あーこれはやばいな、ほらあそこのお客さんの顔。つまんなそうだぜ。
私は舞台から降りる。今日はピアノの発表会。つまんない。ここで失敗したらやめる約束だ。私はすごい最高。別にピアノなんてやりたくないしね。
無事やめることに成功した。私は最高な気分で家路を辿っている。
あー。お母さん、私やっぱし得意なことないよ。そうさっき告げた。お母さんは私が得意なことないわ。と呟いたのを知っていたらしい。
ピアノ、絵、習字、歌、計算、オシャレだってさ成功してないよ?なんでそんなにやらそうとするんだ。私はそんなこと思いながら、道路を渡ろうとした。ゴンッと鈍い音がする。どうやら車かなんかにぶつかったらしい。まあいいか。視界がぐにゃりと歪み、目の前のどす黒いベリーみたいな血がふにゃふにゃとしている。
私は目を閉じた。光が目に当たる。眩しい。あぁ私疲れてるんだからさ光消えてよ。そう思うと光は消えた。私は周りの騒がし音に気づく。ありゃりゃ生きてんのか。
私は目を開けた。