングに戻ると同時に驚いた。
そこには、彼女が着る用の寝巻きが用意されていた。
フィール(いつの間に・・・・?)
部屋に戻ったガルグは、考え始めた。
ガルグ(フィール・・・結婚したい!!!)
ガルグはずっと胸に秘めている。
今日会ったばっかだが、死ぬほど好きになってしまった。
さっきのご飯の所で、告白しようかと迷ったぐらいだ。
でも、一目惚れは流石に気持ち悪いか・・・
ガルグ(よし、もう寝よう。明日は大学行って、すぐ帰ろう。)
そうして、長かった1日が幕を閉じた。
次の日、午後8時・・・
ガルグ「くっそ〜!また歌い場に滞在しすぎた!!」
歌い場・・・俗に言う【カラオケ】のような場所だ。
今回も歌いたいだけ歌って、喉が枯れた状態で足を運ぶ。
ガルグ「・・・でも、帰ったら飯があるからな。」
そう考えると、自然と体力が戻った気がした。
駆け足で家に帰る。
ガルグ「ただいまー・・・・!?」
ドアを開けた瞬間、戦慄が走った。
俺の家じゃない。
俺の家は、広すぎるが故に、空いたスペースは大ゴミ箱のようになっている。
俺は整理整頓が出来ないからな。
親が家を建てた時も、一人暮らしと言ったのに、
死ぬほどデカく建てやがった。
おかげで、俺が知らないスペースも多々あるだろう。
しかし、この家は違う。
綺麗すぎる。
目に入る全てが、リビング、キッチン、階段、玄関・・・
全てが整理整頓され尽くしている。
フィール「あ、お帰りなさい・・・?」
あまり言わないのか、疑問を抱きながら口を動かしていた。
ガルグ(可愛い・・・て、それどころじゃねぇ!)
ガルグは正気に戻り、フィールの元へ近づく。
ガルグ「なあ、これ、もしかしてお前が・・・?」
フィール「あ・・・・はい。」
少し照れながら言う。
フィール「家にいても、掃除ぐらいしかやることが無くて、つい・・・」
顔を赤くして、視線を逸らす。
ガルグ「マジで・・・?」
暇だから、ここまで掃除できるものなのか!?
だが、綺麗に越したことはない。
ガルグ「ありがとう!これからも掃除頼めるか?」
フィール「え・・・別に良いですよ。住ませてもらってますし。」
真っ直ぐな彼女の目は、ガルグの心臓を撃ち抜いた。
ガルグ(はうっ!可愛いっ!)
そしてガルグは、我慢ができなくなった。
ガルグ「なあ、フィール・・・その、ええと・・・」
フィール「・・・?なんですか?」
ガルグ「その、大学を卒業したら、け・・・け・・・」
少し間が空いた後、
ガルグ「[大文字][太字]結婚してくれないか・・・?[/太字][/大文字]」
フィール「え・・・!?」
気まずい空気が流れる。
でも、その気持ちに嘘はなかった。
それは、フィールも同じである。
フィール「・・・良いですよ。」
ガルグ「え!?」
フィール「その代わり・・・」
少し恥ずかしそうに、口を開いた。
フィール「幸せにしてくださいね・・・!」
4年後・・・
ガルグ「どうも。」
受付「あ、フィールさんの・・・お疲れ様です。」
ガルグは、寂しい気持ちでこの4年を過ごしている。
大学卒業後、フィールはすぐに事故に遭った。
婚約届を出すため、町役場に向かう途中だった。
何も出来なかった。ただ見ていた。
血を流す愛人を。その目で。
自分の無力さに、涙が溢れた。
あれから、フィールは目を覚さない。
毎日病室に行き、話しかける。
当然だが、反応などは無い。
4年も経つと、流石に神経が削がれてきた。
自分は、ただ話しかけに行くだけで良いのか?
金には困らないが、力が足りない。
考えた。考え抜いた。そして、決断をした。
あの人の元に行こう、と。
脳が高速で回転する。
ガルグが最後に風呂に入ったのは昨日。
怪我はしてなかった。
じゃあ、フィールが・・・?
