それでも運命に抗いますか?
#1
今日も月が綺麗だった
昔からそうだった
お父様には「人間は敵だ」と言う
人間に出会ったらお母様が全員に槍を突き刺した
…本当に…
本当に人間は[漢字]私達[/漢字][ふりがな]悪魔[/ふりがな]の敵なんだろうか?
…分からない
そんなことお父様にもお母様にも先生にも教えてもらってない
ただ『人間は敵だ』、『出会ったら慈悲を持つな』としか
…でも…それでも
[漢字]あの人[/漢字][ふりがな]勇者[/ふりがな]だけは敵ではないと私は信じてる
▽▲▽▲
あの人に出会ったのは村に襲撃に行こうとした時だった
セーティ「お嬢様、今日も麗しいです」
セーティ…私が小さい頃から執事をしてくれている…
未だに種族を聞いたことはないけど…多分下級悪魔だ
…秘密だけど…私は彼のことを本当の兄のように慕っている
アリス「ありがと、セーティ」
[大文字]アリス・ヴァーミリア[/大文字]
私の名前であり、悪魔の姫の名前だ
セーティ「本日は○×村に勇者一行が向かうそうです」
私の髪を丁寧にとかしながら彼は言う
…勇者…か
アリス「…勇者なんて私の敵じゃないわ」
私がポツリと言ったその言葉を聞いて、セーティは微笑んだ
セーティ「えぇ、勇者などお嬢様の準備運動にもなりませんね」
…そういう意味で言ったんじゃないんだけど
アリス「…私が行くの?」
セーティ「はい、旦那様がお嬢様はいずれ悪魔の女王になる者…
勇者に挨拶ぐらいはしておきましょう…と」
…お父様…余計なことを…
[大文字]私は戦いたくなんてないのに[/大文字]
アリス「…もう行くわ」
そう言って立ち上がり、ドアをバタンと閉めた
…セーティが一瞬だけ怖い顔をしたような気がした
▽▲▽▲
人間の村に着くと、悪魔の羽や角を隠しているからか私が悪魔の姫だと
気付かず村人達は呑気に勇者の到着を待っていた
「勇者様はいつ到着するんだ?」
「楽しみだわ~!」
アリス「…」
…勇者が来る前に…私が殺らなきゃ…私が…
拳を強く握り締め、呪文を唱えた
すると村人達は空中に上がり…
[大文字]落ちた[/大文字]
…私が…
私が…殺ってしまった…私が…
途端に罪悪感が込み上げてきて、その場に泣き崩れてしまった
…すると、遠くから大人数の声が聞こえた
???「お~い?本当にここで合ってるのか?」
???2「そのはずですよ勇者様!有能なユイに分からないことなどありません!」
???3「ふふ、そうですね…確かにユイ様は素晴らしいと思いますよ」
???4「[漢字]柳斗[/漢字][ふりがな]りゅうと[/ふりがな]…こいつを甘やかすな」
???4「…というか…なんか人いないか?」
そう言って鎧を着た女性が私のことを指さす
???2「あっあれ!?本当ですね…ど、どうしました!?」
???3「…周りに血の匂いが…」
…そして1人の優しそうな女性と、糸目の男性が私に駆け寄り…
???「泣いてるじゃないか…!!どうしたの!?」
きらきらと輝く男性が私の涙を拭った
お父様には「人間は敵だ」と言う
人間に出会ったらお母様が全員に槍を突き刺した
…本当に…
本当に人間は[漢字]私達[/漢字][ふりがな]悪魔[/ふりがな]の敵なんだろうか?
…分からない
そんなことお父様にもお母様にも先生にも教えてもらってない
ただ『人間は敵だ』、『出会ったら慈悲を持つな』としか
…でも…それでも
[漢字]あの人[/漢字][ふりがな]勇者[/ふりがな]だけは敵ではないと私は信じてる
▽▲▽▲
あの人に出会ったのは村に襲撃に行こうとした時だった
セーティ「お嬢様、今日も麗しいです」
セーティ…私が小さい頃から執事をしてくれている…
未だに種族を聞いたことはないけど…多分下級悪魔だ
…秘密だけど…私は彼のことを本当の兄のように慕っている
アリス「ありがと、セーティ」
[大文字]アリス・ヴァーミリア[/大文字]
私の名前であり、悪魔の姫の名前だ
セーティ「本日は○×村に勇者一行が向かうそうです」
私の髪を丁寧にとかしながら彼は言う
…勇者…か
アリス「…勇者なんて私の敵じゃないわ」
私がポツリと言ったその言葉を聞いて、セーティは微笑んだ
セーティ「えぇ、勇者などお嬢様の準備運動にもなりませんね」
…そういう意味で言ったんじゃないんだけど
アリス「…私が行くの?」
セーティ「はい、旦那様がお嬢様はいずれ悪魔の女王になる者…
勇者に挨拶ぐらいはしておきましょう…と」
…お父様…余計なことを…
[大文字]私は戦いたくなんてないのに[/大文字]
アリス「…もう行くわ」
そう言って立ち上がり、ドアをバタンと閉めた
…セーティが一瞬だけ怖い顔をしたような気がした
▽▲▽▲
人間の村に着くと、悪魔の羽や角を隠しているからか私が悪魔の姫だと
気付かず村人達は呑気に勇者の到着を待っていた
「勇者様はいつ到着するんだ?」
「楽しみだわ~!」
アリス「…」
…勇者が来る前に…私が殺らなきゃ…私が…
拳を強く握り締め、呪文を唱えた
すると村人達は空中に上がり…
[大文字]落ちた[/大文字]
…私が…
私が…殺ってしまった…私が…
途端に罪悪感が込み上げてきて、その場に泣き崩れてしまった
…すると、遠くから大人数の声が聞こえた
???「お~い?本当にここで合ってるのか?」
???2「そのはずですよ勇者様!有能なユイに分からないことなどありません!」
???3「ふふ、そうですね…確かにユイ様は素晴らしいと思いますよ」
???4「[漢字]柳斗[/漢字][ふりがな]りゅうと[/ふりがな]…こいつを甘やかすな」
???4「…というか…なんか人いないか?」
そう言って鎧を着た女性が私のことを指さす
???2「あっあれ!?本当ですね…ど、どうしました!?」
???3「…周りに血の匂いが…」
…そして1人の優しそうな女性と、糸目の男性が私に駆け寄り…
???「泣いてるじゃないか…!!どうしたの!?」
きらきらと輝く男性が私の涙を拭った
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