【参加型】巡る酒場にて、冒険者達はかく語りき
昼間の酒場。今日はレイドクエストが出たからだろうか、人影はほとんど見当たらない。いつもは騒々しいからか、いつも以上に寂しく感じる。
「お邪魔します」
カランカランと、そんな事情を知らないような鐘が気軽に鳴った。こんな日に戸口に立つのは暇人か一般人しか居ない。そこに居た影はそのどちらだったのかと言うと、そのどちらでもなかった。強いていうならば「逸般人」だろうか?
そこに立っていたのは、黒髪に白髪ではない白髪が所々メッシュとして入った女性。その目は落ち着いており、興味を感じさせない。
冒険者の間では謎の人物として知られた「師匠」その人であった。ダンジョン内で生計を立て、気まぐれに初心冒険者の師匠をする人物。中で生活するだけあって、その腕は確かである。
「では………ミルクティーを一杯」
そんな事情から、彼女が地上に出ることは珍しい。酒場の店員は漏れなく狂喜状態に入っていた。冒険者・ダンジョン好きでも無ければ、この騒がしい酒場では働きたがらない。思わず一人の若い店員が話をせがんだ。
「あなたが暮らしているっていう階層について、お聞かせ願えませんか!?」
すごくすごく光景が知りたくって…!と興奮する店員をチラリと一瞥する師匠。慌てて他の店員が「突然聞くんじゃない」「私が聞きたかった」「お客さんだよ…!?」などと止めに入る。しかし、幸いにも彼らが想像していた良くない事態は訪れなかった。
「私のような者の語り口で良いのでしたら、話しますよ?」
話すのは得意じゃないですけどね…と続けた。
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住んでいる階層の話で良いのでしょう?そんなに深いところではないので、この話終わったら是非とも遊びに来てくださいよ。お茶はあるので。
住んでいる階層なだけあって、人が住める環境です。基本的に歯車だらけですが、水も土もあるので作物も栽培できますし飲み物に困ることもありません……移住を勧めているわけでは無いですよ?いえいえ、来てもらっても結構ですが。空は見えません。でも、歯車の動力源となる未知の発電機が明かりを灯しているので比較的明るいです。朝も夜もないので自由に過ごせますし。あぁ、そういえばそういう昼夜が無いのに眠くなるのは同じ頃なんですよね、人の体って不思議だと思いませんか?思いませんか……
偶に、機械で出来た魔物が出てきます。歯車でキシキシと動く小賢しい奴らです、流石に対処は慣れましたが……こう、そいつらの首の線を切ってあげるだけで勝てるので。
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「でもそれくらいですよ?あとは遊びに来て貰うしか…」
昼下がり。ゆったりとしたテンポで話された内容は、程よいBGMとして空気中に揺蕩う。
「おっ、師匠じゃないか!」
レイドバトルが終わったようで、続々と冒険者たちが戻ってきた。
「お邪魔します」
カランカランと、そんな事情を知らないような鐘が気軽に鳴った。こんな日に戸口に立つのは暇人か一般人しか居ない。そこに居た影はそのどちらだったのかと言うと、そのどちらでもなかった。強いていうならば「逸般人」だろうか?
そこに立っていたのは、黒髪に白髪ではない白髪が所々メッシュとして入った女性。その目は落ち着いており、興味を感じさせない。
冒険者の間では謎の人物として知られた「師匠」その人であった。ダンジョン内で生計を立て、気まぐれに初心冒険者の師匠をする人物。中で生活するだけあって、その腕は確かである。
「では………ミルクティーを一杯」
そんな事情から、彼女が地上に出ることは珍しい。酒場の店員は漏れなく狂喜状態に入っていた。冒険者・ダンジョン好きでも無ければ、この騒がしい酒場では働きたがらない。思わず一人の若い店員が話をせがんだ。
「あなたが暮らしているっていう階層について、お聞かせ願えませんか!?」
すごくすごく光景が知りたくって…!と興奮する店員をチラリと一瞥する師匠。慌てて他の店員が「突然聞くんじゃない」「私が聞きたかった」「お客さんだよ…!?」などと止めに入る。しかし、幸いにも彼らが想像していた良くない事態は訪れなかった。
「私のような者の語り口で良いのでしたら、話しますよ?」
話すのは得意じゃないですけどね…と続けた。
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住んでいる階層の話で良いのでしょう?そんなに深いところではないので、この話終わったら是非とも遊びに来てくださいよ。お茶はあるので。
住んでいる階層なだけあって、人が住める環境です。基本的に歯車だらけですが、水も土もあるので作物も栽培できますし飲み物に困ることもありません……移住を勧めているわけでは無いですよ?いえいえ、来てもらっても結構ですが。空は見えません。でも、歯車の動力源となる未知の発電機が明かりを灯しているので比較的明るいです。朝も夜もないので自由に過ごせますし。あぁ、そういえばそういう昼夜が無いのに眠くなるのは同じ頃なんですよね、人の体って不思議だと思いませんか?思いませんか……
偶に、機械で出来た魔物が出てきます。歯車でキシキシと動く小賢しい奴らです、流石に対処は慣れましたが……こう、そいつらの首の線を切ってあげるだけで勝てるので。
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「でもそれくらいですよ?あとは遊びに来て貰うしか…」
昼下がり。ゆったりとしたテンポで話された内容は、程よいBGMとして空気中に揺蕩う。
「おっ、師匠じゃないか!」
レイドバトルが終わったようで、続々と冒険者たちが戻ってきた。