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淡い恋が飽和する。

#8

何処かにある御伽話のような

昔々、あるところに、心優しいくまさんがいました。
くまさんにはうさぎさんというお友達がいて、毎日一緒に遊んでいました。

ある日、いつものようにくまさんはうさぎさんに遊ぼうと誘いに行きました。

うさぎさんのお家について、何度もドアを叩きましたが、うさぎさんは出てきません。
くまさんは心配になって、うさぎさんのお家に入りました。

なんということでしょう。

うさぎさんは、病気になってしまっていたのです。

くまさんは、急いでお医者様を呼びに行きました。

うさぎさんを診たお医者様はこういいました。

遠い遠いところにある、虹色に光るお花を使わなければ、うさぎさんは助からないと。

くまさんは急いで支度をして、虹色に光る花を目指し、冒険に行きました。

そして、ついに、虹色に光るお花を見つけることができたのです。


虹色に光るお花で元気になったうさぎさんと、くまさんはとても喜びました。


そして、ずっと一緒に遊んで暮らしましたとさ。

おしまい。


[水平線]

「ねーねー、お母さん!僕、大きくなったらこのお花でお母さんのこと治してあげる!」

「ふふっ、ありがとう、ーー。」



[中央寄せ]+@+[/中央寄せ]


一番古い記憶は、絵本を読んでもらっている記憶だ。

何も持ってない、そんな、小さな頃の記憶だ。


俺は、あの時は知らなかった。

虹色に光るお花のような、そんな奇跡の薬なんて、ないってこと。



病気だったお母さんは治った。

でも、隣の病室では、嗚咽や泣き声がずっと聞こえていた。


そんな時、お母さんはいつも手を合わせて、

「今まで頑張りましたね…。安らかにお眠りください」

と言っていた。


もちろん幼かった俺に意味が伝わることなどあるわけもなく、眠ったらだめなのかな、泣いちゃうのかな、と勝手に想像していた。


母を治してくれた医者に、俺はいつしか憧れるようになっていた。

それからは、ずっと勉強を頑張ってきた。


けれど、ずっと学年2位どまりだ。

栗花落 憐華。

いつか1位の座を奪ってやる。

そう考えている俺がいた。

作者メッセージ

初めての翠Sideのお話ですねー。

2024/12/08 15:46

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