いや、彼女も怪我は何処もしていない。
服の中まで見たわけじゃないが、見えてる限りは・・・
いや、まさか・・・
ガルグ「吐血・・・!?」
すぐに風呂から出て、リビングへ戻る。
彼女はソファで寝ていた。
ガルグ「ふぅ・・・焦って損したぜ・・・」
だが次の瞬間、彼女が急に咳き込み出した。
フィール「ゴホッ!グフっ!ゴホッ!!」
ガルグ「おい!大丈夫か!?」
赤黒い血を吐き出す。
フィール「グフ!ガハァ!?」
ガルグ「おいおい!?マジかよ!?」
すぐ様タオルを渡し、洗面台まで行かせる。
ガルグ「大丈夫か!?病院行くか!?」
何度問いかけても、彼女は咳き込むだけ。
5分ほど咳き込んだ後、彼女の咳は治った。
ガルグ「ふぅ・・・ヒヤヒヤしたぁ・・・」
一気に力が抜け、その場に座り込む。
ふと彼女の目を見る。
彼女は泣いていた。
口の周りに付く血を、鏡を見ながらゆっくり拭き取っていた。
ガルグ「・・・お前の体、どうなってんだ?」
真剣な目を向け、彼女に問う。
フィール「・・・最近、無理しすぎました。」
蟻の咆哮のような声で、静かに喋り出す。
フィール「朝早くから夜遅くまで、あそこで仕事・・・」
「毎日、休む事なく、お金を稼ぎました。」
「寝る間も惜しんで、お客さんに対応して・・・!!」
涙が勢い良く溢れ始めた。
これ以上聞くのは、可哀想だと思った。
ガルグ「取り敢えず、病気ではないんだな?」
フィール「・・・はい。」
細々とした声で返す。
ガルグ「じゃあ、今日からお前はここに住め。」
フィール「え!?」
フィールがかなり驚く。
ガルグ「お前の世話は、拾ってきた俺の責任でもある。」
フィール「でも、良いんですか?」
ガルグ「でも、良いんだ。ただし、条件がある。」
フィール「じょ、条件・・・」
少し、足を後ろに下げる。
ガルグ「別に、毎日奉仕しろとかは言わん。」
「俺に飯を作れ。」
フィール「ごはん・・・?」
ガルグ「そう。最近自炊に飽きたんだ。商店に行くにも地味に遠い。」
「でも、お前が作ってくれたら楽だ。どうだ?」
フィール「・・・それで良いなら、作ります。」
ガルグ「よし!じゃ、今から着替えてもう寝ろ!」
フィール「え・・・ご飯は・・・?」
ガルグ「ああ、ご飯はご飯でも、晩だけで良いぜ!」
そう言い残し、ガルグは自分の部屋に戻った。
フィールは、リビングに戻ると同時に驚いた。
そこには、彼女が着る用の寝巻きが用意されていた。
フィール(いつの間に・・・・?)
部屋に戻ったガルグは、考え始めた。
ガルグ(フィール・・・結婚したい!!!)
ガルグはずっと胸に秘めている。
今日会ったばっかだが、死ぬほど好きになってしまった。
さっきのご飯の所で、告白しようかと迷ったぐらいだ。
でも、一目惚れは流石に気持ち悪いか・・・
ガルグ(よし、もう寝よう。明日は大学行って、すぐ帰ろう。)
そうして、長かった1日が幕を閉じた。
次の日、午後8時・・・
ガルグ「くっそ〜!また歌い場に滞在しすぎた!!」
歌い場・・・俗に言う【カラオケ】のような場所だ。
今回も歌いたいだけ歌って、喉が枯れた状態で足を運ぶ。
ガルグ「・・・でも、帰ったら飯があるからな。」
そう考えると、自然と体力が戻った気がした。
駆け足で家に帰る。
ガルグ「ただいまー・・・・!?」
ドアを開けた瞬間、戦慄が走った。
俺の家じゃない。
俺の家は、広すぎるが故に、空いたスペースは大ゴミ箱のようになっている。
俺は整理整頓が出来ないからな。
親が家を建てた時も、一人暮らしと言ったのに、
死ぬほどデカく建てやがった。
おかげで、俺が知らないスペースも多々あるだろう。
しかし、この家は違う。
綺麗すぎる。
目に入る全てが、リビング、キッチン、階段、玄関・・・
全てが整理整頓され尽くしている。
フィール「あ、お帰りなさい・・・?」
あまり言わないのか、疑問を抱きながら口を動かしていた。
ガルグ(可愛い・・・て、それどころじゃねぇ!)
ガルグは正気に戻り、フィールの元へ近づく。
ガルグ「なあ、これ、もしかしてお前が・・・?」
フィール「あ・・・・はい。」
少し照れながら言う。
フィール「家にいても、掃除ぐらいしかやることが無くて、つい・・・」
顔を赤くして、視線を逸らす。
ガルグ「マジで・・・?」
暇だから、ここまで掃除できるものなのか!?
だが、綺麗に越したことはない。
ガルグ「ありがとう!これからも掃除頼めるか?」
フィール「え・・・別に良いですよ。住ませてもらってますし。」
真っ直ぐな彼女の目は、ガルグの心臓を撃ち抜いた。
ガルグ(はうっ!可愛いっ!)
そしてガルグは、我慢ができなくなった。
ガルグ「なあ、フィール・・・その、ええと・・・」
フィール「・・・?なんですか?」
ガルグ「その、大学を卒業したら、け・・・け・・・」
少し間が空いた後、
ガルグ「[大文字][太字]結婚してくれないか・・・?[/太字][/大文字]」
フィール「え・・・!?」
気まずい空気が流れる。
でも、その気持ちに嘘はなかった。
それは、フィールも同じである。
フィール「・・・良いですよ。」
ガルグ「え!?」
フィール「その代わり・・・」
少し恥ずかしそうに、口を開いた。
フィール「幸せにしてくださいね・・・!」
4年後・・・
ガルグ「どうも。」
受付「あ、フィールさんの・・・お疲れ様です。」
ガルグは、寂しい気持ちでこの4年を過ごしている。
大学卒業後、フィールはすぐに事故に遭った。
婚約届を出すため、町役場に向かう途中だった。
何も出来なかった。ただ見ていた。
血を流す愛人を。その目で。
自分の無力さに、涙が溢れた。
あれから、フィールは目を覚さない。
毎日病室に行き、話しかける。
当然だが、反応などは無い。
4年も経つと、流石に神経が削がれてきた。
自分は、ただ話しかけに行くだけで良いのか?
金には困らないが、力が足りない。
考えた。考え抜いた。そして、決断をした。
あの人の元に行こう、と。