【参加〆】彼らの冬休み最終日より
ガラガラッ
火室「…おお、おかえりー」
十朱「ただいま〜。うお、あったけえ…」
暖かみという幸せを噛み締めながら月姫の向かい側に座る。
火室「そりゃ深夜の外は寒いからなぁ」と、月姫がスマホを片手に、ケラケラ笑う。
火室「──つーかオレ、久しぶりに行ったわー。鶴岡八幡宮」
息が多めに含まれた声で、ふと思い出したように月姫が言った。
十朱「こんなに近えのに?」
火室「いや、今じゃ観光客がうじゃうじゃいてよー。近づくにも近づけねえしw」
火室「…マナー悪い奴らも増えてっしさぁ」
なぜか、祟と対峙したときに聞こえた声を思い出した。鼓動がとくんと勝手に跳ねる。
火室「…なあ、瀬成」
優しい声だ。でも、踏ん切りをつけたようなハッキリとした声。
月姫がスマホを静かに机に置いて、目を伏せる。
十朱「……」
火室「あんな時間に、あんなところで、何してたんだ?お前らと一緒にいた…男の人は?神だとか、ぶっちゃけ信じきれねえ。──なあ」
机を見つめていた目が、静かに、俺の目を見る。
火室「お前らってさぁ…何者なんだ?」
十朱「あ………」
部屋の電気は消えている。カーテンの隙間から差し込む月明かりが、彼の顔をぼんやり照らす。椅子にもたれているリュックにはニトさんがいる。そのわずかな重みを感じながら、言葉を探す。
十朱「…俺たちは、普通の高校生だよ」
十朱「ッてか、何者でもねぇし、なんならバカだしさ」
十朱「ただ俺は、このチャンスを逃したらもう二度と──」
そこで言い淀む。どう言葉を続ければいいか、自分でも分からなかった。
十朱「っ……」
火室「…まァ、問題はそこじゃねーんだけどなー」
十朱「へ?」
火室「なあ、オレもついてっていいか?」
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翌朝
十朱「っつーことで!」
火室「今日から改めてよろしくなー!!4人とも!!」
伊&大「「はあああああああ!?!?!?」」
ニト「なんだ、朝から騒がしい。不愉快だ」
不機嫌という感情を余すことなく表情に出したニトさんが寝室から出てくる。
伊川「ケッ、今日もイケメンだなクソ鳥」
大崎「あはははっwwクソ鳥wwwww」
ニト「今は鳥ではないだろうが。大崎、お前も笑い転げるな」
十朱「そこかよw」
ふと、気づく。
ニトさんの翼の片方が折れている。初めて見たときとも、昨日見たときとも、全く同じ状態だ。あのまま治療しなくて大丈夫なのか?いくら神様とはいえ、怪我は怪我だろう。
十朱「(でも今聞くことじゃねえよな…)」
ニト「まあいい。で?何を騒いでいる」
火室「あ、オレ今日かr((
伊川「おい聞けクソ鳥!!このスパダリ代表火室さんが加入だってよ!!!」
火室「遮るなよ((」
十朱「なんだよスパダリ代表って((」
大崎「俺らはスパダリじゃないってか((」
ニト「ああ、なんだその事か。知っている」
伊&大「「なんッッでお前は知ってんだよ!!!」」
ニト「神だからな」
十朱「盗み聞きしてただけだろ((」
伊川「はい有罪!!レッツ裁判!!」
大崎「極刑!!極刑!!」
火室「刑重くねェ?w」
月姫には、ニトさんが祟やら霊力やらの説明をした。月姫曰く、とりあえず倒せばいいんだろー?だそうだ。
火室「刀ぁ?それ違反じゃねーの?」
ニト「袋か何かに入れておけばバレんだろう」
大崎「なぁニトさん。俺ら、バレたら退学からの少年院だぜ?」
伊川「え、少年院ってなに?」
十朱「お前マジか…」
大崎「バカにも程があんだろ…」
火室「ま、何とかなるかァ…」
少し不安を抱えつつも月姫が選んだ刀は、柄が赤銅色、刃は光を鈍く反射させる錆色だった。鞘には模様は無いものの、[漢字]鐺[/漢字][ふりがな]こじり[/ふりがな]から[漢字]鍔[/漢字][ふりがな]つば[/ふりがな]にかけて赤から黒のグラデーションになっている。
ニト「決まりか?」
火室「あぁ」
ニト「よし」
ニト「お前ら、支度をしろ。広島、厳島神社へ向かう」
火室「はァ"!?広島ァ!?」
ニト「そうだ」
伊川「えっ、いきなり遠くない?」
昨日は隣の県だったのに、と澪が言う。
十朱「俺は京都とかだと思ってたんだけどな」
大崎「あの辺神社とか寺とか多いしな」
ニト「京都の祟は今の時点のお前たちじゃ太刀打ちできない。まずはもっと弱い祟を祓う」
伊川「え〜八つ橋食べたい〜」
十朱「俺アレ食いたい、抹茶ソフト!」
大崎「食いもんばっかじゃねえかw」
ニト「…まあ、少しなら寄ってもいい」
伊&十「「よっしゃあ!!」」
十朱「さっすが神様!!」
伊川「今日もかっこいいー!!」
火室「コイツら純粋だな〜」
大崎「良く言いすぎだって、ただのバカだよ((」
ニト「全くその通りだ」
伊&十「「はァ"!?」」